雑草研究
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温州ミカン園におけるブロマシル除草剤の連年使用の影響に関する研究
第2報 残効期間および土壌残留に及ぼす影響
高橋 健二坂井 義奉原田 豊広瀬 和栄
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1978 年 23 巻 1 号 p. 28-32

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抄録

本研究は, 温州ミカン園用除草剤として多用されているブロマシルについて, その連年使用が土壌中の残効および残留, 土壌の化学的性質に及ぼす影響を明らかにするために行った。
1. 残効性については, 連用7年目の連用土壌と, 隣接の除草剤未使用園に対照区を設けて初処理土壌区とし, それぞれの区に所定量のブロマシルを処理してその後経時的に2, 3, 4, 5か月後に採土し, 各時期の土壌にダイコンを播種して生物検定を行った。土壌中の残留については, 同様な方法で連用9年目の土壌を供試してガスクロマトグラフィによる分析を行った。また, 連用8年後の土壌を供試し, 各種の分析法を用いてその化学的性質を調査した。
2. ブロマシルの連用が残効期間に及ぼす影響: 連用土壌においては, 初処理土壌に比較してa当たり20g区で処理3か月目に殺草効果を示さなくなるなど, 連用によって明らかに残効期間が短縮した。
3. 土壌中の残留量: 連用土壌においては, 初処理土壌に比較して, 3か月後に, 初処理土壌中の残留量の約14%に減少しており, 連用してもプロマシルは蓄積残留せず, 却って初処理土壌より減ることが認められた。
4. 土壌の化学的性質に及ぼす影響: 腐植, 全窒素は連用土壌において減少することが認められ, 処理濃度が高いほどその傾向が著しい。これは, 草量の減少によるものと考えられる。

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