本稿では,コロナ禍以前からバランスト・スコアカード(BSC)を導入している医療機関を対象に,コロナ禍への対応を調査した.BSCは,コロナ禍という複合的危機下においても戦略自体を大きく変更することなく,評価指標の追加によって柔軟に対応できたことがわかった。また,BSCの導入により離職率の低下と従業員満足度の向上が実現し,その効果は危機下においても維持され,組織の安定と持続的な運営に寄与したことが明らかとなった。さらにBSCは,戦略と業務の連動強化にも貢献した。
保健所は,感染症等の健康危機の未然防止と健康被害の拡大防止という重要な役割を担っている。2020(令和2)年1月に国内で初めて確認された新型コロナウイルス感染症の流行下において,保健所の業務は,患者の入院措置や検体搬送,積極的疫学調査など多岐にわたり,職員の超過勤務は常態化し,労働環境は過酷を極めた。感染症に対する保健所機能の脆弱性が浮き彫りになり,保健所のあり方そのものが問われるところとなった。保健所が削減されてきた影響がコロナ禍で顕著になったといわれるなか,これまでの歴史的な背景を考察するとともに,保健所業務におけるBSCの有効性について検証した。
本稿の目的は,名古屋大学医学部附属病院を例に,病院がどのようにコロナ禍に対応したのかを明らかにすることである。調査の結果,看護部BSCに病床転換に関する戦略目標を設定し,フェーズに応じた病床転換を実現していたことがわかった。また,戦略目標間の連鎖を示すことで,看護スタッフが看護部の方針を理解できるようにしていた。さらに,BSCにアクションプランを設定し,目標達成の手段を示していた。
本研究の目的は,名古屋掖済会病院を例に,病院がどのようにコロナ禍に対応してきたのかを明らかにすることである。調査の結果,第一に,戦略ストーリーを作成する際に病院のミッション,バリュー,ビジョン(Mission, Value, Vision:MVV)を明確にすることで,看護部の活動方針や優先課題が共有され,コロナ禍においても安定した組織運営が可能となっていた。第二に,BSCを活用することで,組織目標と各部署の活動との関連が可視化され,スタッフ間で共通認識の形成が図られていた。
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら