2024 年 16 巻 2 号 p. 123-129
患児の服薬に対する保護者の不安解消は薬局薬剤師の重要な課題の一つだが,出生順位に着目した報告は少ない.本研究では,東京の当社保険薬局13店舗に2021年12月から翌年1月までに来局した患児の保護者に対し,服薬させる際の不安事項を調査した.269名の有効回答が得られ,乳児(1歳未満)の保護者からの回答率は,第一子群で「副作用」「アレルギー」「薬の強さ」が同値で最も高く,第二子以降群で「副作用」「飲む薬は何に混ぜてよいのか」「特になし」の順に多かった.幼児(1歳以上6歳未満)の保護者からの回答率は,第一子群で「飲む薬は何に混ぜてよいのか」「副作用」「薬の強さ」,第二子以降群で「特になし」「味やにおい」「飲む薬は何に混ぜてよいのか」の順に多かった.したがって,患児の服薬に対して保護者が不安とする事項は,患児の出生順位で異なることが示唆され,その傾向には保護者の育児経験が影響する可能性が推察される.