日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
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第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
選択された号の論文の156件中151~156を表示しています
一般演題
  • 戸板 成昭, 波多野 典一, 山田 雅文, 川村 信明, 有賀 正
    セッションID: 121
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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     Castleman病は限局性あるいは多発性にリンパ節過形成をきたす疾患であり、その病態形成においてIL-6の関与が強く示唆されている。
     症例は7才男児。5才時に発熱およびCRP高値のため近医に入院した。全身CT、Gaシンチなどの画像検査にて異常を認めず、全身型若年性特発性関節炎としてステロイド薬を含めた免疫抑制療法も施行された。治療開始後もCRPは1~15mg/dl を推移し、一度も正常化することなく、7才時に当科へ転院した。WBC、CRP、ESR などの炎症反応が亢進し、血清IL-6が高値であった。FDG-PET検査にて初めて腹部中央に異常集積を1カ所のみ認めたため、Unicentric Castleman病と臨床診断し、外科的に腫瘤を摘出した。空腸腸間膜内に認めた直径約2cmの腫瘤の病理組織学的所見からCastleman病(plasma cell type)と確定診断された。術後は速やかにCRPが陰性化し、血清IL-6値も正常化した。免疫抑制療法中止後も1年以上再燃を認めていない。
     本症例では、病巣が腸間膜内の小さな腫瘤であったため、通常の画像検査では同定困難であり、診断に苦慮した。このため、病変部位を唯一とらえることのできたFDG-PETの有用性を深く認識した。また、摘出した腫瘤におけるIL-6の発現増強をRT-PCR法にて確認することができたので併せて報告する。
  • 道海 秀則, 二瓶 浩一, 四宮 範明
    セッションID: 122
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    目的:小児期発症MGにおいては、血清抗アセチルコリン受容体抗体が臨床的重症度と相関がみられない。MGの発症・再発因子としての自己抗体の役割について疑問視されている。MGの発症・再発に対する自己抗体反応性T細胞のclonalな拡大の関与を明らかにするために、TCR-Vβレパトールをspectratypingにて解析した。対象:15歳未満発症MG患者17名(男児7名、女児10名)眼筋型4名、潜在性全身型10名、全身型3名。方法:発症・再発期、寛解期に対象から末梢血を採取し単核球を分離。RT-PCR法によりTCR-vβレパトールを作製、各TCR-vβのCDR3スペクトラグラムを施行した。結果:MG患者において発症・再発期には拡大TCR-Vβclone familyの増加が見られた。MG患者の全対象でPolyclonalpatternのTCR-Vβ拡大は発症・再発期にのみ見られた。一方monoclonalもしくはoligoclonal patternTCR-Vβ拡大は発症期寛解期ともに各対象の同cloneにおいて見られた。考案:TCR-vβのpolyclonalな拡大は発症・再発期にのみ見られた。monoclonalな拡大は発症期寛解期ともに見られた。小児期発症MGの発症再発因子として感染などによるsuper antigenの関与が示唆された。
  • 中島 章子, 成戸 卓也, 宮前 多佳子, 今川 智之, 森 雅亮, 横田 俊平
    セッションID: 123
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    Background: Growth impairment is a major complication of systemic juvenile idiopathic arthritis (sJIA). Aims: To investigate the cellular-level effect of IL-6 on the growth plate chondrocytes. Materials and Methods: The murine chondrocyte EC cell line, ATDC5 was examined for the expression of IL-6 receptor and gp130 by fluorescence-activated cell sorting (FACS) analysis. Cells were harvested for 14 full days and recombinant murine IL-6 was added to the cultures from day 2 to day 14. To study the effect of IL-6 on cell differentiation, the quantitative real-time reverse transcriptase polymerase chain reaction (qRT-PCR) was performed for the chondrogenic differentiation markers, type II collagen, aggrecan, and type X collagen. To test IL-6 function blocking, MR16-1, the anti-mouse IL-6 receptor monoclonal antibody, was used. Results: FACS analysis revealed the expression of IL-6 receptor and gp130 on the surface of ATDC5 cells. The results of qRT-PCR indicated that IL-6 reduced the expressions of chondrogenic differentiation marker gene. A blocking test showed that the inhibitory effect of IL-6 was abrogated. Conclusion: The results indicate that IL-6 inhibits the early differentiation of growth plate chondrocytes at a cellular level. Growth impairment in sJIA is brought about in part through the direct inhibitory effect of IL-6 on early differentiation of growth plate chondrocytes.
  • 水野 由美, 田中 珠美, 原 寿郎
    セッションID: 124
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    目的:小児期のリンパ節腫脹をきたす疾患の病態の解析、鑑別診断のために血清中ケモカインを測定し比較検討した。 対象:発熱、リンパ節腫脹を主訴とした患者で組織球性壊死性リンパ節炎11人、川崎病 5人、EBV感染症5人 化膿性リンパ節炎5人。平均年齢 6歳6か月。 方法:Cytometric Bead Array (BD Biosciences) kitを用いて血清中IP-10、MCP-1、MIG、IL-8濃度を測定した。 結果;組織球性壊死性リンパ節炎では化膿性リンパ節炎に比しIP-10(平均4927.4pg/ml,: 833.4 ,p<0.01))、MCP-1(87.9:7.4, p<0.01)、MIG(1860.1:261.8,p<0.01)が有意に高値で、IP-10は回復期には低下した。川崎病では化膿性リンパ節炎に比較しMIG(3343.3pg/ml, p<0.05)のみが有意に高値だった。EBV感染に伴うリンパ節炎ではIP-10(7390.6 pg/ml, p<0.05)、MIG(12526.9pg/ml,p<0.01)が化膿性リンパ節炎に比し有意に高値で、MIGは組織球性壊死性リンパ節炎よりも高値だった。IL-8は組織球性壊死性リンパ節炎、川崎病で上昇した症例があったが各群で有意差はなかった。 結語:疾患により血清中ケモカインの上昇のパターンに差が見られた。化膿性リンパ節炎と他の疾患の鑑別に有用と考えられた。
  • 藤木 和彦, 池田 美菜子, 宇月 美和, 中村 雅典, 谷口 顕
    セッションID: 125
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    【目的】漢方製剤である十全大補湯は滋養強壮薬として、長期疾病患者に投与されてきた。しかし近年では、その免疫賦活作用を期待して、担癌患者に積極的に投与されている。この詳細な機構は、まだ解明されていないが、NKT細胞の誘導を介した免疫賦活作用であると言われている。十全 大補湯による効能を、IL-12、IL-18などのサイトカイン発現に注目して検討した。 【方法】内服患者のヒト血清中のサイトカイン濃度を、健常者と比較検討した。また、マウスに十全大補湯を投与して、その肝と血清における変化を検討した。ヒトリンパ球を、十全大補湯添加培養して、サイトカイン産生能を検討した。 【結果】内服患者血清では、長期内服によりIL-18が増加することがわかった。マウスでは、肝に単核球が浸潤し、長期投与になるほどその傾向が強く、浸潤したリンパ球はIL-12を発現していた。ヒトリンパ球培養試験では 、十全大補湯の時間依存、濃度依存性にサイトカイン産生認められたが、至適濃度の存在が予想された。 【総括】漢方製剤、十全大補湯は、その長期投与により、IL-12、IL-18などのサイトカイン発現を介してNKT細胞を誘導し、免疫賦活作用を持つと考えられ、担癌患者の補完療法の可能性がある。
  • 稲沖 真, 長谷川 稔, 竹原 和彦, 佐藤 伸一
    セッションID: 126
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    水疱性類天疱瘡(BP)は表皮基底膜部のBP抗原に対する抗体により水疱を生じる自己免疫疾患で,高齢者に好発する。CD22はB細胞表面に発現する分子でB細胞受容体を介するシグナルに対し抑制的に働く。B細胞が活性化するとB細胞表面のCD22の発現量が低下すること,CD22欠損マウスで自己抗体産生が増加することが知られている。BP患者のBリンパ球のCD22発現量は対照の健常人と比較して有意に20%低下していた。BP患者のB細胞では活性化マーカーL-セレクチンの発現量も有意に低下しており,その量はCD22の発現量と正の相関を示した。これらの結果より,BPにおけるB細胞の活性化が示唆された。また,B細胞におけるCD22の発現量はBP特異抗体の量と相関を示さなかった。また,CD22欠損マウスにおいてBP特異抗体の産生は認められなかった。これらの結果から,CD22の発現量低下は,BP特異抗体の産生には関与しないことが示唆された。
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