【背景および目的】近年、超高齢社会の進行に伴い身寄りや家族支援のない独居高齢者の救急搬送症例が増加傾向にある。今回われわれはこれらの概要を明らかにするため蘇生会総合病院での救急入院症例を検討した。
【対象および方法】2015年3月~2021年6月の身寄りや家族支援のない高齢の救急入院患者36例を対象とし、後方視的検討を行った。
【結果】搬入時の情報が乏しく、15例で生活や医療の情報が得られなかった。15例で家族と連絡が取れたが、家族がキーパーソンとなったのは11例であった。本人の判断能力喪失時には侵襲的処置の医療同意をとることが困難な場合があった。在院日数の中央値は27.5日で、施設への入所では在院日数は長かった(p<0.01)。
【結語】身寄りや家族支援のない独居高齢者の救急搬送症例では医療情報やキーパーソン不在のなかで初療を行う可能性があり、侵襲的な処置に対する医療同意の取得が困難な場合が認められた。
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