湖氷が熱膨脹と熱収縮を繰り返しながら湖岸に乗り上がる現象は, 世界各地の内陸の湖沼で観察される。本研究では, Alestalo and Häikiö (1979) が行った湖氷の乗り上げ様式の分類にしたがって, それぞれの乗り上げ様式毎に汀線付近の堆積物が内陸方向にどの程度運搬されるのか (湖氷面からの高さと汀線からの水平距離) について検討した。
その結果, 押しかぶせ型 (overthrust) と水平押し出し型 (horizontal thrust) は, 共に比較的効率良く湖岸堆積物を内陸方向に運搬することができることが明らかになった。またこれまでに屈斜路湖で行った湖氷移動に関する野外調査の結果を, 上述の検討内容にあてはめて考察してみたところ, 屈斜路湖の湖岸に発達しているice-made rampartsは, 現在の気候条件の下で発生する湖氷移動によって充分な堆積物の供給が行われているという結論を得た。
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