日本養豚学会誌
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ランドレース種3系統豚の血液型からみた遺伝的特性
大石 孝雄兵頭 勲神部 昌行三上 仁志西田 朗
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1990 年 27 巻 1 号 p. 41-47

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抄録
わが国で造成されたランドレース種3系統豚の血液型遺伝子頻度を基にして, その遺伝的特性について考察した。調査した3系統は, 東京都, 岩手県, 宮崎県のそれぞれにおいて造成されたものである。調査した血液型は, 赤血球抗原型8, 血清蛋白質型5, 赤血球酵素型5, 血清アロタイプ2の合計20座位である。3系統豚第7世代 (G7) の血液型遺伝子頻度を相互に, また関東地域で抽出調査した対照のランドレース集団と比較したとき, 東京G7はE, F, Hp, PHI, 岩手G7はA, F, Pa, Am, 宮崎G7はL, Hp, 6PGDなどの座位で特徴がみられた。均質度指数, 平均ヘテロ接合の割合, 多型遺伝子座の割合, 対立遺伝子の有効な数による遺伝的変異性の比較では, 均質度指数で3系統豚は0.415~0.443と対照集団 (0.378) より均質度が高くなっており, この結果は他の指標でも同様で, 遺伝的変異性は小さくなっていた。遺伝的距離係数によって相互の遺伝的距離を分析したところ, 3系統豚と対照集団との間の距離に比較して, 系統間相互の距離はさらに大きくなっており, 品種間に近い値であった。また東京G7が対照集団と最も近い距離を示した。ストレス感受性座位と連関しているH, PHI座位の基礎世代 (G0) とG7の遺伝子頻度を比較すると, 東京G7におけるPHIBの減少が顕著であった。
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