家畜繁殖学雑誌
Print ISSN : 0385-9932
29 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 高嶺 浩
    1983 年 29 巻 3 号 p. 129-135
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
  • 高橋 芳幸
    1983 年 29 巻 3 号 p. 136-139
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    牛の受精卵移植技術を実用化し,より広く普及させるために簡易的で安定した受胎成績が期待できる非手術的移植について検討を加えた。
    非手術的移植法の中でも,直腸腟法による人工授精と同じように子宮頸管を経由して受精卵を子宮角内に注入移植する頸管経由法は,術式が取り付き易く簡便であった。しかし,移植器具として人工授精用のストロー精液注入器をそのまま腟内に挿入すると,外陰部や腟内に存在する細菌を子宮内に持ち込み,子宮内を汚染することが判った。そこで,この子宮内汚染を防止するために移植器具に覆いを付けて子宮頸管外口部まで挿入する移植手技に改善した。その結果,覆いを付けることによって子宮内汚染防止に効果があり,手術的移植法による受胎成績と同程度の約60%の受胎率が得られることが示された。さらに,多数の技術者にこの頸管経由法の術者を依頼して応用試験を行った結果,移植経験がほとんど無い技術者でも,日常直腸検査や人工授精などに携わっている繁殖技術者であれば,50~60%の受胎成績が得られることが実証された。本移植手技によって受胎した受卵牛の流•死産の発生は約10%であり,他の移植方法により受胎した場合の発生率より少ない傾向にあった。
    頸管経由法をより安定した移植技術として確立するためには,まだ不明の点も多い。しかし,最近本邦においても受精卵移植技術が普及•実用化されようとしており,その中で本移植手技が広く利用されるようになった。今後,より多頭数の移植試験や種々の研究によって頸管経由法がさらに改善され,受精卵移植の普及に役立つことを期待する。
  • 田中 幹郎, 田浦 保穂, 佐々木 伸雄, 山内 亮
    1983 年 29 巻 3 号 p. 140-145
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    RIAによる血中PGF群測定を広く応用することを目的とし,VANORDENらの方法に準拠して血漿からのPGF-3Hの抽出•分離法を検討し,さらにウシおよびヤギの性周期における末梢血中PGF群濃度の測定を試みた。<BRPGFの抽出に用いた酢酸エチルの量,振盈時間,および抽出回数は5ml,10分間,2回で,92%の回収率が得られ,かつ再現性は高かった。
    PGの抽出•分離過程を通した回収率は,分離に用いたカラムのケイ酸層の高さが3~6cmの間では,約90%と一定していた。また,このクロマトグラフィーにおけるPGF群の溶出は,SIV添加後集中して起こり,7~8mlの溶出液中に全PGFが溶出した。
    ウシおよびヤギにおける末梢血中PGF群濃度を1性周期にわたって測定したが,血漿1mlの濃度はいずれも約50pg/mlないしそれ以下と低く,有意な変動はみられなかった。このことは,ウシ,ヤギにおいても末梢血中PGF群濃度が必ずしも局所濃度の変化を反映しないものであることを示唆した。
  • 宮澤 清志, 臼井 和哉
    1983 年 29 巻 3 号 p. 146-149
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    南氷洋に生息するイワシクジラの生殖のための回游行動とストレスの関係について検討した。
    実験材料には,南氷洋で捕獲されたイワシクジラ142頭を用いた。性成熟の状態は,体長,卵巣の大きさ,卵胞および黄体の有無により推定した。副腎については,重量ならびに比質/髄質比を計測した。
    副腎重量は未成熟群<妊娠群で有意差(P<0.01)が認められた。副腎皮質/髄質比には,性成熟による差は見られなかった。副腎重量と体長の間には正の相関関係が認められた。体長は,未成熟群では14m以下84%,妊娠群では14m以上95%と有意差(P<0.01)が認められた。
    これらの所見から,南氷洋のイワシクジラが生殖のために行う大規模な回游行動は,鯨体の副腎に対する刺激因子とはならず,副腎に見られた変化は,加齢によるものと推定された。
  • 新村 末雄, 石田 一夫
    1983 年 29 巻 3 号 p. 150-153
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ブタ,ウシおよびウマの胞状卵胞内卵母細胞において,Δ5-3β-HSD(基質としてDHA, pregnenoloneおよび17α-hydroxypregnenoloneを使用),17β-HSD(estra-dio1-17β,testosterone),20α-HSD(20α-hydroxyproge-sterone)および20β-HSD(20β-hydroxyprogesterone)の活性が組織化学的検出によって弱度ないし強度に出現した。このことから,これらの家畜の胞状卵胞内卵母細胞はProgestagen,estrogenおよびandrogenを代謝する能力をもっていることが示唆された。
  • 角田 幸生, 小島 敏之, 相馬 正, 小栗 紀彦, 杉江 佶
    1983 年 29 巻 3 号 p. 154-157
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    過排卵処置を施した日本在来種のヤギより採取した2細胞期胚~桑実胚を2つの異なった方法を用いて均等に2分離あるいは切断し,2分離胚の生存性を調べた。方法Aは,WILLADSEN7)の方法に従って実施し,また方法Bはガラス針を用いる切断法によって実施した。得られた結果の概要は次の通りである。
    1.方法Aでは,39個の2~8細胞期胚を分離したが,そのうち28個の胚でTwin胚の作製に成功した。Twin胚をヤギあるいは家兎の結紮卵管内に移植して一時的に体内培養し,3~5日後回収したところそれぞれ42%および43%が回収され,そのうち40%および100%が桑実胚~胚盤胞に発育していた。ヤギ卵管より回収した8個の発育胚を4頭の受卵ヤギに移植した結果,2頭が受胎し,それぞれ1頭の雌および雄の子ヤギを分娩した。しかしながら,一卵性双子を得るには至らなかった。実兎卵管より回収した3個の発育胚を2頭の受卵ヤギに移植したところ,性周期の40日および41日目に発情を示し分娩には至らなかった。
    2.方法Bを用いて,16細胞期胚~桑実胚を切断したところ,26個中20個(78%)でTwin胚が作製できた。これらの2分離胚を体外で16~20時間培養したところ,12個(30%)の胚で発育が観察された。これらの発育胚を5頭の受卵ヤギに移植したが,いずれも初回予定日に発情を示し,受胎例は得られなかった。
  • 笠井 健吉, 橋本 肇, 佐々木 淳寿
    1983 年 29 巻 3 号 p. 158-161
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ハムスターにおける1~2細胞期胚の移植により新生仔が得られた報告は,今日まで,なされていない。本研究では,体内受精に由来するハムスター2細胞期胚を偽妊娠雌ハムスターの卵管へ移植し,新生仔への発生について検討した。卵子提供雌には,未経産の成熟雌ゴールデンハムスターを用い,交配には同種の成熟雄ハムスターを用いた。2細胞期胚の採取は,妊娠第2日目(精子確認日を妊娠第1日目)の13:00から16:00の間に卵管灌流法によって行った。一方,偽妊娠誘起は,精管結紮を施し不妊交尾を確認した雄を用いて行った。移植は,偽妊娠第1日目および第2日目の受容雌の卵管へ,毛細管ピペットを用いて行った。すなわち,14:00から17:00の間に実体顕微鏡下で受容雌当り10~20個の胚を移植した。培養液としては,修正KRB液およびTC-199液を用い,胚の採取から移植まで一貫して同一培養液を使用した。
    合計200個の2細胞期胚を12匹の偽妊娠第1日目の受容雌へ移植した結果,5匹(約42%)が分娩し,雄9匹および雌10匹の合計19匹(約10%)の新生仔が得られた。一方,合計97個の2細胞期胚を偽妊娠第2日目の受容雌6匹に移植した結果,妊娠し分娩に至った例は得られなかった。
    以上のことから,卵子提供雌より性周期が1日若い受容雌への移植が胚の発生において重要と考えられる。
  • 鈴木 達行, 下平 乙夫, 藤山 雅照
    1983 年 29 巻 3 号 p. 162-163
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2009/08/14
    ジャーナル フリー
    The present experiment was aimed to improve the procedures for nonsurgical transfer of frozen-thawed embryos in cattle. Four morulas and one early blastocyst were collected nonsurgically from two donor heifers of Japanese Black breed at Days 7 of estrous cycle. The embryos were held at room temperature for 5 h before freezing in Whittingham's modified Dulbecco's PBS containing 20% bovine serum and appropriate antibiotics.
    A straw of 0.25 ml capacity for freezing was filled with three compartments, each separated by small air bubbles. The middle compartment contained the embryo in PBS with 1 mole glycerol as cryoprotectant.
    The upper and lower compartments contained 0.3 mole sucrose solution with 20% bovine serum.
    After 27 days of preservation at -196 C, the contents were thawed at 37 C and mixed by shaking. Ten min later the embryos in the straw were transferred nonsurgically to five recipients two of which were diagnosed as pregnant by rectal palpation one at 40 and the other at 60 days later.
  • 藤井 尊
    1983 年 29 巻 3 号 p. 164-166
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ICR-JCL系未経産マウスを270匹用い,高たん白食投与による性周期におよぼす影響を検討した。ウシのMilk Caseinを主なたん白源に,70%Caseinからなる高たん白食(3.62kcal/g)および24%Caseinからなる標準たん白食(3.61kcal/9)を, pair-feedingで,28日間投与した。
    1) 高たん白食投与は,性周期を延長しなかった。2) 高たん白食投与により,発情前期と発情休止期の間に,有意(P<0.01)な負の相関(r=-0.974)を認めた。すなわち,高たん白食投与は,投与日数の増加とともに,発情前期が延長し,それだけ発情休止期が短縮する傾向があることを認めた。
  • 石田 一夫, 山田 裕美子
    1983 年 29 巻 3 号 p. 167-169
    発行日: 1983/09/25
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ウマ卵巣の胞状卵胞から採取した卵母細胞について脂肪染色を行ったところ,細胞質に多量の脂肪が検出された。この脂肪は類脂肪と中性脂肪からなっており,高級脂肪酸,コレステリンおよびケトステロイドは含まれていなかった。
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