Annals of Cancer Research and Therapy
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3 巻, 2 号
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  • pathogenesis and possible role of cytokines
    Kuniyasu Soda, Masanobu Kawakami
    1994 年 3 巻 2 号 p. 73-81
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
  • Problems in the investigation of QOL
    Kunihiko Kobayashi, Shoji Kudoh, Hisanobu Niitani
    1994 年 3 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    This article describes the progress and the problems of QOL studies in the West, the development of QOL questionnaires in Japan, and studies performed using such questionnaires. In general, the same method of assessing QOL used in the West could be employed in Japan, but problems with the acceptability of the QOL questionnaires, the way of evaluating overall QOL, and the influence of information on the diagnosis of cancer were picked up. The QOL studies performed in Japan provide some answers to these problems in this review.
  • Akihito Torii, Akio Harada, Akimasa Nakao, Toshiaki Nonami, Masafumi I ...
    1994 年 3 巻 2 号 p. 91-96,69
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    [目的]正常肝組織の胆管付属腺および肝内胆管癌におけるLewis-X(LeX)とSialy-Lewis-X(SLeX)の発現を免疫組織化学的に検索し,その意義について検討した.
    [対象と方法]名古屋大学の剖検例より得られた9例の正常肝組織,名古屋大学第二外科および関連病院で手術的に切除された24例の肝内胆管癌症例を対象とした.
    免疫組織化学的検討は,LeX, SLeX, HLA-DRに対するモノクローナル抗体を用い,Peroxidase labeled streptavidin-biotin techniqueにて行った.
    LeX,SLeXの染色様式は以下の4typeに分類した.type-N: negative, type-P(+): membranous or cytoplasmic type with polarity, type-P(-): membranous or cytoplasmic type without polarity, type-S: stromal staining adjacent to the cancer cells.
    [結果]剖検例より得られた9例の正常肝組織における検討で,LeXは6例に胆管付属腺(peribiliary grand)での発現を認めたが,胆管上皮細胞では全例で発現を認めなかった.それに対し,SLeXは4例に胆管付属腺での発現を認めたが,同症例で胆管上皮細胞にもその発現を認め,胆管付属腺で発現のなかった5例では,胆管上皮細胞でも発現を認めなかった(Table 1).
    24例の肝内胆管癌症例のうち,17例が肝門型,7例が末梢型であった.LeXの染色様式はTable 4に示す.Table 5に示すようにHLA-DR陰性症例は陽性症例に比してtype-N•-P(+)症例が多かった.肝門型において,5年生存率は,type-P(-)•-S症例はtype-N•-P(+)よりも良好な成績を示した(Fig.4,有意差なし).末梢型では,LeXの染色様式にかかわらず,予後不良であった.
    SLeXに関してはHLA-DRの染色様式との関連は認めなかった.また,SLeXの染色様式による生存率の相違もみられなかった.
    [考察]近年肝内胆管周囲にみられる胆管付属腺が肝内胆管癌の原発臓器として注目されている.筆者らも以前に肝内胆管癌におけるHLA-DRの発現から,同様の報告をした3).正常肝組織ではLeXはHLA-DRと同様に胆管付属腺で発現するが,胆管細胞上皮では発現しない.本論文ではこのような性質を有する膜抗原を検索することで,肝内胆管癌のOrigin,さらに予後についても検討できるという可能性を示した.
  • Maki Mitsuhashi, Katsumi Yamauchi, Takaji Furukawa, Kyouichi Hamano
    1994 年 3 巻 2 号 p. 97-101,69
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    [目的]担癌患者においては,多くの免疫抑制因子が存在し,癌は生体の免疫監視機構をすりぬけて増殖する.腫瘍特異的サプレッサーT細胞は,癌に対する細胞障害性T細胞(CTL)の活性を抑制すると考えられており,癌患者からCTLを誘導するためにはサプレッサーT細胞を抑制する必要がある.今回,癌患者末梢血よりCTLを誘導する系でCyがCTLの誘導に与える影響について.討した.
    [方法]Ficoll-Hypaqueを用いた比重遠心法により癌患者末梢血単核球を分離し,200μg/mlのMMCで60分間処理した自己癌細胞,または当科で樹立したHLAclass-Iの明らかな癌細胞株と50:1の割合で3日間混合培養を行った.その後,1,000U/ml IL-2を加えた培養液でさらに4日間培養しCTLを誘導した.CTL活性はすべて4時間51Cr放出試験にて測定した.(1)in vitroでのCyの効果を調べるために,Cyを0.1∼10μg/mlの濃度で腫瘍リンパ球混合培養時に加え,3日後Cyを除いたあとIL-2を加え,さらに4日間培養しCTL活性を比較した.(2)in vivoでの検討では,300mgのCyを癌患者に投与し,2日後に得られた末梢血単核球から同様の方法でCTLを誘導し,Cy投与前のCTL活性と比較した.
    [結果]腫瘍リンパ球混合培養時に0.1,1.0,10μg/mlのCyを添加すると,10μg/mlの濃度で4回の実験中3回でCTL活性が増強された(0±0.9%から73.4±12.9%,5.2±2.5%から19,6±5.3%,39.5±0.4%から44.9±0.7%).つぎに300mg投与した前後のCTL活性を調べると(2人の患者を各々,実験1,実験2とする),実験1ではCyを投与することによってHLA class-IのA locusが一致する腫瘍に対する抗腫瘍活性が非常に増強するとともに(15.9±1.1%より26.5±1.1%),HLAの一致しない同種癌細胞に対しても活性が増強した.
    実験2ではすべての腫瘍に対する活性が増強されたが,とりわけHLA class-IのA locusが一致した腫瘍に対する活性が増強された(7.6±2.3%より28.7±2.3%).
    [考察]筆者らは以前,進行した肝癌患者に対するCTL療法はLAK療法よりも効果的であることを報告した.しかし,なかには,この方法が奏効しない患者もあり,癌の進行につれて増加する様々な免疫抑制因子を除去しなければならないと考えてきた.
    今回の検討では比較的少量のCyを患者に投与することによって,CTL活性の低い患者にもCTLが誘導可能となり,その活性はHLA class-Iの一部が一致する腫瘍のみならず,HLAの一致しない腫瘍に対しても増強されることより,CyはCTLのポリクローナルな増殖を誘導すると考えられた.養子免疫療法にCyを併用することは非常に有用と考えられた.
  • Hiromitsu Saisho, Taketo Yamaguchi, Tadamichi Denda, Hisashi Tokita, M ...
    1994 年 3 巻 2 号 p. 103-108,70
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    進行膵癌の治療において抗癌剤を用いた化学療法は重要な位置を占めるが,現在のところその治療成績はあまり期待できない.筆者らは進行膵癌治療において抗癌剤感受性試験を応用し,化学療法の成績向上を試みた.
    [対象と方法]切除不能な進行膵癌19例(男11例,女8例,平均年齢64歳)に対し,経皮的針生検によって得られた組織を用いて抗癌剤感受性試験を行った。感受性試験は時田等によって開発された,核の形態変化を応用したnuclear damage assay (NDA)によって行った.組織採取は21G組織生検針を用いて超音波映像下に経皮的に行い,得られた癌組織を細切遠心分離し,一定濃度の抗癌剤を溶解した培養液中で4∼8時間incubationした.核の変化は断裂,破砕あるいは濃縮を陽性所見とし,その出現数を対照との間で統計的に5%以下の危険率で判定した.感受性試験の成績により陽性薬剤のある場合はもっとも核変化の大きい薬剤を1剤,また陽性薬剤のない場合は5FUをそれぞれ単独で投与し,その効果を比較検討した.
    [成績]19例中16例において感受性試験の判定が可能であった.1例当たりの判定可能薬剤数は平均6.7剤で,16例中13例に陽性薬剤が得られ,その平均は12剤であった.CDDP,JM8が比較的陽性率の高い薬剤であった.固形癌化学療法効果判定基準による評価では,陽性薬剤治療群13例でComplete Response (CR) 1例,No Cange (NC) 5例,Progressive Desease (PD) 7例であったのに対し,5FU治療群3例全例がPDであった.Generalized Wilcoxon検定では陽性薬剤治療群のほうが5FU治療群にくらべ,有意に生存期間の延長が認められ,また,それぞれの平均生存期間は23.4週間と11.1週間であった.CRの得られた症例は75歳の男性で,診断時すでに肝転移がみられた.感受性試験によりVP16が陽性と判定され,経静脈的に80mg/m2を2クール行った結果,画像上原発巣および転移巣とも消失し,1年10ヵ月長期生存した.
    [考察]癌は同一組織に発生したものであっても,抗癌剤に対する感受性は各々の症例で異なることが知られている.症例ごとに適切な薬剤を選択し,化学療法の成績を向上させようとする目的で,様々な感受性試験が考案されているが,必ずしも臨床的に応用されているとは言いがたい.今回,切除不能進行膵癌に対し,経皮的針生検により開腹することなく組織採取し,感受性試験が施行可能なことを明らかにした.また,陽性薬剤治療群の成績が良好なことを示した.さらに,従来膵癌に対しほとんど無効と報告されているVP16によりCRが得られたことは,感受性試験により適切な薬剤選択が行いうれば,治療成績の向上に結びつくことを示唆するものと考えられた.
  • Yoshinari Ogawa, Yong-Suk Chung, Bunzo Nakata, Yasuyuki Kato, Kazuhiko ...
    1994 年 3 巻 2 号 p. 109-112,70
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    [目的]AgNORは腫瘍増殖活性を反映するとされているが,癌腫における予後因子としての有用性は報告により異なる.今回,乳癌におけるAgNOR染色像と臨床病理学的因子との関連および予後因子としての有用性を検討した.
    [対象と方法]乳癌157例(平均観察期間82ヵ月),対照として乳腺線維腫瘍9例,硬化性腺症9例,正常乳腺15例を用い比較検討した.AgNOR染色はCrocker法に準じて行い,1症例100核の核内dot数の平均値を算出し,AgNOR scoreとした.
    [結果]AgNOR scoreは,正常乳腺(1.97±0.22),硬化性腺症(2.19±0.26),線維腺腫(2.49±0.51)に比し,癌腫(3.95±1.17)にて有意に高値であった(p<0.001).乳癌においてAgNOR scoreは腫瘍径,リンパ節転移との関連がみられたが,閉経の有無,組織型,エストロゲンレセプターとの関連はみられなかった.乳癌症例を平均AgNOR score3.95を境としてAgNOR高値群と低値群の2群に分け比較すると,高値群の健存率は低値群に比し有意に不良であったが(p<0.05),生存率に有意差は認められなかった.多変量解析では,AgNOR scoreの独立した予後因子としての有用性は認められなかった.
    [考察]AgNOR scoreは,乳癌においても腫瘍増殖活性を反映すると考えられた.AgNOR scoreは独立した予後因子としての有用性を認めないものの,高値群と低値群間の健存率に有意差が認められることより,リンパ節転移など他の予後因子が不明な症例においては,再発予測因子として活用できると考えられた.
  • Haruhiko Nagami, Katsuhiro Tamura, Seikon kin, Seiji Yano, Tatsuyuki S ...
    1994 年 3 巻 2 号 p. 113-116,71
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    [目的]胃癌における腫瘍組織内CA19-9の免疫組織化学的発現を検討すると同時に,腫瘍生物学的悪性度の一指標であるAgNORs数を測定し,CA19-9染色強度とAgNORs数との相関を検討した.また,臨床病理学的因子別にAgNORs数CA19-9発現率を求め比較検討した.
    [対象と方法]胃癌50症例を対象に,ホルマリン固定後のパラフィン切片を用い癌部の薄切片を作製後,Plotonらの方法に準じ銀染色を行い,腫瘍細胞核200個の総AgNORs数を求め,1核当たりのAgNORs数を求めた.同時に抗CA19-9モノクローナル抗体を用い,SAB法により腫瘍組織内を免疫組織化学的染色した.なお,染色強度はG0: negative type, G1: apical or focal cytoplasmic type, G2: diffuse cytoplasmic type, G3: stromal typeの4型に分類した.
    [結果](1) 胃癌50例中,早期胃癌,進行胃癌のAgNORs数は4.99±1.33,7.04±2.45であり,進行胃癌が有意に高値であった.また,CA19-9の発現は33例(66.0%)において認められた.
    (2) 染色強度別のAgNORs数はG0:5.19±1.63(n=17),G1:5.78±2.26(n=5),G2:6.82±2.23(n=16),G3:7.76±2.80(n=12)であり,G2,G3はG0にくらべ有意に高値であった.
    (3) 病理学的因子別にみたAgNORs数は肉眼的進行度別にはstageIVはstageI,IIにくらべ有意に高値であり,腹膜播種性転移陽性例,漿膜浸潤陽性例,リンパ節転移陽性例においてAgNORs数は有意に高値であった.
    (4) 病理学的因子とCA19-9染色陽性率との関連は有意な相関は認めなかった.
    (5) 胃癌50例のAgNORS数の平均値である6.48をcut off pointとして50症例をAgNORs高値群,低値群に2分し,累積生存率を求めたところ,AgNORs高値群の予後が有意に有効であった.
    [考察]胃癌における腫瘍組織内CA19-9発現は古くはAtokinsonらの報告があるものの,いまだその臨床病理学的意義については明らかではない.今回,筆者らの症例では33例(66.0%)にその発現を認めたが,病理学的因子との相関は認めなかった.一方,腫瘍増殖能を反映するAgNORs数については進行癌は早期癌にくらべ有意に高値であり,さきの癌組織内CA19-9発現形式別にみれば,diffuse cytoplasmic type, stromal typeにおいてAgNORs数は高値であり,腫瘍増殖能の強度な細胞は機能的にCA19-9産生が充進している点がうかがえた.胃癌において癌進展度の強度例はAgNORs数は高値でありその相関性が認められた.さらに,AgNORs数高値群は明らかに予後不良であり,胃癌における予後規定因子になりうる可能性が示唆された.
  • Fumi Hayashi, Chikio Hayashi, Kyoji Ogoshi
    1994 年 3 巻 2 号 p. 117-120,71
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    HLA抗原によって胃癌の治療に対する反応が予測でき,HLA抗原を測定することにより,癌患者個人個人に適切な治療ができることをすでに発表している.本研究では,HLA抗原治療効果の関係をみるための,HLA抗原に基づく胃癌患者の分類を,数量化III類を使って行った.さらに臨床の場で適用しやすいようにその簡便な分類法を示した.
    数量化III類は林の開発した多次元解析の一つであり,調査対象(患者)の調査項目(HLA抗原)への反応パターンから項目の分類,対象の分類を同時に行うという考え方に基づく方法である.まず,626人のデータから分析し,後に741人のデータについて分析し,その安定性を確認した.
    HLA抗原は1%以上の頻度のあるものを取り上げ,次の42抗原についての分析となった.
    数量化分析の結果得られた42抗原の付置から,四つのクラスターができることがわかった.bクラスターはA3,A33,B12,B13,DR6:cクラスターはBw46,Bw54,Bw55,Bw56,Bw59,Cw1,DR4,DQw4,Bw54,Bw55,Bw56:dクラスターは,B7,B15,Cw7,DR1で,残りがaクラスターである.これに対応して得られる患者の付置から患者を四つの型(I型,II型,III型,IV型)に分けることができる.この患者の型はもっているHLA抗原をパターンでみた特徴としてとらえた分類である.
    ここで,この特徴を簡便にとらえるために,別の分類を考えた.T(b)はクラスターbのHLA抗原を二つ以上もつ患者でそれ以外がN(b),T(c)はクラスターcのHLA抗原を三つ以上もつ患者でそれ以外がN(c),T(d)はクラスターdのHLA抗原を二つ以上もつ患者でそれ以外がN(d),とした.これらの三つの分類は重複しているので改めてつぎのように四つの型を作成した.すなわち,(T(b)&N(c)&N(d))or(T(b)&T(c)&N(d))ならばI'型,(N(b)&T(c)&N(d))or(N(b)&T(c)&T(d))ならばII'型,(N(b)&N(c)&T(d))or(T(b)&N(c))&T(d))ならばIII'型,そしてこれ以外のすべてをIV'型とした.I∼IVの型分類とI'∼IV'の型分類との相関は非常に高いことが示された.
    741例のデータに関しても同様の分析を行った結果,42抗原の付置に多少の違いはあるが,クラスターとして安定していることが示された.2種類の群分けの相関関係も同様に安定していた.このことから,データが新しくなるごとに数量化III類の分析を行わなくても,決まったクラスターに属するHLA抗原の数を数えていけば作成できる後述のI'∼IV'の群分けは,今後臨床データで治療効果とHLA抗原の関係をみていくうえで有用である.
  • a multivariate analysis
    Kyoji Ogoshi, Yasuo Kajiura, Kenji Nakamura, Yasuo Miyaji, Kunihiro Iw ...
    1994 年 3 巻 2 号 p. 121-125,72
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
    胃癌は術後の補助療法が有効であるか,議論が多く,外国文献では無効であるとの報告が多い.そこで,筆者らの経験した胃癌切除例における術後補助療法の有用性につきretrospectiveに検討を行った.
    [対象と方法]対象は1976年10月より94年1月までに胃切除術が行われた胃癌症例541例である.術後の補助療法は,MMC(手術当日,MMC0.4mg/kg,翌日0.2mg/kg静注)+fluoropyrimidine剤(術後14日目より,futraful(600mg/day),または,5-FU(150mg/kg),または,HCFU(400mg/day),またはUFT(300mg/kg)内服)(MF群),fluoropyrimidine剤(F剤)で,それぞれにPSK(3.0g/day)を投与した(それぞれ,MF+PSK群,F+PSK群).また,同時期に行った胃切除術で,補助療法を拒否した症例や主治医が補助療法をしなかった症例を手術単独群として検討を行った.Coxの比例ハザードモデルを用いて予後因子(性別,年齢,腫瘍最大径,pTNMステージ,術後補助療法)を検討した.
    [結果](1) pTNMステージIB,II,III(IIIA+IIIB)およびIVの5年生存率は,それぞれ87.1%,69.1%,42.3%,6.6%であった(図1).
    (2) 術後補助療法は胃癌患者には有用であったが,化学療法とPSK併用化学療法との間には有意差を認めなかった(図2).
    (3) Coxの比例ハザードモデルを用いた予後因子の検討では,(1)胃切除術vs MF群では,pTNMステージ,年齢がもっとも強い予後因子で,ついで性別,腫瘍最大径,補助療法の順であった(表3).(2)胃切除術vs F群では,pTNMステージがもっとも強い予後因子で,ついで腫瘍最大径,補助療法の順であった(表3).(3)胃切除術vs MF+PSK群および胃切除術vs F群では,pTNMステージがもっとも強い予後因子で,ついで腫瘍最大径,補助療法の順であった(表4).(4)MF群vs F群では,pTNMステージ,年齢がもっとも強い予後因子で,っいで性別,組織型,補助療法の順であった(表4).(5)MF+PSK群vs F+PSK群ではpTNMステージがもっとも強い予後因子で,ついで腫瘍最大径の順であった(表5).
    (3) 10年相対生存率は,胃切除術,MF群,MF+PSK群,F群,F+PSK群は,それぞれ0.0%,61.9%,78.2%,57.2%,76.3%であった(図3).
    [考察] 西洋諸国では,胃癌に対する補助療法は有効ではないと報告されたり3),ステージII,III,IVの5年生存率も,Hallisseyらの報告では2),それぞれ,39%,18%,5%と予後不良でわが国の報告とは異なっていることより,胃癌そのものが異なっているのではないかと考えられている13).
    今回の検討では,胃癌に対する術後補助療法は胃切除術単独に比し有用であり,特にPSK併用化学療法の有用性が認められた.しかし,MF化学療法を選択する場合には患者の年齢を配慮する必要があり,高齢者には,非適応と考えられた.
  • その1
    林 知己夫
    1994 年 3 巻 2 号 p. 127-130
    発行日: 1994/12/26
    公開日: 2009/01/20
    ジャーナル フリー
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