本稿の目的は、2001 年以降のデータを用いて、マネタリーベースの拡大が、都市銀行等、地域銀行、信用金庫の業態別の貸出残高にどのような影響を与えるかを、ベクトル自己回帰モデルを用いて検証することである。その結果、マネタリーベースへのショックに対する業態別の銀行貸出は、時間が経つにつれ正の反応を示す傾向にあること、またその反応に関しては地域銀行が他の業態よりも相対的に小さいことが示された。
本マクロ計量モデルは、従来のマクロモデルとは異なり、家計における所得階級別の消費構造を詳細に展開し、世帯収入、家計消費、労働供給を明示的に定式化すると共に、企業における正規・非正規雇用、賃金、設備投資決定、さらにマクロ経済とリンクさせた。これより、最低賃金の引き上げ、税還付、教育費や医療費などの所得補償、累進社会保険料負担などの各種政策が格差・貧困や賃金、雇用、マクロ経済にどう影響するか分析した。
現世代の決定は後続世代の厚生に影響を与える。世代間問題の解決のため、世代間に互恵性を導入したモデルを用いた考察を行う。モデルを模した経済実験を通じ、世代間で起こりうることへの洞察を深める。実験からは、後続世代役が先行世代役の振る舞いに同調することが明らかにされる。同調の存在を考慮すると、先行世代が協力に高い関心を持つ場合、世代を通じて協力の程度が高まる一方、先行世代の協力への関心の低い場合には、世代を通じて協力は低調におわる。
本稿は、『就業構造基本調査』(2002 年、2007 年)を用いて、日本の労働市場で有業者(雇用者)の副業保有が転職希望(本業の就業継続希望、転職希望)に与える影響について実証分析を行った。①女性雇用者(正規雇用、非正規雇用とも)、男性雇用者の正規雇用において、副業保有が転職希望を促すこと、②男性雇用者の正規雇用と女性雇用者の非正規雇用において、本業と同じ産業の副業保有者がより転職希望を持つ傾向にあることが示された。
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