日本在宅救急医学会誌
Online ISSN : 2436-4738
Print ISSN : 2436-066X
6 巻, 1 号
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目次
原著
  • 藤本 賢司, 小川 理郎, 鈴木 健介, 山田 真吏奈, 中澤 真弓, 成川 憲司, 北野 信之介, 原田 論
    原稿種別: 原著
    2022 年 6 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/03/04
    ジャーナル フリー

    【はじめに】わが国における超高齢社会を背景に在宅医療、あるいは高齢者施設等で介護を受けている傷病者からの救急要請が増加するなかで、呼吸不全を併発し、救急車を要請する場合も多く存在する。その際、低酸素や換気障害など呼吸不全が存在すると判断された場合、救急隊の判断によって呼吸補助デバイスであるバッグバルブマスク(bag valve mask;BVM)とジャクソンリース(Jackson Rees;JR)、あるいはBVMにGas Supply ValveⓇ(GSV、ガスサプライバルブ)(BVM+GSV)が装着されるが、これらの呼吸補助デバイスが病院前救護においてどのような特徴や留意点を有しているかは明らかになっていない。

    【目的】病院前救護において前述の呼吸補助デバイスがどのような特徴や留意点を有しているかを明らかにすることを目的とした。

    【方法】健常成人10人に対して自発呼吸下に呼吸補助デバイスを装着し、バイタルサインや呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO2)の変化について考察した。

    【結論】自発呼吸がある場合はBVM群で一定の吸気努力が必要なため、BVM+GSV群、JR群よりも換気に対する負荷が大きくなることが示唆され、呼吸補助デバイス選択の際には留意する必要がある。

症例報告
  • 安栄 良悟, 小野寺 基子, 高野 勝信, 渡辺 剛助, 上森 元気, 森山 領
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 6 巻 1 号 p. 9-15
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/03/04
    ジャーナル フリー

     原発性悪性脳腫瘍の多くは積極的な治療にもかかわらず再発し不幸な転機をたどる。とくに再発による髄液播種は余命1~2カ月の終末期であり病院での終焉を迎えるのが通常である。今回在宅持続脳室髄液ドレナージによって自宅退院とした症例を経験したので報告する。24歳女性、髄芽腫に対し手術、化学療法を行い寛解、5年後に再発、髄液播種から水頭症をきたした。脳室リザーバー留置、間欠的髄液排除により激しい頭痛・嘔吐は改善し自宅退院となった。間欠的に髄液排除を行っていたが、排除量が増加し持続的な髄液排除が必要となり自宅に髄液ドレナージ用のサイフォンシステムを設置した。夜間持続排除を行い、約1カ月間ではあるが、日中は食事や介助での散歩も含め自宅療養生活が可能であった。在宅医療におけるサイフォンシステム導入の有効性と問題点について考察し報告する。

活動報告
原著
  • 前田 俊輔, 伊達 豊, 矢野 捷介
    原稿種別: 原著
    2022 年 6 巻 1 号 p. 22-29
    発行日: 2022/12/31
    公開日: 2023/03/04
    ジャーナル フリー

    【目的】COVID-19の無症状・軽度患者宿泊療養において、長野県にてICT健康管理システム「安診ネット One」を用いた遠隔モニタリングを行った。

    【方法】患者自室より取得したバイタルを、MEWS(Modified Early Warning Score、修正早期警戒スコア)を用いてトリアージを算出し、ビデオチャット問診による看護記録をし、基礎疾患の医療情報を現場の看護師と離れた医師等で共有し、施設内の医療管理および病院搬送のスクリーニングを行った。

    【結果】トリアージ上位、症状悪化した患者がリストアップされることで、要注意患者のスクリーニングができ、病院搬送の判定が効率的になった。また患者=看護師=外部:医療機関や保健所・県庁を結ぶ3階層でダイレクトな情報共有が可能なため、遠隔にいても病院にいるような症状把握が可能であった。

    【結語】臨時医療施設でのバイタル・症状・基礎疾患による簡便、かつ必要十分な情報共有機能により、病棟管理に近い医療管理体制を迅速に構築できた。

活動報告
編集後記
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