火山地形の発達史的分類を試み,それをもとに日本の第四紀火山の地形発達史を明らかにし,その成因について考察した。
火山体を構成する基本単位地形 (熔岩原面, 火砕流堆積面, 火山砕屑丘, 泥流堆積面, カルデラ壁及び底, 爆裂火口壁及び底, 侵蝕谷壁及び底, 火山麓扇状地, 地すべり地形など) を設定し, これらが如何なる順序・組合せで個々の火山体を構成しているかを調べた。その結果, 日本の第四紀火山はA型 (ほぼ成層火山に相当), B型 (大カルデラ火山), C型 (単成火山) に大別され, さらに, A型火山はA
1型 (熔岩流・スコリア→火砕流熔岩・円頂丘), A
2型 (熔岩流・スコリア), A
3型 (火砕流・熔岩円頂丘)に, C型火山はC
1型 (降下スコリア→熔岩流→降下火山灰の一輪廻火山), C
2型 (降下軽石→軽石流の→輪廻火山), C
3型 (熔岩円頂丘) に細分された。
A
1型火山は島弧の会合部にA
2型火山は弧状部に卓越して分布する。これは沈み込みプレートが会合部で過剰となることと関連すると思われる。B型火山は日本列島の南端・北端に偏在し, 時間的にも洪積世末のわずか数万年間に集中的に噴出したという特徴をもっている。それに対してA型火山はB型火山の少い地域で数10万年間活動をつづけてきたように思われる。この空間的・時間的分布の特徴の成因についてはよくわからない。
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