理学療法症例報告データライブラリ
Online ISSN : 1347-8745
ISSN-L : 1347-8745
1 巻, 3 号
July
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
神経系理学療法領域
  • 嘉戸 直樹
    原稿種別: 脳血管障害
    2003 年 1 巻 3 号 p. 155-159
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/07/24
    ジャーナル フリー
    坐位姿勢の改善により麻痺側上肢機能の改善を認めた脳血管障害片麻痺患者1症例を対象に,1回の治療前後での変化を誘発筋電図と表面筋電図を用いた評価を加えて検討した。その結果,異常筋緊張の正常化にともなう坐位姿勢の改善により,麻痺側上肢脊髄神経機能の興奮性は減弱し,麻痺側上肢機能も廃用手から補助手へと改善を認めた。脳血管障害片麻痺患者の麻痺側上肢への治療においては,姿勢が麻痺側上肢脊髄神経機能へ与える影響を考慮する必要があることが示された。
  • 米田 浩久, 鈴木 俊明
    原稿種別: 脳血管障害
    2003 年 1 巻 3 号 p. 160-169
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/07/24
    ジャーナル フリー
    体幹筋の筋緊張異常により右立脚相において体幹の前方への崩れを呈した脳血管障害片麻痺患者に対し,動作分析を基にした理学療法評価による問題点の抽出と表面筋電図学的評価による検討を実施した。これらにより抽出した体幹筋筋活動の問題点に対し,中枢神経系の姿勢制御と歩行制御の機能に着目した理学療法,座位時および歩行時の正常動作を用いた運動療法を施行した。治療開始15週後に再度,理学療法評価と表面筋電図学的評価を実施した。その結果,体幹の前方への崩れは認められず,体幹筋の筋活動はより健常者と同様の筋活動を示した。これらのことから,正常動作を基にした運動療法は脳血管障害片麻痺患者の体幹筋の筋緊張改善につながることが示唆された。
  • 飯塚 朋子, 谷 万喜子, 高田 あや, 井上 博紀, 鈴木 俊明, 若山 育郎, 吉田 宗平
    原稿種別: その他の中枢神経系障害
    2003 年 1 巻 3 号 p. 170-175
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/07/24
    ジャーナル フリー
    平成3年3月に発症し,様々な治療を受けたが,すべて無効であった頸部ジストニア患者に対して本学附属診療所神経内科において平成13年3月より継続して鍼治療を行った。鍼治療再開時に安静時の頸部姿勢を評価し,安静時および,頸部動作時の表面筋電図を記録し,評価した結果,左板状筋を罹患筋と判断した。また,頸部の不随意運動と,長期にわたる左回旋,屈曲姿勢の持続によって生じた前頸部,左側頸部の皮膚短縮も問題点と判断した。鍼治療はまず,左側頸部の皮膚短縮にたいして同部位へ集毛鍼による刺激を行った。次に,頸部の不随意運動に対して百会,左板状筋に対して左後谿にそれぞれ置鍼を行った。2ヵ月後には頸部姿勢が改善され,頸部動作にも円滑化が認められた。様々な治療が無効であった症例においても,表面筋電図を詳細に分析し,適切な鍼治療を行うことによって症状を改善させうることが示唆された。
  • 井上 博紀, 谷 万喜子, 高田 あや, 飯塚 朋子, 鈴木 俊明, 若山 育郎, 吉田 宗平
    原稿種別: その他の中枢神経系障害
    2003 年 1 巻 3 号 p. 176-182
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/07/24
    ジャーナル フリー
    平成7年7月に発症した頸部ジストニア患者(攣縮性斜頸患者,61歳,女性)に,平成13年11月22日より週1回定期的に鍼治療をおこない,その効果を表面筋電図検査結果から検討した。初診時の鍼治療前,安静椅坐位では,右板状筋および左僧帽筋に異常な筋活動亢進が認められ,頸部肢位は右回旋を呈していた。そのため,筋活動抑制を目的に,右板状筋に対しては右後谿穴,左僧帽筋に対しては左外関穴に置鍼を行った。そして,右回旋の拮抗筋である左板状筋にも異常な筋活動が認められたが,伸張性収縮による疼痛緩和と筋活動の正常化を目的に左後谿穴に置鍼した。また,皮膚・筋短縮,疼痛が認められる右側頸部には集毛鍼を行った。疼痛の訴えが強くあり,過剰収縮をきたしている右斜角筋および右肩甲挙筋には,疼痛緩和,筋活動の改善を目的に同筋上へ直接的に置鍼を行った。しかしながら,新たな罹患筋が出現したり,症状の改善もしくは効果の持続がなかなか認められなかったため,再度検討した結果,斜角筋群に着眼し,鍼治療方法を再構成した。まず,頸部の皮膚短縮,筋短縮へのアプローチとして右斜角筋群,および左胸鎖乳突筋部から左僧帽筋部にかけての側頸部へ集毛鍼をおこなった。また,右回旋運動に抵抗できるよう拮抗筋の筋活動を促通させる目的で,左斜角筋群に対して左衝陽穴,右胸鎖乳突筋に対して右合谷穴に置鍼した。また,伸張性収縮による疼痛緩和を目的に左板状筋に対して左後谿穴,そして,不随意運動の軽減のため,百会穴に置鍼した。その結果,表面筋電図評価および理学的評価に改善が認められた。表面筋電図評価および理学的評価を行ったことにより,罹患筋を同定し本症例に対し的確な鍼治療をすることが出来た。
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