家族研究年報
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41 巻
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シンポジウム報告
  • ―― マイノリティの恋愛と結婚の変化を手がかりとして ――
    土屋 葉
    2016 年 41 巻 p. 1-4
    発行日: 2016/07/10
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー
  • ――「未婚化社会」 における「結婚差別」 ――
    齋藤 直子
    2016 年 41 巻 p. 5-20
    発行日: 2016/07/10
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

        この論文では、未婚化社会における被差別部落の青年たちの恋愛・結婚の現状について考察する。
        まず、議論の前提として、部落出身者の定義の問題について述べた。次に、部落出身者に対する結婚差別の状況について述べた。日本社会が、見合い婚から恋愛婚に変化したことによって、結婚差別の状況も変化した。
        そして、「未婚化社会」における部落青年たちの恋愛・結婚について論じた。部落青年の結婚に関する最大の悩みは、全国の青年とまったく同じで、適当な相手にめぐり会わないことである。だが、差別に対する不安もある。恋愛関係において、つきあったり別れたりを繰り返すことができる現在、相手の心変わりの理由は無数にあり、別れの理由が部落差別かそうでないのかを見分けることは難しくなった。これを「恋愛差別」と名付けた。
        また、部落青年が結婚できないのは、日本社会の未婚化の影響なのか、差別のせいなのか、就職や学力の不利が間接的に影響を与えているのか、理由を断定することは難しい。結婚できないことを、本人の責任にされてしまいかねない状況がある。
        最後に、未婚化社会における結婚・恋愛差別への対処について、考察をおこなった。

  • ―― 在日若者世代の恋愛・結婚を考える ――
    佐々木 てる
    2016 年 41 巻 p. 21-34
    発行日: 2016/07/10
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

        これまで在日コリアンの2 世、3 世にとって恋愛そして結婚における「民族的な違い」とは大きな壁であったことは報告されてきた。すなわち「朝鮮人との結婚はゆるされない」「日本人ではなく同胞と結婚すべきだ」という言説はよく聞かれるものであった。
        これに対して近年では、通名であった人々も民族名で生活するケースも増えてきた。 そうなると名前だけではオールドカマーか、ニューカマーなのか、さらには出身国が中国か韓国か台湾かなどの区別もつかないことがあり、最初から「違い」を前提としたつきあい、そして結婚に至るケースがある。グローバリゼーションが進展するなか、民族的な差異は他の多くの差異(年収、出身地域、学歴、文化資本など)の一つに解消されている感もある。
        では未婚社会と言われる現代において、(旧来的な)「民族的差異」は本当に婚姻を疎外する要因になっていないのか。そもそも在日コリアンの若者世代は、恋愛において民族の違いに意味付けをするのか。ここでは聞き取り調査の結果をもとに、昨今の在日若者世代の結婚、恋愛観について述べていくことにする。

  • ―― 未婚化時代における結婚差別の将来 ――
    山田 昌弘
    2016 年 41 巻 p. 35-39
    発行日: 2016/07/10
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー
投稿論文
  • ―― 首都圏にくらす未婚女性へのインタビューから ――
    府中 明子
    2016 年 41 巻 p. 41-57
    発行日: 2016/07/10
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

        本論文は、結婚意欲のある未婚女性たちが実際に特定の相手と結婚するかどうか悩み、結婚に踏み切らない状態でいることについてインタビューし、その内容を分析・考察したものである。結婚に関する領域では、これまで意欲の側面、出会いの側面、恋人の有無やコミュニケーションに関する側面、そして結婚後の夫婦間の平等や家事分担、男性の育児参加について研究、検討されてきた。結婚において経済的な側面と恋愛感情の2 点が重要視される点について変化はないが、それに追加して「男性の子どもに対する態度や意識」が未婚女性たちに問われているという点が浮かび上がってきた。その意識が、恋愛感情に関係する魅力として認識されていることも示唆された。そこでは子育てに従事するかどうかは問われていない。「役割意識の個人化」として「男性の子どもに対する態度や意識」が結婚前に問われ、未婚女性の結婚の決め手の一つの条件となっている可能性が示唆された。

  • ――「腐女子であること」の受容をめぐる考察から ――
    石田 沙織
    2016 年 41 巻 p. 59-76
    発行日: 2016/07/10
    公開日: 2017/02/14
    ジャーナル フリー

        本稿は、腐女子を自認する女性達に見られる、家族に対してなされる腐女子であることの隠蔽ないし表明に関連した彼女達のふるまいに着目し、腐女子達にはどのような規範が重視され、それはまたどのように日常生活に反映されているのかを明らかにすることを目的とする。先行研究においては、女性は子どもの頃から将来的な妻・母役割を意識した家族規範を示されてきており、それに抑圧を感じた者が腐女子となったと指摘されてきた。だがインタビュー調査の結果、今日家族規範は腐女子にとって抑圧的なものでも、妻・母役割と直結したものではないことが明らかにされた。女性達が家族に対し腐女子であることを表明する際には、家族成員同士の情緒的な関係性を重視する家族規範が反映されている一方で、隠蔽しようとする際にも異性愛規範・性規範を前提にした家族規範が影響していることが示された。

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