ビタミン
Online ISSN : 2424-080X
Print ISSN : 0006-386X
ビタミン B6・アミノ酸恒常性に関与するピリドキサールリン酸結合タンパク質(特集「ビタミン・バイオファクター研究の新潮流」(第72回大会 若手シンポジウム))
伊藤 智和
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2021 年 95 巻 5-6 号 p. 275-279

詳細
抄録
YggS / PROSC(COG0325)タンパク質は,高度に保存されたピリドキサール5'-リン酸(PLP)結合タンパク質であり,ビタミンB6とアミノ酸の恒常性に重要な役割を果たすことが明らかとなりつつある.当該タンパク質の変異・欠損は,様々な生物で多岐に亘る影響を引き起こし,ヒトを含む動物では,ビタミンB6依存性てんかんを発症する.大腸菌では,本タンパク質の欠損株( yggS欠損株)は,Thr / Ile / Val代謝の攪乱,CoAレベルの低下,ホモセリン感受性,ピリドキシン感受性,セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼをコードするglyAとの合成致死性など,多様な表現型を誘導する.YggS / PROSCタンパク質の変異・欠損による多岐に亘る影響の原因,メカニズム,因果関係は,ほとんど明らかではなった.我々は,本タンパク質の欠損がさまざまな生物でピリドキシン5'-リン酸(PNP)の蓄積を誘導することを見出すとともに, yggS欠損大腸菌で観察される多くの表現型が,細胞内のPNPレベルの上昇によって引き起こされることを明らかとした.
著者関連情報
© 2021 日本ビタミン学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top