雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
一年生畑雑草の発生生態に関する研究
5. 発芽温度条件と季節的発生消長との関係
渡辺 泰広川 文彦
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 21 巻 2 号 p. 56-60

詳細
抄録

(1) 一次休眠を破った種子の発芽温度条件を明らかにし, これを用いて, 地温の季節的分布から雑草の季節的発生消長の機構を検討した。
(2) 暗所系列では, シロザは発芽に変温を要し, 低温が5℃で日較差が大きいほど発芽率が高かった。しかし, 低温域が10℃以上では種種の変温条件下でもあまり発芽しなかった。ヒメイヌビエは, 高温域が20℃以下では変温しても発芽せず, 25℃では低温域が5℃の場合に良く発芽した。30℃になると恒温でも相当発芽した。発芽開始直前に5分間自然光照射を行った系列では, 各雑草とも発芽率が著しく高まり, 温度条件が不適なほどその効果が顕著であった。
(3) 暗所での温度条件に対する発芽曲線を描き, この図から時期別の日最高・最低地温に対応する発芽率を読みとり, 実際の発生と比較した。シロザとヒメイヌビエの5~9月の発生消長は地温の分布から説明できたが, シロザの10月およびオオイヌタデの6~10月の発生は埋土種子の二次休眠が関与しており, 地温のみで直接説明することはできなかった。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top