本論文では,直接撮影胸部X線像を用いて肺気腫の病勢進行度を定量評価する手法を提案する.この手法は,具体的には,画像上の肋間に設定したROI(Region of Interest)に対して,まず血管影を抽出し,次にそこで抽出された血管影について3つの特徴量,太さ,数,および,辺縁の明瞭さを表す特徴量を求める.最後に,それらの特徴量を線形結合によって統合し,病勢進行度を定量化した数値を出力する.本論文では,提案手法を実際の画像に適用し,各特徴量と医師による評価の関係,および,病勢進行度を定量化した数値と医師の診断との関係を調べ,本手法の有効性について考察する.