本稿は、山形県酒田市の事例を用いて、地方都市におけるコンパクトシティ化の効果を行政費用の観点から検討したものである。公開データおよび情報公開請求により入手したデータを用いて行政サービス(インフラ維持管理・ごみ収集等)関連費用を算出し、各小地域(町丁字)の1人当たり費用を推計した結果、郊外ほどその額が大きくなり、コンパクトシティ化の費用削減効果が示唆された。
本稿は、イギリスのEU離脱(Brexit)や欧州債務危機に代表される地政学リスクが、英国の上場企業のパフォーマンスに変容をもたらしたのかを、複数の実証分析の手法を用いて検証することを目的とする。実証分析では、IPO実施企業と長期上場企業の資本調達行動の変遷を、財務データを用いて検証する。そして長期上場企業のみが、改革が進むコーポレートガバナンスを通じて、地政学リスク下で資本調達行動を変容させていた可能性を示す。
本論文では異質な労働市場を明示的に含む構造方程式モデルを構築し、最低賃金引き上げが賃金、雇用等に及ぼす影響を評価する。労働市場を企業規模、正規・非正規雇用に分割したモデルによると、最低賃金の引き上げは非正規雇用を大幅に減らすが、企業規模による差があり、零細企業では雇用減、大企業では雇用増となる。大企業に累進的に高い最低賃金を設定することにより失業軽減と賃金増をもたらす可能性があることが分かった。
本研究は、文部科学省が公表した産学連携政策の実績をもとに、大学等と地域内企業との産学連携の規模及び、産学連携全体の規模に占める地域連携の割合という地域依存性を目的変数とし、それらの指標に影響を及ぼす地域経済等の外部要因と大学等の内部体制要因を説明変数として考察を行った。その結果、地域内の産学連携は、外部要因と内部要因の両方から影響を受けるが、特に内部要因の影響が大きいことが分かった。
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