抄録
本研究では,ユーモアの機能と対処方略の関係性や,自己・対人関係に関する心理的ウェルビーイングに注目し,これまでのユーモアコーピング研究の結果が一貫していなかった原因として,尺度における対処方略のあいまいさを指摘した。そのため方略で分類されたユーモアコーピング尺度を用いて,心理的ウェルビーイングのどの側面に対して,どの方略のユーモアコーピングが寄与しているのかを明らかにすることを目的とした。分析の結果,自己高揚的ユーモアコーピングは一貫して高い効果を示し,攻撃的ユーモアコーピングには一貫して逆の効果が示された。また協調的ユーモアコーピング,自嘲的ユーモアコーピングも効果的であるが,心理的ウェルビーイングの一部の側面には逆の影響も示された。したがって,ユーモアの認知的機能が働くユーモアコーピングは概して効果的であるが,社会的機能では,利用される対処方略によって逆効果にもなることが推測された。