日本養豚学会誌
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桃園種精液の一般性状と凍結保存
金丸 英伸丹羽 太左衛門門司 恭典鈴木 伸一
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1988 年 25 巻 3 号 p. 153-160

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抄録
桃園種精液の有効利用を目的として, 精液の一般性状を調査するとともに, ストロー法および錠剤化法による凍結保存を行ない, 凍結保存処理過程における精子の生存性, 形態および代謝能について調査し, 改良種のそれと比較検討した。
1) 3頭の桃園種より採取した43例の射精所要時間は7分27秒, 1射精の精液量は176.65±5.54ml, 液体部量は121.70±4.66ml, 膠様物量は54.05±2.81g, 精子濃度は1.64±0.17億/ml, 1射精の総精子数は217.1±30.18億, 精液のpHは7.02±0.04, 採取時の精子生存指数は80.70±1.18, 異常精子率は32.82±3.00%であった。
2) 凍結保存処理過程が進むに従い, 精子生存性は低下傾向を示し, 精子のアクロソーム損傷率およびGOT値は増加した。精子の酸素消費量と精液中の乳酸蓄積量は凍結融解後で最も高く, 次いで第1次希釈後, 凍結前の順であった。
3) 凍結融解後の精子生存指数はストロー法では43.5±1.67, 錠剤化法では51.25±2.51と錠剤化法がストロー法に比べ良好な値であったが, アクロソーム損傷率はストロー法が低い値で, GOT値および代謝能については有意差は認められなかった。
4) 桃園種精子の生存性および代謝能は改良種精子に比べ低い値を示したが, 人工授精を実施する上において充分な結果であるものと思われる。
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