【はじめに】わが国における超高齢社会を背景に在宅医療、あるいは高齢者施設等で介護を受けている傷病者からの救急要請が増加するなかで、呼吸不全を併発し、救急車を要請する場合も多く存在する。その際、低酸素や換気障害など呼吸不全が存在すると判断された場合、救急隊の判断によって呼吸補助デバイスであるバッグバルブマスク(bag valve mask;BVM)とジャクソンリース(Jackson Rees;JR)、あるいはBVMにGas Supply ValveⓇ(GSV、ガスサプライバルブ)(BVM+GSV)が装着されるが、これらの呼吸補助デバイスが病院前救護においてどのような特徴や留意点を有しているかは明らかになっていない。
【目的】病院前救護において前述の呼吸補助デバイスがどのような特徴や留意点を有しているかを明らかにすることを目的とした。
【方法】健常成人10人に対して自発呼吸下に呼吸補助デバイスを装着し、バイタルサインや呼気終末二酸化炭素分圧(ETCO2)の変化について考察した。
【結論】自発呼吸がある場合はBVM群で一定の吸気努力が必要なため、BVM+GSV群、JR群よりも換気に対する負荷が大きくなることが示唆され、呼吸補助デバイス選択の際には留意する必要がある。
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