Annals of Cancer Research and Therapy
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2 巻, 2 号
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  • Hidetoshi Inoko, Nobuhisa Mizuki
    1993 年 2 巻 2 号 p. 173-191
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
  • Akishige Ohta, Takashi Matsubayashi, Hitoshi Takahara, Mineko Uemae, S ...
    1993 年 2 巻 2 号 p. 193-198,169
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    骨転移に対する放射線の照射効果を実験的に調べるための動物モデルをつくることを目的として,近郊系のラットに発癌物質で発生させた乳癌細胞を骨髄腔に移植し,形態学的•X線学的検索を行い,骨転移ラットモデルの性質について検討した.
    [対象と方法]乳癌(腺癌)は,近郊系雌性のFischer-344系のラットに7,12-dimethylbenz (a) anthracene (DMBA)を経口投与して発生させた.この乳癌を同系のラット皮下に移植して継代維持のできる移植性乳癌を得た.この移植性乳癌細胞を同系ラットの骨髄腔に注入して転移性骨腫瘍の動物モデルを作成した.
    本研究では,乳癌細胞をラットの膝の部位から大腿骨の骨髄腔に移植した時の動物の生存率の測定,X線写真および組織病理学的検索を行った.また,乳癌細胞を移植した大腿骨に対するX線照射の影響も調べた.
    [結果]本実験で使用したラット移植性乳癌細胞は,同系のラットの皮下あるいは骨髄腔に移植すると,移植したラットの全例に生着した.
    100万個の乳癌細胞をラットの皮下および骨に移植したときの生存日数は,それぞれ47±24日と21±11日であった.乳癌細胞を移植された骨では,移植後約7日目頃からX線写真上に骨膜反応が認められた.
    組織学的には移植後,内膜および骨膜表面の休止期の扁平な骨芽細胞層の近傍から多数の骨芽細胞と破骨細胞が発生した.腫瘍組織の増大に伴って,既存骨および新生骨の両部位における破骨細胞による骨溶解と腫瘍細胞による骨損傷が進行して,最終的に骨折や骨破壊が起こって動物は死に至る.乳癌細胞を骨に移植したラットでは,全例に乳癌の肺への転移が起こった.一方,同様に皮下に移植したラットでは,乳癌の肺への転移は認められなかった.乳癌細胞を移植した部位の骨をX線で照射するとラットの寿命は延長した.
  • Junichi Sakamoto, Tadashi Watanabe, Tomoyuki Kato, Hiroshi Takagi, Tsu ...
    1993 年 2 巻 2 号 p. 199-203,169
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    大腸癌培養細胞HT-29の細胞表面に発現しているシアル化Lewisa抗原に対するモノクローナル抗体(MoAB)H-15を精製し,ペプシン,パパインによりFab,F(ab')2のfragmentを作成して,in vitro, in vivoの系においてdosimetry analysisを行い,腫瘍画像診断における有用性を検討した.
    [対象と方法]in vitroの系では,whole MoAbとFab,F(ab')2の抗原に対する親和性を大腸癌培養細胞株SW403をターゲットとして,mixed hemmagglutination test (MHA)にて判定した.in vivoの系では,whole MoAbとF(ab')2の双方をクロラミンT法にて125Iにより標識し,ヌードマウス腹腔内に投与し,その腫瘍:筋肉比,腫瘍:肝比,および腫瘍:血液比を抗体投与直後より7日目まで連日測定した.また,標識抗体投与後4日目には,移植大腸腫瘍,移植メラノーマ,血液,肝,正常大腸,および筋肉における%injected dose per gram (%ID)の測定も行った.
    ヌードマウスにおける腫瘍画像診断は,125I標識抗体(whole MoAbとF(ab')2 fragment)投与後連日シンチレーションカメラを用いて,A-PおよびP-A画像の撮影を行った.
    この結果をもとにして,直腸癌局所再発患者1例において131I標識F(ab')2抗体を投与し,ガンマカメラを用いて抗体の局在を検討した.抗体投与による重篤な副作用は認められなかった.
    [結果]ヨード標識をしたwhole MoAbとFab,F(ab')2の大腸癌細胞株SW403に対するMHAテストではwhole MoAbが×104,Fabが×10,F(ab')2が5×103の希釈まで反応を示した.この結果,H-15MoAbに関しては,放射性ヨード標識後はFab fragmentの抗原結合能がいちじるしく低下することが明らかになった.
    in vivoの系においては,標識抗体投与後4∼7日目において腫瘍:筋肉比がwhole MoAbで×5,F(ab')2では×75であり,腫瘍:肝比は,whole MoAbで×3,F(ab')2で×25,腫瘍:血液比はwhole MoAbで×1.5∼1.8であるのに対し,F(ab')2では×10とF(ab')2 fragmentのより高い腫瘍特異的集積が明らかになった.また,%IDもF(ab')2は移植大腸腫瘍0.56(whole MoAbでは0.36),移植メラノーマ0.03(0.08),血液0.09(0.25),肝0.07(0.10),正常大腸0.05(0.09),筋肉0.02(0.06)と移植大腸腫瘍部において高値を示していた.ヌードマウスにおける画像診断では,F(ab')2抗体投与後36時間で,移植大腸腫瘍部に抗体の集積がみられ,whole MoAbに比し,早期に腫瘍画像を得ることができた.また,直腸癌局所再発症例においてF(ab')2を投与した1例では,投与後3日目において腫瘍画像が抽出され,臨床応用への有用性が示唆された.
    [考察]wholeのMoAbに対しF(ab')2 fragmentを腫瘍画像診断に用いることは,(1)早いclearance,(2)抗体の腫瘍へのaccess,(3)Fcによる非特異的集積の減少などの利点があるといわれている.
    今回の検討により,in vivo, in vitro,また臨床の場においてもF(ab')2 fragmentの高度な腫瘍特異的集積が証明され,今後の臨床応用への有用性が示されたものと考えられる.
  • Kiyoshi Maeda, Yong-Suk Chung, Yasuyuki Kato, Naoyoshi Onoda, Atsunori ...
    1993 年 2 巻 2 号 p. 205-208,169
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    近年,糖鎖抗原は腫瘍マーカーとして重要な位置を占めている.糖鎖性腫瘍マーカーの一つであるcarbohydrate antigen 19-9 (CA19-9), sialyl Lewisx-i (SLX)などは基幹糖鎖を抗原としたものであるが,これに対しシアリルTn抗原(sialyl Tn antigen, STN)はモノクローナル抗体TKH2が認識する糖鎖抗原であり,母核糖鎖に属する.近年,STN抗原の癌関連抗原としての意義が認識され,各種癌において新しい腫瘍マーカーとして注目されている.
    今回,筆者らは術後再発および再発形式と原発巣におけるSTN抗原の発現との関係について免疫組織化学的に検討した.
    [対象と方法]1986,87年に当院に入院した胃癌患者のうち,治癒切除された152例を対象とした.
    これらの症例の切除標本を10%ホルマリン固定の後,パラフィン包埋し4μm切片を作成した.一次抗体としてTKH2 (Otsuka Assay Lab.)を20倍希釈して用い,室温にて組織切片と1時間反応させた.streptoavidine-biotin法にて免疫組織化学染色を行い,発色はdiaminobenzidineを用いた.判定は切片を光顕的に観察し,癌組織中の陽性範囲が5%以上のものを陽性とした.
    有意差検定はX2検定を用いた.
    [結果]STN抗原は胃癌組織,特に細胞質,細胞膜において強い発現を認めた.胃原発巣におけるSTNの発現は74例(48.7%)にみられた.
    臨床病理学的諸因子別にSTNの発現を検討した.リンパ節転移陽性症例ではリンパ節転移陰性の症例にくらべて有意に(P<0.01)STNの発現率は高かった.また,壁深達度,組織学的進行度が進むにつれ,STN発現率は高値を示した.
    STNの発現と予後との関係については,STN発現陽性例では有意に(P<0.01)予後不良であった.
    [結論]胃癌組織中のSTN抗原の発現は組織学進行度と相関し,STN抗原発現例では発現陰性例にくらべ,有意に予後不良であった.STN抗原の免疫組織化学的検討は予後の指標の一つとして,また術後の補助療法の選択において有用であると思われた.
  • Yuichi Iino, Noritaka Sugamata, Susumu Ohwada, Takao Yokoe, Yoshiki Ta ...
    1993 年 2 巻 2 号 p. 209-212,170
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    原発進行乳癌24例において術前治療前後のエストロゲンレセプターおよびプロゲステロンレセプターがdextran-coated charcoal法で測定された.エストロゲンレセプターレベルの平均値は,術前治療後有意に低下(P<0.005)したが,プロゲステロンレセプターレベルの平均値は有意には変動しなかった.すべての症例においてエストロゲンレセプターもプロゲステロンレセプターも陰性から陽性へとは変動しなかった。治療前におけるレストロゲンレセプターの平均値は有効例のほうが無効例よりも高かった.レストロゲンレセプターレベルの平均値は,有効群では有意に低下(P<0.03)したが,無効群では有意には変動しなかった.
    これらの結果は,ホルモンレセプターに関しては定性よりも定量的値のほうが臨床的により有用であることを示している.ヒト乳癌のエストロゲンレセプターレベルは通常,治療後に低下するかまたは変動しないかのどちらかであり,陰性から陽性に変動することはないと思われる.
  • Yuichi Iino, Noritaka Sugamata, Takao Yokoe, Susumu Ohwada, Hidetada A ...
    1993 年 2 巻 2 号 p. 213-216,170
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    21人の局所進行乳癌患者を対象にアンスラサイクリン系抗癌剤を用いた術前化学療法が行われた.奏効率は術前ホルモン療法や術前照射を行った18人のhistorical control群の乳癌患者よりも高かった(48%対28%,P<1.0).導入化学療法後に定型的乳房切除術や拡大乳房切除術が施行され,stage IIIまたは炎症性乳癌患者の90%が治癒切除であった.両群間の生存曲線に有意差はなかったが,術前化学療法群の50%生存期間はコントロール群のそれよりもながかった(118ヵ月対23ヵ月).術前の化学療法剤としてアンスラサイクリン系抗癌剤であるアドリアマイシン,エピルビシン,THP-アドリアマイシンが,それぞれ単剤または他剤との併用で用いられた.副作用は耐えうるものであった.
    アンスラサイクリン系抗癌剤を用いた全身性化学療法は,集学的治療の一環として局所進行乳癌に有効である.
  • Motohiro Tanaka, Yasuhiko Tatsuzawa, Hiroyuki Uchida, Yoh Watanabe, Ta ...
    1993 年 2 巻 2 号 p. 217-222,170
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    肺癌に対する術後多剤併用化学療法の有用性を検討する目的で,受精鶏卵の漿尿膜上にヒト腫瘍が移植可能な実験系(鶏卵法)を抗癌剤感受性試験として応用し,臨床効果との比較を行った.
    [対象と方法]本施設において手術を施行された原発性肺癌117症例に対し,その切除材料を用いて抗癌剤感受性試験を行った.内訳は男91例,女26例で,年齢は平均64.3歳,組織型別では腺癌51例,扁平上皮癌46例,腺扁平上皮癌8例,大細胞癌5例,小細胞癌7例であった.孵卵11日目の受精鶏卵の漿尿膜上に細切した腫瘍を移植し,3日後に抗癌剤を漿尿膜の血管内に投与した.腫瘍移植の7日後に生育した腫瘍塊を摘出して抗腫瘍効果を判定した.抗癌剤は,臨床投与量を胎児の平均体重に換算して投与した.現在,肺癌に対して頻用されているCDDP+VDS(PV療法),CDDP+ADM+MMC(PAM療法),MMC+VDS+CDDP(MVP療法)の三つの多剤併用化学療法について鶏卵法と臨床効果との比較検討を行った.感受性試験を行った117症例のうち,臨床効果との相関性が検討可能な症例は26例であった.
    臨床効果は,術後のfollow upを参考にし,IV期または絶対非治癒切除例では1年,それ以外のIII期では2年,II期では3年以上生存した場合その化学療法を"有効"と判定した.
    [結果]鶏卵法を用いて感受性試験を行った117症例に対する各化学療法の有効率は,PV療法が16.9%,PAM療法が13.8%,MVP療法が19.0%であった.肺癌の大部分をしめる腺癌と扁平上皮癌についてプロトコール別に有効率をみると,腺癌に対してPV療法は14.8%,MVP療法は17.6%であり,扁平上皮癌に対してPV療法は23.8%,MVP療法は42.1%であり,特に扁平上皮癌に対するMVP療法の有用性が示唆された.retorospectiveに臨床効果との相関性が評価可能な26症例のうち観察期間の短い症例を除く24例の臨床相関性はtrue positiveが4例,true negativeが15例,false negativeが5例であった.以上より鶏卵法の肺癌に対する臨床での併用化学療法の予測率は79.2%であった.
    [考察]肺癌は比較的早期から遠隔転移を生じやすいという臓器特異性があり,予後の改善には術後の全身化学療法の併用が不可欠である.したがって,肺癌の個々の症例に対して有効な術後の多剤併用化学療法が選択できる抗癌剤感受性試験法が開発されれば,肺癌の治療成績の向上に大きく貢献できると考えられる.本研究は,臨床に即した多剤併用化学療法を評価できる感受性試験法としてin vivo鶏卵法の基礎的な検討を行い,臨床効果との相関性を検討した.鶏卵法を用いた感受性試験法は,短期間に効果判定が可能であり,試験成功率も高く,肺癌に対する多剤併用療法が的確に評価可能である.
    さらに,臨床効果の予測率が高く,再現性も良いことから,有用な抗癌剤感受性試験であると考えられた.
  • Tatsuo Makino, Yoshikazu Noguchi, Akira Tsuburaya, Kuniyasu Fukuzawa, ...
    1993 年 2 巻 2 号 p. 223-226,171
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    胃癌の直接浸潤または腹膜播種による横行結腸再発はけっしてまれではないが,横行結腸への孤立性再発は非常にまれである.今回筆者らは,胃癌根治術後10年目に横行結腸に孤立性の再発をきたした1例を経験したので報告する.
    症例は52歳の男性で,1976年に胃癌に対してAppleby手術を施行した.肉眼的にはM領域症小弯を中心とした潰瘍性病変であり,組織学的には低分化腺癌でse,n1であった.術後経過は非常に順調であったが,1986年満腹感を主訴に近医を受診し,注腸検査にて横行結腸の狭窄を指摘され当科を受診した.大腸内視鏡検査では,狭窄部位粘膜は浮腫を伴った不規則な多数の結節を呈していたが,潰瘍性病変は認められなかった,また,生検では悪性組織は得られなかった.確定診断つかないも狭窄部位切除の目的で手術を施行した.開腹所見では,横行結腸の中央部に約10cmの腫瘤を認め,横行結腸切除術を施行した.標本の粘膜面は浮腫状を呈しており,一部に結節を形成していた.組織学的には漿膜下を中心に低分化腺癌を認め,癌細胞は粘膜下にまで達していたが粘膜面は正常であり,結腸外から浸潤してきたものと考えられた.また,癌組織所見が前回の胃癌組織と非常に類似しており,以上より胃癌術後10年目に横行結腸再発をきたした症例と診断した.
    胃癌の再発は約80%が術後5年以内に起こるといわれており,筆者らの施設でも,86.5%が治癒切除後3年以内に起こっている.
    胃癌の大腸への孤立性転移という形での再発例はまれであり,筆者らの症例を含めて検討してみると,約40%のものは5年以上経過してから再発しており注目すべき点である.また,肉眼型はBorrmann3型で,胃体中部に存在するものが多く,進達度はすべてssγあるいはseとps(+)の症例である.この症例はse,n1であり,大腸への転移経路としては腹膜播種がもっとも考えられるが,血行性,リンパ行性に起こった可能性も否定しきれない.また,linitis plastica型の大腸癌との鑑別も必要である.ただこの型のものは圧倒的に直腸,S状結腸に発生するものが多く,横行結腸という部位,腸管壁内の癌の進展形式などより,筆者らの症例は胃癌の孤立性転移と考えられた.
    胃癌術後再発例において,切除できる症例は多くはないが,10年経過してから再発を確認し切除できる症例もあり,手術後長期にわたる経過観察は非常に重要であると思われた.
  • 林 知己夫
    1993 年 2 巻 2 号 p. 229-232
    発行日: 1993/12/28
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
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