ビタミン
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4.[輸送]GS-XポンプからABCトランスポーターへの新展開(<シリーズ>バイオファクター研究のブレークスルー : グルタチオン)
石田 智久
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2002 年 76 巻 11 号 p. 525-533

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抄録
動物および植物細胞は,多種多様な内因性または外因性の疎水性物質をグルタチオン(GSH)抱合体に変換したのち,細胞外へ排出するか,あるいは細胞内コンパートメントに蓄積する能力を持つ.この輸送過程は新規ATP依存性有機アニオン輸送体によって担われており,"GS-Xポンプ"とよばれる.この名称は,その〓群の輸送体がグルタチオン抱合体,酸化型グルタチオン(GSSG),システイニルロイコトリエンなどの有機アニオンに対して高い活性と親和性をもつことに由来する.GS-Xポンプは動・植物界にまたがって広く存在し,酸化的ストレス,解毒,がんの薬物耐性,炎症において重要な役割を果たしている.そして,近年になってGS-Xポンプタンパク質分子の実体が証明され,そのタンパク質をコードする複数の遺伝子の染色体上での局在や,遺伝子変異と疾病との関係が明らかになった.GS-Xポンプは,ABC(ATP-binding cassette)トランスポーター・スーパーファミリーの重要なメンバーである.
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© 2002 日本ビタミン学会

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