抄録
本研究はクロレラ抽出液 (クロレラエキス) の芝草にたいする生長促進, 特に不良環境下における耐性発現の機構を明らかにするために, クロレラエキス中のサイトカイニン類とブラシノライド願の活性, およびカルス細胞の増殖効果について検討を加えたものである。
その結果, オオムギ葉のクロロフィル保持試験, ダイコン下胚軸伸長試験およびイネラミナジョイント屈曲試験においてクロレラエキス中にはサイトカイニンおよびプラシノライド活性はほとんど認められなかった。しかし, クロレラエキスはオーキシンの存在下でニンジン, ダイコン, タバコ, イネ, タイヌビエおよびノシバのカルス細胞の増殖を促進した。
これらの結果から, クロレラエキス中の何らかの物質によって植物体内のサイトカイニン, またはブラシノライドのレベルが高められ, 植物の生理機能が向上するものと推察された。