情報教育ジャーナル
Online ISSN : 2433-5703
Print ISSN : 2432-6321
1 巻, 1 号
情報教育ジャーナル
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総説
  • ― 巻頭言にかえて ―
    加納 寛子
    2018 年 1 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,情報教育およびその周辺の概念規定を精査し,AI時代の情報教育のゆくえについて論ずる.1970年代のコンピュータは,まず操作方法を教育しなければならなかったが,50年近くたった現在のコンピュータは,ユーザビリティーが格段高くなった.しかしながら,人によるわずかな操作が,フェイクニュースや誹謗中傷の拡散などの新たな社会問題を引き起こしている.それ故,50年前の情報教育はコンピュータ教育中心であったが,AI時代の情報教育は,情報社会論やサイバー・サイコロジーに関連した領域の情報教育へシフトしていく必要がある.そして,国民の素養・教養としての情報教育の重要性は増すであろう.
原著論文
  • 橋元 良明
    2018 年 1 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    日本人の若年層の情報行動の大きな変化として,中心がテレビからネットへ移行したことがあげられる.とくに20時以降のテレビ視聴の一部がネット利用に代替された.若年層のネット利用時間の約65%がコミュニケーション系であり,とくにSNSの利用時間が長い.情報行動のもう一つの大きな変化としてデジタル機器利用の低年齢化が指摘できる.我々の調査によれば,0歳児の23.5%がスマートフォンに触れており,その半数がYouTubeを見ている.LINEの利用率も6歳で15%に達している.乳幼児のデジタル機器への接触やSNSの利用の影響については,学会で賛否が分かれている.乳幼児の情報環境の急激な変化は,ここ数年のことでまだ実証的研究データは少ないが,今後,その影響を実証していく必要がある.
  • ― 若者のネット依存をめぐる虚と実 ―
    土井 隆義
    2018 年 1 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    つねに誰かとつながっていない不安で仕方がない.今日のネット依存の背景には,人間関係に対するこのような強い思い入れがある.それは,現代における社会関係の流動化の反映であると同時に,他者からの承認欲求を喚起する仲間集団の固着化の反映でもある.このような接続志向の社会において,人間関係から外されることを恐怖する感情こそが,インターネットを介した常時接続へと私たちを駆り立てている.だとすれば,インターネットの利用を禁止することによってではなく,むしろ日々の仲間集団を外部へと開かせることで,誰かとつながっていなければならないという絶えざる圧力を減じることによってこそ,私たちはネット依存の問題を解決することができるはずである.
  • ― 大規模大学における初年次教育としての情報教育の実践 ―
    板井 志郎
    2018 年 1 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/12/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,早稲田大学創造理工学部における,情報教育を中核とした初年次教育(FYE)プログラムである創造理工リテラシーの取り組みについて説明する.本プログラムは,次の4つの特徴がある.1つ目は,学部新入生全員が同時に本プログラムを履修することで全員に同一の教育内容を提供することである.2つ目は,情報リテラシー教育を取り入れることである.3つ目は,アクティブラーニングを積極的に取り入れることである.4つ目は,専門領域(情報科学など)への導入と様々な最先端の研究に触れる機会を与えることである.学生授業アンケートの結果から,本プログラムが,概ねFYEとして有効に機能していることを確認した.今後の課題として,高校において既に高大接続の授業を経験してきた新入生への対応やスマホネイティブ世代の現状に合わせた情報リテラシー教育の必要性が見出された.
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