本研究の目的は, L
4(2
3)タイプのコンジョイント分析評価における外れ値を除外するための外れ値処理アルゴリズムを二つ提案し,検証することである。アルゴリズムの評価に用いる指標は「分析精度」を表す「全体効用値対順位得点」の相関係数である。そのために,文系女子短期大学生を対象とした調査を実施し,データを収集した。調査は三種類のコンジョイント分析からなり,その目的は,情報リテラシー教育において使用されているマイクロソフト社の文書作成ソフト「Word」ならびに表計算ソフト「Excel」の活用方法および学習内容を評価することである。そこで,最初に,調査で収集した生データに対しコンジョイント分析を行い比較の対象となる分析精度の計算を行う。次に,生データに対し,個別に提案アルゴリズムを適用して外れ値処理を施し,コンジョイント分析を行う。続いて,分析精度が妥当だとされている値0.5 に達すること,および生データと外れ値処理後の分析精度との比較の下でアルゴリズムの有用性を評価する。その結果,すべての調査データにおいて,提案アルゴリズムの分析精度は,0.5 の水準を超えているほか,生データの分析精度が改善されることが示された。最後に,本研究の貢献は次の通りである。提案した外れ値処理アルゴリズムはいずれも標本数や回答者の数が限られている調査に有用なため,そのようなデータ集合からより正確かつ有益な情報を抽出することを可能とし,授業評価のような調査としてのL4(23)タイプのコンジョイント分析の活用が期待される。
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