笑い学研究
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最新号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • まど・みちおの微笑みを思う
    鳶野 克己
    2023 年 30 巻 p. 1-2
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 松本人志のお笑いのゆくえ
    瀬沼 文彰
    2023 年 30 巻 p. 3-18
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の目的は、2000年代以降のお笑いの変化を整理することである。また、それ以前のお笑いがどのような形で残っているのかについて考察を行った。変化については、芸人のフィールドの広がり、ネット、場、仕事そのものの変化をまとめた。また、2000年以前の「芸人はこうあるべき」という姿勢の変容、ポリティカル・コレクトネスのなかで人を傷つけたり、差別的だったり、痛みを伴う笑いが批判の対象となり、誰も傷つけない笑いに注目が集まっていることについて言及した。さらに、男性的なホモソーシャルなお笑いに、女性芸人が進出をして地位を確立していったことを近年の変化の1つとして扱った。一方で、90年代以降、テレビのなかで作られた松本人志的なお笑いの価値観、例えば、とにかく面白さを追求する姿勢、面白さのヒエラルキー、皆で協力する笑いなどは、いまでもテレビでは強固でそれ以外のお笑いがあまり見当たらない。それは、社会で求められる多様性と合っていないことを指摘し、そこに日本のお笑いの問題点があると論じた。
  • 宮田 裕光, 高田 佳子, 佐瀬 有里
    2023 年 30 巻 p. 19-34
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
    笑いヨガは,「無条件の笑い」とヨガの呼吸法や体操を組み合わせた健康法である。本研究では,対面での笑いヨガを実践した際の心理状態の変化,および性格特性との関連を検討した。日本における笑いヨガの継続的実践者および非実践者,計24名が参加した。参加者は,75分間の実践セッションに参加する前後に,気分および状態不安に関する尺度に記入し,実践後にBig Five性格特性尺度にも回答した。その結果,実践前後でポジティヴ気分は有意に増大,ネガティヴ気分および状態不安は有意に減少した。ネガティヴ気分は,実践前では非実践者のほうが実践者より有意に高かったが,実践後では群間差がみられなかった。またBig Five尺度の調和性の得点は,実践者のほうが有意に高かった。笑いヨガの実践に関する指標と心理状態および性格特性の間にも有意な関連がみられ,笑いヨガの実践時間が長いほど神経症傾向の得点が高く,開放性の得点は低かった。これらの結果は,笑いヨガの実践が短期的な心理状態を改善すること,および実践と性格特性が対応している可能性を示唆している。
  • 2018年度から2021年度に焦点を当てて
    石田 万実
    2023 年 30 巻 p. 35-50
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
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     人々の働き方やライフスタイルを変化させたCOVID-19の流行は、テレビが提供する笑いの内容にどのような影響を与えたのか、「人生」をテーマとするNHK総合の番組『LIFE!~人生に捧げるコント~』を事例に分析、考察した。  分析の結果、コントの場面や登場人物の設定に流行前後で変化が見られ、仕事や家族に関連する描写の増加と店に関連する描写の減少は、「不要不急の外出の自粛」が呼びかけられた社会状況が映し出されていたほか、題材に「新しい生活様式」の影響が見られるコントが制作されていた。また、流行後の社会に生きる人々の心情や考え方が反映されたコントや、視聴者への力を合わせて乗り越えようというメッセージが込められたコントもあった。一方で、医療体制をはじめとする深刻な変化やコロナ禍における不安などのネガティブな感情を笑いにする傾向はみられなかった。番組はコントを通じて困難そのものではなく、社会や人々の心情を間接的に、笑いとともに描くことで視聴者を励ましたといえる。
  • 上方落語の草創期に見る
    土居 郁雄
    2023 年 30 巻 p. 51-62
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
     由来、上方落語関係資料は江戸のソレに比べて極めて少ない。それゆえその歴史を辿るのは困難を極めている。そうしたことから先人たちは、例え断編零楮であってもピンセットで摘まみ上げるようにして、報告を続けて来られた。  しかし、今もって状況は変わってはいない。そこで視点を変えて、研究書に屡引用される咄本等の本文はもとより、奥付に見られる宣伝文句等から演者と水茶屋の関係や見料(木戸銭)に着目し、上方落語の歴史を探った。  即ち大道で水茶屋と共栄していた落語家が、場所を屋内(主として寄席)に移した時、それまで木戸銭に当たる茶代は聴客の「代価お心持」だったのが、経営者側が示す金額を支払うこととなり立場が逆転すると言った変遷などを辿った。上方落語の場合、初代桂文治が寄席を創設した寛政期を境に、こうしたシステムが導入されたもの と思われる。  拙稿では、こうした狭義の経済活動や建物の変化が、聴客に与えた影響は何であったか等を見詰めた。
  • ユーモアの機能と対処方略の関係
    本郷 亜維子
    2023 年 30 巻 p. 63-80
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,ユーモアの機能と対処方略の関係性や,自己・対人関係に関する心理的ウェルビーイングに注目し,これまでのユーモアコーピング研究の結果が一貫していなかった原因として,尺度における対処方略のあいまいさを指摘した。そのため方略で分類されたユーモアコーピング尺度を用いて,心理的ウェルビーイングのどの側面に対して,どの方略のユーモアコーピングが寄与しているのかを明らかにすることを目的とした。分析の結果,自己高揚的ユーモアコーピングは一貫して高い効果を示し,攻撃的ユーモアコーピングには一貫して逆の効果が示された。また協調的ユーモアコーピング,自嘲的ユーモアコーピングも効果的であるが,心理的ウェルビーイングの一部の側面には逆の影響も示された。したがって,ユーモアの認知的機能が働くユーモアコーピングは概して効果的であるが,社会的機能では,利用される対処方略によって逆効果にもなることが推測された。
  • からかう・本末転倒・撞着・不運・皮肉の笑いが秘める可能性
    小向 敦子
    2023 年 30 巻 p. 81-92
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
     私たちにとって先例なく授けられた「人生百年」は決して手放しで喜べる事態ではない。いつまで健康寿命を維持できるか、またいつ次のパンデミックが襲ってくるかなどの不安に加えて、蓄積する対人ストレスや長引く不況が大きな波紋を投げかけている。  そこで本稿では敢えて、これまでどちらかといえば通じにくいと敬遠してきた笑い・ユーモアに目を向けてみる。ピンチとも捕らえられる今を、従来であれば使うことを躊躇してきた種類の笑いにも食指を動かしてみるチャンスと受け止める。  具体的には、からかう笑いを手始めに本末転倒や撞着、不運や皮肉の笑いを取り上げる。そしてこれらの笑いを今後、高次元のユーモア・スキルとして活用していける可能性を模索する。  各人がユーモアを生涯に渡り錬磨し続けていく。その波動が拡散しつつ浸透して、ひいては社会全体をも明るく照らす活力となる。そんな循環へ繋がることを願いとする。
  • 「笑う-笑わせる-笑われる」試論
    伊藤 理絵
    2023 年 30 巻 p. 93-108
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
    笑いとユーモアを科学するための理論構築に向けて、「笑いの三項共立モデル」を提示することを試みた。三項共立モデルでは、「笑い」を「笑う-笑わせる-笑われる」すなわち「現象項-誘引項-対象項」から成立するものとする。各項には2種類の質の異なる項が含まれており、「笑うLS/LSH」「笑わせるα/β」「笑われるn/N」の組み合わせにより、人間の多様な笑いを記述できる。本モデルで提示する三項が共立した「笑い」が、(a)現象的共起性、(b)発達的連関性、(c)言語的機能性、という3つの特徴を満たす場合、自発的微笑は三項が共立関係にない笑いとして、社会的微笑(社会的笑い)から区別できるかもしれない。さらに、本モデルは、笑いに限らず、あらゆる対象物に心を想定して関わろうとする人間の傾性を明らかにするモデルとなる可能性が示唆される。  三項共立モデルが笑いの理論構築を目指すモデルとして適切か否かは、今後、「笑い」と「非笑い」を想定して本モデルを前提とした研究を重ねていくことで証明されるだろう。
  • 高岡 しの
    2023 年 30 巻 p. 109-120
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,対人関係においてストレスを経験するような場面でユーモアを考え出すことが,その場面に対するストレス反応を軽減するかを探索的に検討することであった。大学生396名を対象とし,対人摩耗,対人劣等,対人葛藤の3つの対人ストレス場面のシナリオを用いて場面想定質問紙を実施した。提示場面においてユーモアを使って対処したユーモア対処群,ユーモアを使って対処するよう教示されたが考えだすことができなかった無回答群,場面を提示された直後にストレス反応を測定した統制群の3群について,各場面でのストレス反応を被験者間一要因分散分析により比較した。その結果,対人摩耗場面においては,不機嫌・怒り得点でユーモア対処群が統制群よりも有意に低い値であり,対人葛藤場面においては,すべてのストレス反応得点でユーモア対処群が統制群よりも有意に低い値であった。ベースラインのデータがない等の限界はあるものの,ある種の対人ストレス場面においてユーモアを考え出すことがそのストレッサーの影響を緩和する一助になる可能性を示した。
  • 福島 裕人
    2023 年 30 巻 p. 121-128
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
    新型コロナウィルス感染症(Covid-19)登場により,私たちはマスク着用,三密回避などの新しい生活様式の順守が求められるようになった。コロナ禍においてはマスク着用により顔の下半分が覆われてしまい,私たちは表情の表現と識別が困難になってしまった。そこで本研究ではマスク生活を少しでも楽しく過ごし,マスク着用下にあって笑顔や微笑(スマイル)の表情を補うために笑顔マスクの作成を行った。これらの実践報告及び基礎的な研究としてストレス値(唾液中アミラーゼ値)の測定を行い,その効果を検証することを目的とした。笑顔マスク作成においては不織布マスク(白色)やKF95マスク(韓国製・黒色)を使用した。笑顔マスクの作成により,笑顔を表現できるよう口元の表情を補うことで,お互いのコミュニケーションがより円滑になる印象を受けた。今後は対人援助領域等における多方面での活用が期待される。また,笑顔マスク作成前後における唾液中アミラーゼ値に関する予備的な検討からは,他者と一緒にマスクを作成するという行為そのものがストレス値を低減させる可能性も示唆された。本研究では対照群が設けられておらず,またサンプルサイズも小さいことから断定的な表現はできないが,笑顔を思い浮かべて仲間等と楽しみながらマスクを作成するという行為そのものにストレス緩和効果が期待できるのかもしれない。
  • 先行研究の整理と展望
    渡部 直人
    2023 年 30 巻 p. 129-144
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿では、「落語とは何か」を考えていくうえでの足がかりを作るべく、先行研究の論考を整理しつつ、現代の落語の変化について考察する。  本稿では落語という芸の性質を考察した論考を三本取り上げた。その結果、落語は、落語家と客との予想以上に複雑な関係性によって成り立っていることが分かった。桂米朝の「演者が消滅するという演法」、野村雅昭の「はなし」の二重構造性、及び落語の構造モデル、そして野村亮太の「メタ・コミュニケーション」と「メタ発話」という概念は、現代の落語を考えるうえで、非常に有用と考える。今後は、時代背景の視座も含め、共時的かつ通時的に、落語を取り巻く環境を考慮に入れた分析が必要になってくるだろう。
  • その歴史的変遷と今後
    長島 平洋
    2023 年 30 巻 p. 145-160
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
    日本においてユーモアという外来語は笑いという言葉に圧倒されている。いまはユーモアと言えばほとんど笑いの同義語として用いられ、独自の意味も曖昧なまま、ただカッコよいから使われるだけの存在で、このままいくと死語になってしまう可能性もある。ユーモアの科学的定義は必要とされつついまだなされていないらしいが、私が欲しいのはそんな科学的で厳密な定義ではなく、われわれが気軽にユーモアという言葉を使ったときにそれを支える素朴な概念なのだ。私は、そのためユーモアという言葉がどうして生まれ、どのように使われてきたのか、そして現在はどうなのかを、笑いという言葉と比較しながら調べてみた。そして将来どうしたら気軽に使えるかも考えてみた。これはその集成レポートである。読まれたみなさんのご意見・ご批判を仰ぎたい。
  • 夢路いとし・喜味こいしの元マネージャー・津田愼一氏の回想―〈その2〉
    やまだ りよこ
    2023 年 30 巻 p. 161-173
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
     日本笑い学会の研究企画の一環として、長く「笑い」に携わった方の体験談から上方笑芸の見えない側面や裏面を探り、記録に残す<拾遺録>です。  前号の〈その1〉に続いて、上方漫才のレジェンド―夢路いとし・喜味こいしのマネージャーとしてお二人を長く支えた津田愼一さんの聞き書き〈その2〉を掲載します。  昭和52年(1977)にお二人の専属マネージャーとなった津田さん。当時、上方の漫才界を牽引した秋田實氏が亡くなり人気漫才師の他界や廃業で漫才界は衰退。ところが55年(1980)に空前の漫才ブームが到来、57年(1982)にはNSC(吉本総合芸能学院)もできて新世代漫才が台頭、変化の流れはM-1グランプリ(2001年~2010年、2015年~)へと続いて加速していきます。  そんな激変する漫才界にあって王道の笑いを変わらぬ姿勢で届けたいとし・こいしさん。津田さんの回想はお二人の笑いのありようだけではなく、プロに徹した漫才人生や人柄をも物語る貴重なものとなりました。〈その2〉も一人語りとしてまとめています。
  • 茨木 正治
    2023 年 30 巻 p. 175-176
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 雨宮 俊彦
    2023 年 30 巻 p. 177-179
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 村島 義彦
    2023 年 30 巻 p. 180-181
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 瀬沼 文彰
    2023 年 30 巻 p. 182-183
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 伊藤 理絵, 森田 亜矢子, 松阪 崇久, 白井 真理子, 野村 亮太, 石田 聖子
    2023 年 30 巻 p. 185-188
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/03/05
    ジャーナル オープンアクセス
  • 森下 伸也
    2023 年 30 巻 p. 196
    発行日: 2023/08/26
    公開日: 2024/03/05
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