国際教育
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  • 石森 広美
    2018 年 24 巻 p. 1-17
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
     本稿は、体験的学習の有効性について、グローバル時代の教育のあり方を考慮しつつ、カリキュラム設計やアセスメントの観点から探究するものである。変化の激しいグローバル社会においては、学習者が自身の学習をアセスし管理しながら学び続ける力や、しなやかな思考力等多様なスキルや能力が必要となる。こうした状況においては、以前からグローバル教育界で体験的学習や参加型学習の重要性が指摘されてきたように、自らが何かを発見したり、「気づき」を得たりする体験的学習はいっそう重要性を増す。そこで本研究では、スーパーグローバルハイスクールにおいて実施されている体験的学習に取り組んだ高校生4名(2017年8月にシンガポールで行われた国際学会に参加し自らの課題研究をポスター発表した生徒)を対象とし、体験的学習の教育的意義について検証した。自己アセスメントやグループインタビューを通した彼らの語りや振り返りを分析し、生徒たちの学びや気づき、また教育学への示唆や成果等をカリキュラム設計やアセスメントの観点から明らかにした。
     本研究により、体験的学習を通した学びの向上は、次の3要素によって成否が左右されることがわかった。1)学習者(生徒)自身による自らの学びに対する積極的かつ責任ある関与、2)自己アセスメントとフィードバックを通した自らの成長と克服すべき課題についての十分な認識、3)学習者(生徒)の学びを促進させ達成を促すための十分に意図された教育方法、である。
     カリキュラム設計において、学習目標とアセスメントともに体験的学習が一連の学習プロセスの中に位置づけられ実践されたとき、体験的学習は、生徒がインプットからアウトプットへと変換する場、すなわち学校で獲得した知識を現実の文脈で実際に活用することと通して自身の学びを活性化し、さらなる成長のサイクルを生成する機能を果たしている。この学習過程において、生徒は自分自身の学びを振り返り、分析し、フィードバックをし、現在できることと次の段階に進むにあたっての自身の課題を見出す。体験的学習が学習者自身の学習のサイクルを作動させ、教育方法として機能させる役割を果たす(図1)。
     かつての「総合的な学習の時間」においても体験的学習が奨励されたが、断片的な体験や経験に終わっていた。体験的学習は、学習目標を達成させるために設計された学習プロセスの中に意図的に位置づけられ、学習者に適切に提供され、運用され、また学習者自身が自己の学びの軌跡を把握したときに、学習者の学びを促す教育効果が生起する。この意味において、体験的学習は学んだことを実際の場で活用する場また方法として機能させることが可能である。
  • 大庭 由子
    2018 年 24 巻 p. 18-32
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
     教育は国の将来を担う人材を育成することが目的であり、その国の経済事情、政治的背景、国際関係が影響することは望ましくない。しかし、国の基本方針に則り運営していかなくてはならないのが現実である。
     ニュージーランドは英語とマオリ語の二か国語を公用語とする国である。戦後の移民の流入から多文化国家となったが、これは労働不足のため移民を奨励したためである。マオリ文化とイギリス文化の二文化主義が崩壊したため、多文化主義に移行せざるを得なくなったとする説があるが、現在も原則二文化主義は健在である。二文化主義を包含する多文化主義を教育にも反映している。
     アジアに目を向けた多文化主義に注目が集まるようになったのは、1972年のイギリスのEC加盟が主原因であり、決してマオリ文化との二文化主義が終焉を迎えたわけではない。このイギリスのEC加盟により経済的危機を迎えたニュージーランドは、1989年経済改革の一環として教育改革を実施したのである。
     ニュージーランドは先住民族マオリと1840年にワイタンギ条約を締結しており、この条約の存在がニュージーランド人のアイデンティティを長きにわたり支えてきたのである。このアイデンティティが経済的に困窮した教育において威力を発揮した。これを機会にマオリ語のみで教育ができるコハンガ・レオ(『言葉の巣』という意味の幼児教育施設が誕生し、マオリ語の公用語化が実現した。
     ニュージーランドの教育レベルは非常に高く、2000年のPISAランキングでは世界のトップファイブに位置付けられていた。しかし、移民規制が緩和され、21世紀前後のITバブル、1997年香港の中国返還などにより非英語母語者の流入が増加し、2003年にはPISAランキングが下落した。そこで教育省はこれまでのイギリスに倣ったテーマ教育からニュージーランド独自のカリキュラムを開発し、マオリ文化とイギリス文化を基盤とした多様性を重視する新教育カリキュラムが2006年からスタートした。
     しかしながら、2012年のPISAランキングは惨憺たるものであり、新カリキュラムは教員の混乱を来し、効果的ではないとする研究者すら出現した。しかし、教育省のPISA結果に対するコメントは、あくまでも「教育レベルは世界の平均値を上回っている」としており、決して流入したアジアからの移民子弟による教育レベルの低下には言及していない。教育現場の教員は移民子弟の英語力による学力低下を認めているが、二文化を包含する多文化教育に起因するとはしていない。さらに2015年のPISAランキングにおいてようやく学力向上がみられるようになったが、相変わらず教育省のコメントは「世界の平均値を上回るよい成績である」との認識を表明している。
     そこで、新カリキュラムを反映した各学校のカリキュラムを改めて検討した。新カリキュラム発足当初教育現場は混乱しているとされていた。しかし実際は、あくまでもマオリ文化とイギリス文化をベースにする多文化を尊重する教育方針であり、ワイタンギ条約に裏付けされたアイデンティティに「ぶれ」はない点に気付かされた次第である。
  • 大谷 杏
    2018 年 24 巻 p. 33-47
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
     In Finland, the events called ‘Language Cafés (Kielikahvila)’ are often held at public libraries. Finnish Language cafés have especially provided immigrants and refugees with opportunities to speak Finnish. This article aims to describe why these Finnish Languages cafés have been held continuously, based on a field survey taken in March, 2016.
     Participation observation, interviews with librarians, volunteers and participants were implemented at four HelMet (Helsinki Metropolitan Area Libraries) libraries: Itäkeskus, Rikhardinkatu, Pasila and Tapiola.
     Through this investigation, I observed the following:
     1 The significance of using public libraries
     First, it is easy to access. This contributes to an increase in participants and volunteers. Secondly, the participants and volunteers can simultaneously use other library facilities and services (i.e., general book section, Finnish language textbooks, community events, multilingual library, etc.) while visiting the Cafés. Thirdly, the staffs participate in the Cafés as part of their institutional obligations. Staff involvement make the activities more stable and public. Fourth, holding these events at open spaces in the library lets many general users notice the Language Cafés, as well as the presence of immigrants and refugees. Finally, the library̕s movable bookshelves, desks, chairs, and other facilities also help to make places for Language Cafés.
     2 The style and the Content of the Cafés
     First, there are various forms of the Language Cafés, such as a teacher-centered lectures, individual instruction, dialogue practice, and a combination of lectures and groupwork. Some participants attend several Cafés, among a number of choices offered. Secondly, the Cafés are not only for teaching Finnish language. At each Café session, topics on Finnish lifestyle knowledge are taught, including explaining Finnish Easter traditions (e.g.: pussy willow plant). Participation in the Café is also an opportunity to learn Finnish culture. Thirdly, it is mentioned that both libraries and private sectors are engaged in this activity. However, even though a Café is run by a private sector, the use of all library facilities is free, and they can gain the maximum cooperation from the library, such as lectures on equipment and provisions of tea and confectionery.
     3 How participants and volunteers benefit from the activities
     It is not easy to grasp the whole picture because the effects of Language Cafés vary across individuals. However, participants seem to get more than conversation learning from Cafés (e.g.: motivation for language learning, better living information, friends and acquaintances in similar circumstances, connections with Finnish society and people). It was also revealed that volunteers not only participate in the Cafés for his or her own pleasure to help minorities, but also acquired knowledge about foreign cultures from the participants. However, the greatest achievement of the Language Cafés is that some of those who once participated in the Café have gained sufficient Finnish language skills to return to the Cafés by working as coordinators at the libraries several years later.
     The reasons above help explain why Finnish Language Cafés have continued to hold close ties with the public libraries in Finland.
  • 植田 啓嗣
    2018 年 24 巻 p. 48-62
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル フリー
     タイ北部の山岳地帯にはいくつかの少数民族が暮らしている。タイ政府は第二次世界大戦後、治安維持のため、山地民に教育を施すことで国民統合を図ってきた。一方で国民統合を推進することで、山地民の文化がタイ文化に侵食される可能性がある。国民統合教育と山地民文化に関する先行研究がいくつかあり、それらは山地民の教育的態度が高まっている一方で、教育による国民統合の効果は限られていると主張している。しかし、両親の世代が学校教育の影響を受けているため、現在は状況が変わっている可能性がある。本研究の目的の1つは、山地民の文化保持の観点からタイの国民統合教育の影響を把握することである。また、先行研究では山地民のアイデンティティ問題を明らかにしてこなかった。タイ政府は、タイ人としてのアイデンティティを持たせるために山地民に教育を提供してきたことから、山地民の民族的アイデンティティを測定することなく、国民統合教育の影響を明らかにすることは不可能である。本研究は、言語、文化、アイデンティティの観点から、タイにおける国民統合教育の影響を把握することを目的とする。
     2016年6月13日にチェンマイ市の山岳地帯のモン族の村にある小学校3校で児童に対するアンケート調査を実施した。小学4 ~ 6年生の出席児童77名から回答が得られた。
     このアンケート調査は、①勉強・進学に対する意識、②言語能力と使用状況、③アイデンティティ、④国民統合教育の影響、の4つの観点から実施された。①勉強・進学に対する意識では、ほとんどの保護者・児童が高い意識を持っていることがわかった。保護者自身もある程度の学歴を持っている。②言語能力と使用状況では、モン語で両親と話す子供の割合が最も高いものの、モン族の半数以上が家庭でタイ語を使用していることがわかった。モン語を主に使用していた家族の子どもたちはモン語能力の自己評価が高い一方で、タイ語を主に使用していた家族の子どもたちはモン語能力の自己評価が低い傾向にあった。ゆえに、モン語能力は彼らの家庭文化に影響を受けていると考えられる。③アイデンティティでは、調査対象の子どもの80%は、モン族としてのアイデンティティを有すると回答した一方、20%はモン族としてのアイデンティティを有していないことがわかった。また、過半数の子どもがタイ人とモン族の複合アイデンティティを持つこともわかった。④国民統合教育の影響では、タイ原理の主要ファクターである「国王」と「僧侶」を尊敬していない子どもが、国王で3分の1、僧侶で3分の2いた。このことから、タイ原理の浸透の観点からみると、国民統合教育の影響は限定的であると言えよう。
     本研究は、タイの山地民の子どもを対象に、言語、文化、アイデンティティの観点から国民統合教育の影響を明らかにするために行われた。言語、文化、アイデンティティの観点から考えると、タイ原理の浸透は限定的であるものの、国民統合教育によって山地民の子どもは言語、文化、アイデンティティの面で影響を受けていると結論付けられる。モン族の子どもたちは、モン族の一員でありタイ人であるという複合アイデンティティを持つことが主流である。しかし、一定数の子どもたちは、モン語をあまり使用せず、モン族のアイデンティティを持たないことを示しており、民族文化の保持が危ぶまれる。今後より詳細な調査が必要であろう。
  • 岩﨑 正吾
    2018 年 24 巻 p. 63-67
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 小山 晶子
    2018 年 24 巻 p. 68-71
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 江原 裕美
    2018 年 24 巻 p. 72-74
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 呉 世蓮
    2018 年 24 巻 p. 75-78
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 渡辺 幸倫
    2018 年 24 巻 p. 79-83
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 吉田 尚史
    2018 年 24 巻 p. 84-86
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • Zane MA RHEA
    2018 年 24 巻 p. 87-98
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 德成 晃隆
    2018 年 24 巻 p. 99-109
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 池田 尚登
    2018 年 24 巻 p. 110-114
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 大庭 由子
    2018 年 24 巻 p. 115-117
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • Jeane FREER
    2018 年 24 巻 p. 118-126
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 上野 昌之
    2018 年 24 巻 p. 127-133
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 金塚 基
    2018 年 24 巻 p. 134-136
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 西山 渓
    2018 年 24 巻 p. 137-142
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 山口 紀生
    2018 年 24 巻 p. 143-148
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
  • 金山 光一
    2018 年 24 巻 p. 149-155
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル オープンアクセス
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