波長210mμ より800mμ 迄の吸光度を測定し,次の如く要約される結果を得た。1) Diethylstilbestrolはエタノール溶液中で,銅,コバルト,ニツケル,マンガン,亜鉛,第一鉄及び第二鉄と錯化合物を形成した。2) Estradiolはエタノール溶液中で,銅,コバルトと錯化合物を形成した。3) Estradiolbenzoateはエタノール溶液中で,銅,コバルト,ニツケル,マンガン,亜鉛及び第二鉄と錯化物を形成した。4) Estriolはエタノール溶液中で,銅及び第二鉄と錯化合物を形成した。5) Estroneはエタノール溶液中で,銅及びマンガンと錯化合物を形成した。6) Testosteroneはエタノール溶液中で,銅,第一鉄及び第二鉄と錯化合物を形成した。7) Methyltestosteroneはエタノール溶液中で,何れとも錯化合物を形成しなかつた。8) Androsteroneはエタノール溶液中で,銅と錯化合物を形成した。9) Testosteronepropionateはエタノール溶液中で,銅及びニツケルと錯化合物を形成した。10) Phenylthioureaはエタノール溶液中で,銅と強く,またコバルトとも錯化合物を形成した。11) Cholesterolはエタノール溶液中で銅及び第二鉄と錯化合物を形成した。12) Oleicacidはエタノール溶液中で,何れの金属とも錯化合物を形成しなかつた。13) Lecithinはエタノール溶液中で,第二鉄と錯化合物を形成した。14) Phenolはエタノール溶液中で,何れの金属とも錯化合物を形成しなかつた。 以上の様に性ホルモンが遷移金属とエタノール溶液中で相互作用を持つことが分り,性ホルモンの生体内に於ける作用を考える上に大きな手懸りが得られた。
抄録全体を表示