日本鹿研究
Online ISSN : 2435-5933
Print ISSN : 2185-0542
2019 巻, 1 号
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  • 小林 信一, 黒崎 弘平, 汪 斐然, 吉田 詞温, 山野 はるか
    2019 年2019 巻1 号 p. 25-31
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/05/22
    ジャーナル フリー
    鹿資源を持続的に利用するには、養鹿が必要であるとの観点に立ち、世界各地で行われている養鹿の現状を考察した。鹿は肉、皮、骨、鹿茸など、全身の利用が可能だが、地域によって飼養目的が異なる。中国、台湾、韓国は、漢方薬の原料である鹿茸の生産が主要な目的である。一方、ニュージーランドやヨーロッパなどは鹿肉が主生産物である。中国では1950 年代から東北地方を中心に養鹿業が開始された。梅花鹿と馬鹿(ワピチ)が主体で、年間の鹿茸生産量は約800 トンに達している。台湾での養鹿はタイワンサンバーが主流で、飼育目的は鹿茸生産だが、ニュージーランドとの自由貿易協定によって輸入鹿茸の関税率が大幅に引き下げられるためもあり、鹿茸販売は主に養鹿場での直販によって行われている。オセアニアでは、海外から導入した鹿による環境破壊などに対応するため、養鹿業が1970 年代から発展してきた。利用目的はアカシカの肉が中心だが、鹿茸なども含め輸出産業として育っている。ヨーロッパの養鹿はニュージーランドのノウハウを導入する形で1980 年代から開始された。鹿はダマジカやアカシカ中心で、養鹿、公園鹿、野生鹿が共存している点が特筆される。日本では、80 年代後半から90 年代にかけて鹿牧場の開設が相次いだが、多くの牧場が経営的に行き詰まり、牛のBSE(牛海綿状脳症)の影響もあり、現在では商業的な養鹿場はほとんど見られなくなっている。今後は養鹿の再建をどう進めるかを議論する必要がある。
  • ― 静岡県朝霧高原を事例として ―
    黒崎 弘平, 北薗 史明, 窪田 信太朗, 汪 斐然, 吉田 詞温, 山野 はるか, 小泉 聖一, 小林 信一
    2019 年2019 巻1 号 p. 43-48
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/05/22
    ジャーナル フリー
    静岡県富士宮市朝霧高原の酪農場における鳥獣被害の現状を、2011 年に実施した同様の調査と比較し、今後の鳥獣害対策の参考とするため、朝霧高原の酪農家を対象にしたアンケート調査および、コドラートを用いた牧草被害実態調査を実施した。その結果、被害を与えている動物はシカで、92.3%の酪農家が被害を受けており、飼料作物への被害が84.6%と最も多く、その被害収量割合は3 割以上が2011 年の48.1%に対して、今回は45.5%で有意差はなく、また野生鳥獣被害の深刻さ(5段階評定尺度)についての酪農家の意識は2018 年では4.00 ± 0.21 で、2011 年の4.06 ± 0.19 と比べて有意差はなく、依然として野生鳥獣被害は深刻であった。2018 年調査では野生鳥獣被害対策を実施している酪農家の割合は65.0%となっており、2011 年の25.0%に比べ大幅な増加が見られた。また、対策内容の割合は「電牧」が32%、「防護柵」が21%、「追い払い」が20%、「忌避剤」が16%となっており、2011 年に比べ適切な対策がなされていることが窺える一方で、野生鳥獣被害深刻さ(5 段階評定尺度)の数値がほぼ改善していないことから、現在実施している対策に酪農家が満足してはいないようである。以上のことから、今後もシカの個体調整や防除対策とともに、混交林化を含む森林整備などを進め、人とシカとの共存を図る対策が望まれる。
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