本稿では、パネルデータによって、労働者の心身症状指標の決定要因を検証した。さらに、身体的、心理的反応に分類した推定も行った。本稿の主な結果としては、フレックスタイム制が女性の心身症状に影響を与えていること、作業職では、心身症状が大きい傾向にあり、小規模企業で働いていることで身体的な症状が小さくなっていること、労働時間については、男性の心理的な症状に影響を与えている点が挙げられる。
日本経済政策学会は、2022年5月28日~29日に名古屋学院大学において、「ポストコロナ社会の経済政策 ― その構想と課題 ―」をテーマとして第79回全国大会を開催したが、そのなかで、大会テーマを掲げた共通論題セッションを行った。そこで発表された3本の研究報告は、本誌に掲載されている。本稿は、その導入・紹介として共通論題の趣旨やプログラムの概要等について報告するものである。
本稿では、Covid-19やウクライナ戦争の影響などによる不確実性の高まりの中で、曖昧となりつつある経済政策の目的や目標について考察する。ポストコロナ社会におけるリスクは多様であり、経済に及ぼす影響は甚大である。これらのリスクがもたらす長期コストを最小化すべく、人口動態変動や環境・エネルギーなどの制約条件やデジタル化などの前提条件が存在することを考慮した上で、整合的かつ合理的な経済政策体系を構築する必要がある。
中部経済連合会では、ポストコロナ時代の課題解決とカーボンニュートラルの実現を見据え、「2050年日本のカーボンニュートラルの実現に向けての中部圏の社会経済活動全体の戦略の方向性を打ち出す」ことを目的とした提言書をまとめた。本報告要旨では、この提言の概要を紹介する。
本稿では、現代という時代を福祉国家体制からポスト福祉国家体制への大転換の時代と位置づけたうえで、経済倫理の視点から、ポスト・コロナの経済社会のあり方について考察している。ポスト福祉国家体制への転換の動きは、すでに経済社会のあらゆるレベルにおいて生じつつあるが、いままさに求められているのは、その動きをさらに推進し、時代を近代からポスト近代へと転換し、思いやりの経済社会を実現することにある。
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