日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
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ワークショップ3 T細胞サブセット(Th1, Th2, Th17, NKT)と炎症
  • 中野 真由美, 藤本 穣, 世良田 聡, 寺部 文隆, 堀野 次郎, 西川 哲平, 松川 裕子, 木村 彰宏, 岸本 忠三, 仲 哲治
    セッションID: W3-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    炎症は、Th1, Th17,TregといったヘルパーT細胞(Th)の分化を通してサイトカインにより制御されている。サイトカインシグナル伝達の阻害分子であるSOCS-1 KOマウスは、IFN-γシグナルを制御出来なくなるため、Th1に過剰にシフトし、そのため多臓器に及ぶ炎症が惹起され、周産期致死に至る。そこで、IFN-γの影響を排除しTh1への過剰なシフトを除くことにより、周産期致死を回避させたSOCS-1/IFN-γDKOマウスを用いて、SOCS-1のTregおよびTh17産生に及ぼす影響を解析した。結果、SOCS-1/IFN-γDKOマウスのTregはコントロールであるIFN-γKOマウスに比較して、有意に増加し、SOCS-1はvivoでTreg産生を制御することが示された。しかし、SOCS-1 KOマウスのTregはコントロールと比較して減少しており、過剰なIFN-γのシグナル伝達はTreg産生を制御することが示された。また、生後4-6月のSOCS-1/IFN-γDKOマウスは、CD4Tcellから産生されるIL-17の増加を伴った慢性炎症を皮膚や肺などの臓器に来たし、SOCS-1はvivoでTh17産生を制御することも示された。最近、TregがTh17の産生を抑制する報告がある。これらの結果から、SOCS-1はTh1分化の制御のみならず、TregやTh17産生を含めたTh応答を介して、炎症を制御すると考えられ、SOCS-1が様々な炎症性疾患に対する分子標的治療法の良い標的分子になりうることが示唆された。
  • 藤本  穣, 世良田 聡, 大河原 知治, 三原 昌彦, 大杉 義征, 野村 慎太郎, 岸本 忠三, 仲 哲治
    セッションID: W3-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    最近の基礎的研究により、IL-17産生で特徴づけられるTh17というCD4細胞群が関節リウマチ(RA)などの自己免疫疾患の病態に重要であることが明らかになってきている。また、Th17への分化誘導において、IL-6の存在の有無が分化の方向性を決定するのに重要であると報告されている。今回、われわれはRAのモデルマウスであるコラーゲン誘導性関節炎(CIA)を用い、Th17細胞のはたす役割とともに抗IL-6レセプター抗体(MR16-1)療法の作用機序について検討を行った。まず、CIAにおけるIL-17の役割について検討したところ、CIA誘導後マウスのリンパ節においては、Th1細胞よりもTh17細胞が優位であった。一方、CIA誘導初日(day0)にMR16-1投与を行うと、関節炎抑制効果とともにリンパ節のTh17細胞に減少がみられた。また、in vitroにおけるコラーゲン刺激によってリンパ節細胞から産生されるIL-17は、MR16-1投与群において著明に抑制されていた。しかしながら、以前の報告と同様にMR16-1投与を遅らせる(day14)と関節炎抑制効果がみられず、IL-17に対する抑制効果もほとんどみられなかった。これらの結果から、IL-6を標的とする関節炎疾患治療においては、サイトカインによる炎症の緩和以上にTh17免疫応答の制御が作用機序として重要であるものと考えられた。
  • 小坂 久, 善本 知広, 藤元 治朗, 中西 憲司
    セッションID: W3-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    【目的】マウス腹腔内癒着モデルを確立し、癒着形成のメカニズムを免疫学的に検討した。【方法】手術類似侵襲として、各種マウスから5mmの腹部正中切開にて体外に取り出した盲腸にバイポーラ電気メスを用いて1秒焼灼後、速やかに閉創した。術後経時的に開腹し、癒着形成をadhesion score(1-5)で評価した。【結果】1) 術後経時的に癒着形成が進行し、1週間でマウスの盲腸は著明な癒着を形成した。2)CD4+T細胞を除去したマウスに同様の侵襲を加えても癒着は極軽度であった。3) CD4+T細胞の中でinvariant (i) NKT細胞を欠損するja18 KOマウスでは癒着形成は極軽度であった。4)術後早期に腸管組織にIFN-γ発現を認めた。5) IFN-γ KOマウスに同様の侵襲を加えると癒着は極軽度であった。一方、このマウスにIFN-γを投与すると著明な癒着を形成した。6) ja18欠損マウスに野生型マウス由来のCD4+T細胞を移入すると著明な癒着を形成したが、IFN-γ KOマウス由来のCD4+T細胞を移入すると癒着は軽度であった。 【考察】腹腔内手術に伴う癒着形成はiNKT細胞由来のIFN-γが重要な役割を演じる事が示唆された。我々の樹立したマウス腹腔内癒着モデルは、術後癒着形成のメカニズムの解明とその治療・予防的処置の開発に極めて有効と考えられる。
ワークショップ4 疾患モデル動物を用いた病態解析と治療への展望
  • 三原 昌彦, 内山 也寸志, 小池 信雄, 早川 直彦, 吉田 広人, 橋詰 美里
    セッションID: W4-1
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    我々は、サルコラーゲン関節炎 (CIA)において、tocilizumabがコラーゲン免疫時からの投与により関節炎の発症を抑制することを報告している。本報告では、関節炎が発症した後にtocilizumabを投与して、関節腫脹およびこのモデルで見られる貧血に及ぼす影響について検討を行った。CIAは雌カニクイザルにウシ2型コラーゲンを3週間隔で2回免疫して誘導した。関節腫脹が十分に認められた個体を2群に分け、tocilizumab群には 30 mg/kgを週1回、4週間静脈内投与し、control群にはPBSを同様に投与した。関節腫脹は四肢の親指を除く16指のPIP関節の楕円面積を測定し、その平均値を個体の値とした。その結果、control群では投与期間中に関節腫脹は軽減しなかったが、tocilizumab群では、投与開始後速やかに関節腫脹が軽減し、4週後では腫脹がほぼ完全に消失した個体も見られた。また、貧血に関してはcontrol群では投与期間中徐々に貧血が回復したが、tocilizumab投与群では、投与1週間以内に赤血球数やヘモグロビン値の急激な上昇が認められ、4週以内に正常化した。以上の結果から、tocilizumabは関節炎の予防効果と治療効果の両作用を有すること、また、速やかな貧血改善効果を有することが明らかとなった。
  • 土居 芳充, 大木 伸司, 三宅 幸子, 山村 隆
    セッションID: W4-2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    Objective: To study a role of NR4A2 in multiple sclerosis (MS). Background: NR4A2 (Nurr1) is a transcription factor of steroid/thyroid receptor superfamily, involved in various cell functions. cDNA microarray analysis indicated NR4A2 was upregulated in CD3+ T cells of MS patients (Satoh et al. Neurobiol Dis, 2005). However, an active role of NR4A2 in MS remains unknown. Methods: NR4A2 mRNA levels were detected by quantitative RT-PCR in MS and EAE samples. Reporter gene assay of cytokine promoters were analyzed in EL4 cells transfected with NR4A2 gene constructs. Cytokine levels in primary T cells were measured after retroviral transduction of NR4A2 gene or reduction of NR4A2 gene by siRNA. Results: mRNA levels of NR4A2 were upregulated in T cells of MS and EAE mice. NR4A2 enhanced cytokine promoter activities. Overexpression of NR4A2 enhanced IL-17 and IFN-g production. Silencing of NR4A2 gene reduced cytokine production and proliferation. Conclusions: It is suggested that NR4A2 was upregulated in MS and EAE, and IL-17 and IFN-g were the possible targets of NR4A2, therefore NR4A2 might play an important role in immunopathogenesis of MS.
  • 世良田 聡, 藤本 穣, 三原 昌彦, 大杉 義征, 中川 れい子, 野村 慎太郎, 岸本 忠三, 仲 哲治
    セッションID: W4-3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    多発性硬化症(Multiple Sclerosis: MS)は寛解と再発を繰り返す中枢神経系の自己免疫性脱髄性疾患であるが、原因不明であり効果的な治療法が存在しない。近年IL-17を産生するTh17と呼ばれる炎症性CD4 T細胞が、MSのモデルマウスであるexperimental autoimmune encephalomyelitis (EAE)の発症に関与している事が明らかにされ、注目を集めている。また、Th17の分化にはin vitroでIL-6とTGF-betaの刺激が必要である事が明らかにされた。しかし、EAE等の疾患モデルマウスとTh17との関係およびvivoにおけるTh17とIL-6との関係についての詳細は未だ明らかではない。また、モデルマウスから得られた知見はMSなどのヒトの自己免疫疾患におけるTh17を標的とした抗体治療法の開発に有用であると考えられる。
    前述した背景をふまえ、今回、我々はEAE発症におけるanti-IL-6R antibody (MR16-1)投与の効果を検討した。EAE はC57BL/6マウスにMyelin oligodendrocyte glycoprotein peptideを免疫して発症させた。免疫初日にMR16-1を投与した結果、Rat IgG投与群に比べ著明にEAEのClinical scoreが抑制された。Presymptomatic stageでのリンパ節におけるTh17の分化の程度をFACSで解析した結果、Rat IgG投与群と比較してMR16-1投与群では分化が抑制されていた。また、Peak stageではRat IgG投与群の脊髄にリンパ球が浸潤している事がHE染色と細胞内サイトカイン染色から確認されたが、MR16-1投与群では脊髄へのリンパ球の浸潤が抑制されており、Th17も検出されなかった。
    これらの結果は、EAE発症に関与するTh17分化においてIL-6が必須である事、さらに、MR16-1投与がEAE発症予防に有効である事を示しており、MS治療におけるIL-6R中和抗体療法の有用性を示唆するものと考えられる。今後、我々はEAEにおけるMR16-1の治療効果についてさらに解析すると同時に、臨床応用について検討する予定である。
  • 小林 拓, 岡本 晋, 久松 理一, 鎌田 信彦, 新井 久美子, 知念 寛, 井上 詠, 磯部 健一, 日比 紀文
    セッションID: W4-4
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    【背景】近年、Th1/Th2に続くの第3のhelperT細胞サブセットとしてIL-17を産生するTh17が注目されている。そのような中、IL-12/23はそれぞれTh1/Th17制御に深く関わることから、炎症性腸疾患のkey cytokineとして捉えられつつある。我々はこれまでにIL-10ノックアウト(KO)マウスではマクロファージ(Mφ)が腸内細菌に反応しIL-12/23を高産生することを明らかにしたが、今回IL-10KOマウスにおいてMφ・樹状細胞(DC)が、Th1/Th17バランスを如何に制御しているのか検討を行った。
    【方法・結果】RT-PCR、細胞質内サイトカイン染色、ELISAではIL-10KOマウス大腸においてIFN-γ、IL-17の産生がともに亢進していた。骨髄由来Mφ・DCはともに細菌抗原に反応しIL-12/23を高産生することが確認され、この培養上清をCD4+T細胞に加えて刺激すると産生されるIFN-γ、IL-17がともに著明に増加したが、ナイーブT細胞からの分化過程においてはDC/Mφの培養上清を加えるとTh1のみが誘導された。これらの影響は培養上清中のIL-10欠如のみに依存するものでないことも確認できた。
    【結論】IL-10KOマウスMφ/DCは炎症腸管局所ではT細胞からのTh1/Th17双方のサイトカイン産生を誘導している一方で、分化過程においてはTh1誘導に働いていることが示唆された。
  • 善本 知広, 善本 隆之, 安田 公文, 水口 純一郎, 中西 憲司
    セッションID: W4-5
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    IL-27/IL-27R shows up-regulatory effects on Th1 cells. Furthermore, IL-27 inhibits GATA-3, a transcription factor for Th2 cytokines, suggesting its high potential role in reciprocal regulation of Th1 and Th2 responses. Here, we demonstrated that IL-27 had a direct inhibitory effect on both the generation of Th2 cells and Th2 cytokines production from already polarized Th2 cells. Furthermore, we examined the possibility whether IL-27 shows strong therapeutic effects on Th2-induced allergic inflammation. BALB/c mice sensitized with OVA in Alum and challenged with intranasal administration of OVA developed airway hyperresponsiveness (AHR) in response to β-methacholine (Mch) exposure. They also showed typical peribronchial eosinophilic infiltration and mucous production by goblet cells. Daily ip injection of IL-27 (1 μg/day) for the first 7 days following immunization with OVA only modestly diminished AHR to Mch. In contrast, intranasal administration of IL-27 at the time of OVA challenge dose-dependently diminished AHR, airway eosinophilic inflammation and goblet cell metaplasia by diminishing IL-13 production in the lung. Thus, intranasal administration of IL-27 into OVA-immunized animals substantially diminishes IL-13 production by inhibition of Th2 cell generation and Th2 cytokines production, providing promising therapeutic way for the treatment of allergic asthma.
  • 松葉 沙織, 善本 知広, 安田 好文, 池田 誠宏, 三村 治, 中西 憲司
    セッションID: W4-6
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    【目的】IL-1 familyのサイトカインに新たにIL-33が加わり、様々な病態との関係が注目されている。IL-33の受容体はST2である。今回、IL-33が花粉で誘導されるアレルギー性結膜炎を増悪させることが、実験的に証明されたので報告する。【方法】ブタクサ花粉(RW)を水酸化アルミニウムと混和してBalb/cマウスに免疫した(能動免疫)。あるいは、この様に免疫されたマウスの脾臓から得たCD4+T細胞を正常Balb/cマウスに移入した(受動免疫)。RW特異的Th2細胞を体内に持つマウスにRW単独、あるいはRW+IL-33を点眼した。点眼15分後の即時相はクリニカルスコアで検討し、24時間後の遅発相は眼瞼を病理組織学的に検討した。【結果】1.能動免疫マウスでは、RW点眼群はPBS点眼群に比べ即時相においてクリニカルスコアが有意に上昇した。2.能動・受動免疫マウス共にRWとIL-33を点眼した群は、RW単独群と比較し、24時間後の結膜組織において有意に好酸球浸潤が増加した。【考按】RW特異的実験的アレルギー性結膜炎は、抗原と共にIL-33を添加することでさらに病態が悪化することを見いだした。
  • 中澤 徹, 西田 幸二
    セッションID: W4-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    [目的] 網膜剥離は罹患率の高い眼疾患で、視細胞のアポトーシスが視力障害の原因となる。しかし、その機序は殆ど分かっていない。一方、網膜剥離患者の眼内で炎症性サイトカイン、ケモカインが増加していると報告されている。本研究では、視細胞変性と炎症性サイトカイン、ケモカインの因果関係を調べた。
    [方法] 成体マウスに網膜剥離を誘導し、サイトカインの発現変化をRT-PCR、ELISA、免疫染色にて調べた。MCP-1中和抗体とノックアウトマウスを使用し、TUNEL法でMCP-1抑制の細胞死に対する効果を評価した。
    [結果] 網膜剥離によりIL-1beta、TNFalpha、MCP-1、bFGFが増加し、特にMCP-1は100倍近い増加を示した。MCP-1を抑制すると著明に網膜剥離による視細胞死が抑制された。MCP-1は網膜グリア細胞の一つである、ミューラー細胞に発現し、CD11b陽性白血球(マクロファージやマイクログリア)を眼内に遊走させ、活性化されたCD11b陽性白血球が、活性酸素を介して視細胞を障害していることが明らかとなった。
    [結論] マウスの網膜剥離による視細胞変性には、グリア細胞と白血球の相互作用が重要であることが示唆された。また、白血球の遊走に関わるケモカインMCP-1や活性酸素の抑制は、網膜剥離の視細胞変性に新規の神経保護治療となる可能性がある。
  • 猪阪 善隆, 高原 史郎, 水井 理之, 高畠 義嗣, 今井 圓裕, 東 治人, 李 小康
    セッションID: W4-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    【目的】制御性T細胞(regT)は、移植臓器の拒絶反応抑制効果を有する。【方法・結果】SuperagonistCD28(JJ316)抗体を用いたregTの増殖と移植腎に対する効果を検討した。day -3, 0, 3にJJ316を投与し、Wisterをドナー、Lewisをレシピエントとして、day 0に移植腎急性拒絶反応モデルを作製した。Sham ope レシピエント群、mouse mIg投与群(mIg群)に比し、JJ316群ではFACSにて末梢血・脾臓・腎臓のCD4+Foxp3+ regTが著増していることが確認された。移植後7日目の腎組織には浸潤細胞を認めたが、mIg群ではマクロファージが多数を占めていたのに対し、JJ316群では、Foxp3陽性regTの浸潤が多数を占めていた。mIg群では尿細管間質障害を呈し、10日程度で全例死亡したが、JJ316群では尿細管間質障害は極めて軽度であり、術後30, 102日でそれぞれ1匹が死亡したが、残り6匹は120日以上生存し、組織学的にも拒絶反応所見を認めなかった。また、day -3, day+3にそれぞれ1回のみJJ316を投与し、同様の腎移植を行ったところ、移植後7日目の移植腎にはともにFoxp3陽性regTの浸潤を認めたものの、day-3投与群は移植腎の有意な生着延長を認めたが、day+3投与群は、移植腎の生着延長を認めなかったことから、腎移植時にregTを作用させることが必要であることが示唆された。さらに、生存したレシピエントについては、腎移植後120日目に2次移植として、WisterおよびBN(third party)をドナーとした心臓移植を施行したが、初期治療以降は無治療にも関わらずWisterから移植した心臓は生着したが、BNから移植した心臓は拒絶されたことが確認され、JJ316投与によりドナー特異的な免疫寛容が誘導されていることが確認された。【結語】SuperagonistCD28抗体投与による生体内regTの増殖と移植免疫寛容誘導効果は、今後の臓器移植において有用な戦略となりうると考えられた。
一般演題
  • 西原 克成, 荘司 延三, 崎谷 博征
    セッションID: 2
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    人類に特有の自己免疫病と呼ばれる「わけのわからない免疫病」は、文明国では、今日では極くありふれた病気となっている。これらは、以前は、成人で日和見感染症、小児で自家中毒症と呼ばれたものが慢性化した疾患である。ともに自身の喉や口腔や腸管内の常在性細菌やウィルスが種々の器官等の細胞内に感染を生じて発症する。人類のみに可能な口呼吸習癖者や、腸を冷やしたり暴飲暴食した時、骨休め不足で過労の時や歯周病の歯で咀嚼した時、太陽光線不足の時にワ氏扁桃リンパ輪や腸扁桃のM細胞や歯根膜の細網内皮造血系から白血球に取り込まれた腸内細菌が血流やリンパ流に乗って体中を巡る。白血球内の細菌は最初に鰓器由来の、ホルモンによる制御システムの脳下垂体・副腎系の細胞に血行性に播種される。皮下組織の細胞が腸内細菌やウィルス等によって細胞内感染症に陥ったのがアトピー性皮膚炎である。身体が受けるエネルギーが不適当でも、身体の使い方が不適でも、ヒトは容易に腸内細菌の不顕性の細胞内感染症を発症する。これにより感染した細胞内の糸粒体が障害され荒廃する。ステロイドホルモン剤の標的器官が糸粒体である。これはATPを産生して消炎を促すが、ウィルスや細菌は消化しない。文明化により、先に示した五つの複合要因により細胞内感染症を生じ、細胞内の糸粒体の形態と機能が荒廃したのがわけのわからない免疫病の実相である。複合原因が解析出来なかったために、原因不明の自己免疫病とされたが、複合要因をすべて取り除き、腸内を整えれば予防も治療も可能である。乳幼児から高齢者に至るまでの治験症例を示す。複合要因の除去により完治する事がこれらが真の原因であることのエビエンスである。
  • 松田 兼一, 田草川 正弘, 森口 武史, 織田 成人, 平澤 博之
    セッションID: 3
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    [はじめに] 重症急性膵炎(SAP)は未だ治療困難な疾患の一つである.近年SAPは膵局所の炎症によって免疫担当細胞から過剰産生された各種cytokineが血中に吸収され,cytokine networkを活性化し,重要臓器障害が引き起こされた状態と考えられている.そこで我々はcytokineの中でも病態・重症度を比較的忠実に反映するIL-6に注目し,IL-6血中濃度を指標としたSAPの治療戦略について検討した.[対象・方法] SAP症例49例を対象に,重症度スコアと治療開始時のIL-6血中濃度の関係を検討した.またcytokine除去目的で持続的血液濾過透析(CHDF)を用いて治療したSAP症例を,発症3日以内にCHDFを施行し得た35例(早期群)と,発症4日以上経過した後にCHDFを施行した14例(非早期群)に分け比較検討した.[結果及び考察]対象症例の治療開始時の重症度スコアとIL-6血中濃度との間に有意な相関関係を認めた.また治療開始時のIL-6血中濃度の対数平均は非早期群1500pg/mLに比し早期群で550と有意に低値であった.CHDF施行後IL-6血中濃度は両群とも速やかに低下したものの,救命率は早期群97_%_に対し非早期群では79_%_と有意に低かった.IL-6血中濃度と重症度スコアの間に有意な相関を認めたことより,IL-6血中濃度はSAPの重症度を把握する良い指標となると考えられた.またIL-6血中濃度を測定する事によって全身の炎症反応の程度を把握し得るばかりか,CHDF等のcytokine対策の適応や効果判定に有用であった.
  • 吉田 佳弘, 秋山 雄次, 佐藤 浩二郎, 横田 和浩, 石橋 俊子, 三由 文彦, 中嶋 京一, 淺沼 ゆう, 三村 俊英
    セッションID: 7
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    樹状細胞(Dendritic cell;DC)は外界に接した器官・組織の表皮や粘膜上皮などに未熟な状態で広く分布している骨髄由来の細胞であり強力な抗原提示能を有している。一方、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬は癌や白血病細胞の分化、癌抑制遺伝子やアポトーシスの誘導などの作用を有するため抗腫瘍薬として精力的に研究が行われている。またリンパ球を含めた種々の細胞にも影響を及ぼすことが報告されているがヒトDCに対する効果は現時点では報告が無く不明である。 【目的】HDAC阻害薬のヒトmyeloid DCに対する影響を検討した。 【方法】健常人末梢血CD14陽性細胞をIL-4、GM-CSFを含む培養液にて7日間培養し、更にTNF-αを加え3日間培養しmyeloid系樹状細胞(myeloid DC)を精製した。HDAC阻害薬としてsuberoyl bis-hydroxamic acid(SBHA)を培養初日から添加しmyeloid DCの形態、抗原貪食能、細胞表面抗原の発現、サイトカイン産生能に対する影響を解析した。 【結果】SBHAはTNF-αによるmyeloid DCの樹状突起の形成を阻害し、TNF-α刺激によるmyeloid DCのendocytosis能の低下を抑制し、TNF-α刺激によるCD40、CD80、CD83、CD86、CCR7の発現増強を抑制した。サイトカイン産生に関してはmyeloid DC からのIL-6産生を増加させ、IL-12産生を低下させた。IL-10に関しては有意な変化は見られなかった。 【結論】SBHAはTNF-αによるmyeloid DCの成熟化を阻害しIL-6産生を増強した。
  • 中村 晃和, 白岩 秀隆, 池田 和也, 土屋 貴彦, 野崎 高正, 猪股 弘武, 清水 貴子, 北村 登, 松川 吉博, 武井 正美, 澤 ...
    セッションID: 9
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    症例は59才女性。約5年前より近医で関節リウマチの診断を受け通院治療していた。下腿に潰瘍性病変が出現、悪化傾向を示すため当院血液膠原病内科紹介受診となった。全身の関節は高度な変形を示し、各種血液検査、画像検査上も重度の悪性関節リウマチの状態であった。初診時、潰瘍部からはMRSAが検出され、入院のうえ、皮膚科的な処置と抗生剤治療を継続していた。関節リウマチに対しては少量の経口ステロイド剤とサラゾスルファピリジン(SASP)を使用した。経過中全身状態が悪化、両側肺野にびまん性の浸潤影が出現し、呼吸状態も不良となった。抗生剤治療に対しても無効で、関節リウマチに合併した血管炎の増悪の可能性を考え、γグロブリン大量療法を施行、状態は速やかに安定化した。膠原病に合併した難治性の炎症性病態にγグロブリンが著効した一例と考えられたため報告する。
  • 直本 拓己, 河野 誠司, 豆原 彰, 並木 充, 玉置 健一郎, 杉山 大典, 辻 剛, 中澤 隆, 森信 暁雄, 熊谷 俊一
    セッションID: 11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    (目的)チオレドキシン(TRX)は、成人T細胞白血病培養細胞から産生されIL-2レセプターのα鎖を誘導する因子として1988年淀井らによって単離された蛋白質で、ジスルフィド結合を有し、活性酸素などの酸化ストレスによって、産生が誘導されることが報告された。また、我々は、関節リウマチ患者の血中と関節液中でTRX濃度が有意に上昇し、関節滑膜組織でのTRX産生を確認し報告した。今回、インフリキシマブ、エタネルセプト投与の関節リウマチ患者における導入前後の血中TRX、CRP、RF、MMP3濃度を測定し比較した。(方法)インフリキシマブ導入患者5名(男2女3)。エタネルセプト導入患者2名(女2)。各項目の導入前、1、3ヶ月後に各濃度を測定し、Wilcoxon検定を行った。(結果)血中TRXは導入前(平均58.6ng/ml)と1、3ヶ月後(同49ng/ml ,49.5ng/ml )と低下していたが、有意差は認められなかった。CRP(前4.32 mg/dl)は導入後1、3ヶ月後(1.38 mg/dl,0.83 mg/dl)と有意に低下していた。RF、MMP3は、導入後で低下していたが有意差は認められなかった。また、一部の患者のTRXの変動はMMP3とパラレルに変動していた。(考察)今回の検討では、インフリキシマブ、エタネルセプト投与患者のCRPは有意に治療後に低下して鋭敏に減少していた。しかし、TRXは、RF、MMP3ともに低下傾向が見られたものの、治療後基準値まで低下するものは少なく、RAの病勢あるいは酸化ストレスの残存を反映しているものと考えられた。(本研究は京都大学ウイルス研究所淀井淳司博士との共同研究である)
  • 鈴木 克典, 齋藤 和義, 山岡 邦宏, 中野 和久, 澤向 範文, 辻村 静代, 田中 良哉
    セッションID: 12
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    我々は関節リウマチ(RA)において、多剤抵抗性遺伝子により誘導される選択性を持った薬剤排泄ポンプ(P糖蛋白質;P-gp)の存在が治療抵抗性の機序の一因を担っていることを見出してきた。  タクロリムス(TAC)はカルシニューリン阻害作用に加えてP-gp拮抗阻害作用をもつ。当科でTACを導入した活動期RA90例の解析では、ごく早期にEULARの改善基準でgood responseを示す症例を認め、これらの患者背景について検討し、TACの薬剤抵抗性改善への関与について検討した。 good responseを示した16例では、TAC導入時、健常人に比してリンパ球内のステロイド濃度(CM比)の有意な低下を認めたが導入後2週間で健常人と同等なレベルに改善を認めた。Good responseとgood response以外の症例での関与する因子を多変量解析した結果、CM比の改善が強い相関を示した。このことから、TAC導入後、特に2週間以内にEULAR改善基準でgood responseをP糖蛋白質の拮抗阻害作用によってリンパ球へのステロイドの取り込みが改善することによってもたらされたことが示唆された。  RA治療におけるTACによる治療抵抗性解除の可能性は、まず、リンパ球の過剰活性化をカルシニューリンシグナル伝達経路で阻害し,さらに薬剤排出ポンプであるP-gpを拮抗阻害によってもたらされることが示唆された。
  • 澤田 仁, 山下 久美子, 小川 法良
    セッションID: 14
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    【目的】難治性RAにLCAPを行い、その臨床的有用性を検討したので報告する。【対象および方法】対象は、1)DMARDsや生物学的製剤に治療抵抗性を示した、または2)副作用及び合併症のため薬剤継続が困難であったRA8例(女性5例、男性3例、平均年齢61±13.1歳、stage_II_-3、_III_-3、_IV_-2例、class1-1、2-2、3-5例、入院4例、外来4例)。LCAPは週1回(平均処理量4.38±1.16L)、計5回を1クールとし、その前後でDAS28(CRP)にて病勢を評価し、また有害事象について検討した。【結果】開始前のDAS28(CRP)は5.67±1.42、1クール終了後は4.84±1.32であり、全例でDASの低下がみられた。1例において貧血の進行に伴う心不全の増悪を認め、またLCAP施行直後の検査が可能であった入院症例4例において一過性の血小板数の低下(5~15 X104μL程度)を認めた。【結論】難治性RAに対して、LCAPは試みるべき価値のある治療法と考えられる。今後どのような症例に適用すべきか更なる検討が必要である。
  • 秋元 貴美子, 楠 芳恵, 西尾 信一郎, 松本 菜穂子, 金子 開知, 山本 竜大, 高木 賢治, 川合 眞一
    セッションID: 15
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    【目的】タクロリムスはわが国で開発された免疫抑制薬であり、近年、関節リウマチ(RA)及びループス腎炎に対する臨床的意義が注目されている。しかし、有害反応に関する報告は少ない。そこで、RA及び全身性エリテマトーデス(SLE)患者におけるタクロリムスの有害反応を検討した。【方法】当科にて1~3mg/日のタクロリムスの治療が開始されたRA患者42例と、SLE患者10例について、レトロスペクティブに有害反応と背景因子を検討した。【結果】RA患者のタクロリムス開始後の観察期間は平均157±131(SD)か月であり、その間に24例が中止されていた。中止時期をKaplan-Meiyer法で検討すると、投与開始後60日以内とそれ以降の2群に分けられた。60日以内中止例は13例であり、そのうち12例が有害反応によった。原因としては、消化器症状、特に嘔気・嘔吐の頻度が高かった。一方、SLEでは、12か月の観察期間で胸痛と感染症による中止例が各々1例認められたが、消化器症状による中止例は認めなかった。タクロリムス初回投与量2mg/日以上のRA患者群では、2mg/日未満群に比べて、有意に消化器症状の発症頻度が高かった。【結論】SLEとは異なり、RAにおけるタクロリムスの中止例は、投与開始後60日以内に発症した消化器症状によることが多く、発症頻度は用量依存性であった。
  • 出口 均, 小瀬戸 昌博, 加藤 久宗, 金川 明子, 錦 正樹, 上道 知之, 鈴木 友和, 白倉 良太
    セッションID: 16
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】サラゾスルファピリジン(SASP)の関節リウマチ患者で見られた副作用を遺伝子多型の立場から検討した。【対象】当科で同薬剤の投与を受け遺伝子検査に同意したRA患者54例(男性11例, 女性43例),平均年齢60.0歳。【方法】SASP投与開始後3か月以上を経過した症例を調べ,副作用症例とNAT2遺伝子多型の関係を検討した。遺伝子多型の検査にはPCR-RFLP法を用いた。【結果】副作用は軽微なものも含めると53例中14例に見られ,薬剤代謝酵素であるacetylatorの遺伝子多型はrapid 8,intermediate 3,slow 3例で,副作用発現までの期間は各々平均6.8カ月 (0.5ヵ月-2年),3.3カ月 (0.2ヵ月-6ヵ月),17日 (12日-25日)であった。【結論】副作用が見られた症例にはslow acetylatorが多く,しかも一ヶ月以内と一番早く出現した。リウマチ治療には多剤を長期に使うため副作用の原因を特定するのは難しいが,NAT2遺伝子多型の識別はSASPを用いた個別薬物療法を行うための有用な情報となる可能性がある。
  • 松本 智成, 山口 統彦
    セッションID: 17
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    レミケードは結核発症を引き起こすという報告以来、結核は再び脚光を浴びるようになった。世界の人口の3分の1が結核感染をしていることから結核は抗TNF-α製剤を投与する上で念頭に置かなければならない感染症である。 レミケードにて結核を発症した場合、レミケードを中止して抗結核薬を投与するが、結核、関節リウマチの活動性が治療により悪化するparadoxical responseが報告されておりその治療は難渋を極める。 我々は、レミケードにて結核発症して結核加療により活動性があがった関節リウマチ患者に、抗結核薬を投与することにより結核再燃することなしにレミケードを投与できることを示した(N. Engl. J. Med. 2006)。2007年11月現在3年経過するが結核再燃兆候は認められていない。また、この患者は2006年4月に人工関節置換術を受けたが、切除後の股関節病変からは結核病変は見いだせなかった。さらに、新たに、2名の結核発病関節リウマチ患者に対して、結核薬を投与しながらレミケードを投与した。現在結核再燃兆候は認められていない。これらのことより有効な結核加療の元では、レミケードは結核の発病なしに投与できる可能性が示された。
  • 有井 薫, 公文 義雄, 池田 幸雄, 末廣 正, 橋本 浩三
    セッションID: 18
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】関節リウマチ(RA)の病態形成に酸化ストレスの関与が示唆されているが、これまでに実際にRA治療で臨床応用されている抗酸化剤は今のところない。我々は、脳梗塞を発症した関節リウマチ患者をフリーラジカル消去剤である塩酸エダラボン(Ed)で治療した際、RA活動性が低下した1例を経験した。そこで、RAの病態形成に及ぼすEdの影響についてin vitro、in vivoの検討を行なった。【方法】RA患者より採取したヒト滑膜細胞(SC)を培養し、IL-1βで刺激したSCの増殖能や遊走能、IL-6、MMP-3産生能、caspase-3/7活性に与えるEdの影響を検討した。また、細胞内転写因子であるNF-κBに与えるEdの影響についても検討した。in vivoの検討では、雄性DBA/1J マウスにコラーゲンで関節炎を誘発させ、Edによる治療効果を関節炎スコアで評価した。【結果】IL-1β刺激により増加したSCの増殖能・遊走能、およびSCからのIL-6、MMP-3産生はEdにより有意に抑制された。IL-1β刺激により抑制されていたSC のcaspase-3/7活性はEdにより有意に回復した。また、IL-1β刺激により活性化されたNF-κB活性は、Edにより有意に抑制された。雄性DBA/1J マウスを用いたコラーゲン誘発性関節炎の肉眼的関節炎スコアはEdの静脈内投与により有意に低下した。【結論】EdはRAの病態形成に対し抑制的に作用し、新しい治療薬となりえる可能性が示唆された。
  • 岩橋 充啓, 山名 二郎, 佐々木 理恵, 金 基哲, 山名 征三
    セッションID: 19
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    生物学的製剤の承認により関節リウマチの治療目標は寛解となった。しかし生物学的製剤にも少なからず無効例が存在し、難治症例へ対策は大きな課題である。当院にてインフリキシマブを投与するも効果不十分のためエタネルセプトに切り替えた症例の治療反応性について検討した。インフリキシマブを投与した48例のうち6例がエタネルセプトに変更、2例は投与開始14週時にはEULAR改善基準にてmoderate responseであったが徐々に効果減弱、4例は一次無効のため治療を変更した。エタネルセプトへの切り替え時6症例の平均DAS28-4crpは5.45であり4症例が5.1以上の高疾患活動性であった。エタネルセプト開始6ヵ月後の治療反応性はgood response 2例、moderate response4例であり1例はDAS28が1.49と寛解に至った。当院でインフリキシマブを投与した48例の6ヵ月後の有効性はgood response 19例 (39.6%)、moderate response 9例(18.8%)、no response 8例(16.7%)、副作用中止12例(25%)であり、エタネルセプトを投与した40例の有効性はgood response 17例 (42.5%)、moderate response16例 (40%)、no response 4例 (10%)、副作用中止3例 (7.5%)であった。2剤の生物学的製剤はともにTNFをターゲットとした薬剤であるが、わが国の投与量ではエタネルセプトの有効性が高く、インフリキシマブ無効例への有効な治療手段となりうる。
  • 山名 二郎, 岩橋 充啓, 佐々木 理恵, 金 基哲, 山名 征三
    セッションID: 20
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    現在わが国ではTNFをターゲットとした2剤の生物学的製剤が投与可能であり、次なる治療選択肢であるトシリズマブの承認がまたれる。当院が参加した臨床試験からトシリズマブの有効性、安全性について検討する。第三相臨床試験は発症5年未満で1剤以上の抗リウマチ薬 (DMARDs) に抵抗性の関節リウマチ (RA) 患者を対象とした無作為割り付けオープンラベル試験であり、トシリズマブ単独治療群(T群)と既存治療群(C群)の2群 (当院では各群10症例) に割り付けた。T群はトシリズマブ8mg/kgを4週に1回、13回投与、C群はDMARDsを自由に使用する既存治療を実施した。投与前の各平均値は、罹病期間 (年) C群3.2、T群3.2、疼痛関節数 (個) C群15.2、T群15.0、腫脹関節数 (個) C群14.1、T群13.5、CRP (mg/dl) C群7.8、T群7.5と疾患活動性が高い症例であった。52週後の最終観察日には疼痛関節数C群8.6、T群1.3、腫脹関節数C群8.0、T群2.2、CRP C群6.5、T群0.2とT群において著明な改善を認めた。1年後のACR20、50反応率はそれぞれC群が10%、0%、T群が100%、90%と驚くべき有効率であった。またT群は全例1年間継続投与が可能であった。当院における1年後の生物学的製剤継続率はインフリキシマブ58.5% (41例中24例)、エタネルセプト90% (40例中36例)であり患者背景が異なり単純比較は出来ないがトシリズマブの高い有効性、安全性が確認された。
  • 関口 直哉, 奥山 あゆみ, 西 英子, 武井 博文, 鈴木 勝也, 長澤 逸人, 津坂 憲政, 亀田 秀人, 天野 宏一, 竹内 勤
    セッションID: 21
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    Objective. To examine whether responder could be discriminated in RA patients receiving infliximab. Methods. ACR improvement criteria and EULAR responses by Disease Activity Score (DAS) 28-4 (crp) were used to evaluate 99 patients with RA who received infliximab in Saitama Medical Center. We considered patients as responder if they fulfilled at least ACR 70 or EULAR remission at 30 weeks. Whole blood drawn from patients before using infliximab was stimulated by LPS for cytokines production. Demographic data and cytokines were used for multivariable analysis. Result. Demographic data were insufficient for discrimination between responder and non-responder, however, if added cytokines, especially tumor necrosis factor alpha and interleukin-6, on to it, 87.8% of responders were discriminated. Conclusion. Not only demographic data but also cytokines were necessary for responder discrimination.
  • 安田 光徳, 梁 広石, 山路 健, 津田 裕士, 高崎 芳成
    セッションID: 22
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    目的 関節リウマチ(RA)患者の末梢血、関節液中では好中球上でのCD69発現が亢進しているとの報告がされている。RAの発症や病態とCD69分子との関与について検討した。 結果 我々の検査結果においても他施設からの報告同様、好中球上のCD69の発現は健常人に比較して増加を認めた。また、Tリンパ球上においてもCD69の発現も増加を認めた。Bリンパ球上では明らかな変化を認めなかった。 また、DAS 28(CRP)が3.2以上の活動性が高い群では低い群に比較して、好中球上およびTリンパ球上でのCD69分子の発現の亢進を認めたことから、RAの発症のみならず、活動性にも関与する可能性が考えられる。 さらに、活動性の高いRA患者に白血球除去療法を施行し、病態とCD69分子に関しても検討した。
  • 寺部 文隆, 緒方 篤, 萩原 圭祐, 大島 至郎, 佐伯 行彦, 嶋 良仁, 田中 敏郎
    セッションID: 25
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]PDGFは関節リウマチの滑膜細胞の増殖に関与している。メシル酸イマチニブはPDGF受容体チロシンキナーゼ阻害作用をもつ。そこでメシル酸イマチニブの滑膜細胞増殖に対する抑制効果を検討した。[方法と結果]PDGF,TGFβ,bFGFは滑膜細胞を濃度依存性に増殖させた。次に、メシル酸イマチニブはPDGF刺激(100ng/mL)による滑膜細胞増殖を濃度依存性に抑制したが、TGFβによる増殖は部分的抑制にとどまり、bFGFによる増殖は抑制しなかった。最後に、ウェスタンブロットではメシル酸イマチニブはPDGF刺激(100ng/mL)によるPDGFβ受容体リン酸化とAktリン酸化を抑制したが、ERKリン酸化とp38リン酸化は抑制しなかった。[結語]メシル酸イマチニブはPDGF受容体リン酸化を阻害することでその下流シグナルであるAktのリン酸化を阻害し滑膜細胞増殖を抑制していることが示唆された。
  • 石野 秀岳, 川人 豊, 濱口 真英, 河野 正孝, 坪内 康則, 山本 相浩, 角谷 昌俊, 妹尾 高宏, 吉川 敏一
    セッションID: 26
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    目的 関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis ; RA) は、原因不明の全身性炎症性疾患であり、慢性進行性の関節破壊が特徴である。近年ムチンに代表される高分子多糖体が、単核球に作用し、免疫応答を起こす事が報告された。我々はムチンとRAとの関連を明らかにするため、RA患者の関節滑液中での高分子多糖体の存在の証明とその生化学活性を検討した。 方法 RA患者関節組織・関節液内でのムチンの存在をムチン抗原(Tn,シアリルTn抗原)を用いた免疫染色と、Western blot法で証明する。RA患者関節液中から高分子多糖体をゲルろ過法を用いて分離、精製し、そのサイトカイン活性を検討する。成績 結論 RA患者関節組織内にムチンの存在を確認した。関節液より分離、精製した高分子量糖蛋白物質は、健常ヒト末梢血単核球において、様々なサイトカイン産生能を有していた。最近糖鎖研究は注目を浴びており、糖蛋白は自然免疫と獲得免疫における重要な分子である。関節組織、関節液に存在するムチンの糖鎖異常に着目した研究は本研究が最初である。今回認めた高分子物質は、RAの新たな治療ターゲットとなりうる可能性を秘めている。
  • 奥沢 千絵, 金子 和光, 村田 陽二, 冨澤 健史, 岡上 準, 斉藤 泰之, 池内 秀和, 坂入 徹, 山下 真, 前嶋 明人, 黒岩 ...
    セッションID: 27
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】SHPS-1は単球系細胞に発現が認められる膜蛋白であるが、我々は最近、SHPS-1がマウスにおける実験的脳脊髄炎や接触性皮膚炎などの自己免疫性疾患の発症に必須であることを明らかにしている。そこで、今回我々は、関節リウマチのマウスモデルであるコラーゲン誘導関節炎(CIA)発症におけるSHPS-1の関与について検討した。
    【方法と結果】SHPS-1の機能に重要である細胞内領域を特異的に欠失した変異SHPS-1を発現するマウス(MTマウス)をすでに作成しているので、これを用いてニワトリ由来のタイプIIコラーゲンで誘導されるCIAの発症を検討した。野生型マウスでは指、手関節を中心に累積発症率52%の割合で発症し、発症スコアーは3.0であった。一方、MTマウスでは全く発症が認められず、組織学的な解析においてもMTマウスの関節組織はほぼ正常に保たれていた。さらに、コラーゲンによって関節炎を誘導されたマウスにおける免疫応答を検討したところ、MTマウスではコラーゲン特異的な抗体産生能やT細胞の増殖能が減弱しており、炎症性サイトカインの産生低下も認められた。
    【考察】MTマウスではCIAの発症が認められなかったことより、SHPS-1は抗原特異的免疫応答において重要なシグナル分子であり、リウマチ性疾患の治療を考える上で有力な標的となり得る事が示唆された。
  • 常見  幸, 北野 幸恵, 今戸 健人, 岩崎 剛, 佐野 統
    セッションID: 28
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    (目的)SKGマウスは、RAに酷似した自己免疫性関節炎を自然発症するモデルマウスである。一方FTY720は、S1P1受容体アゴニストであるが、S1P1依存性の胸腺および二次リンパ系組織からのT細胞の移出を阻害し、循環T細胞の著しい減少を誘導するため、免疫反応部位へのT細胞の浸潤量を減少し、免疫抑制作用を発揮する。今回我々はSKGマウスにFTY720を投与し、関節炎の抑制効果を検討した。(方法)SKGマウスにFTY720を連日経口投与し、経時的に関節腫脹スコアを記録した。また投与開始後4週目・8週目に、末梢血中リンパ球、胸腺・脾臓の細胞数、胸腺・脾臓の各細胞のFACS、腫脹関節のXp写真を、対照群と比較して検討した。(結果)FTY720投与群では、対照群と比較して8週目における関節腫脹スコア・末梢血中リンパ球の比率が有意に低下し、胸腺の細胞数が増加する傾向が認められた。FACS解析では、4週目・8週目とも脾臓におけるCD4+T細胞、CD8+T細胞、Tregの比率が有意に低下し、CD19+細胞の比率が上昇していた。また胸腺ではCD4+T細胞、Tregの比率が上昇していた。対照群では腫脹関節のXp写真において著明な骨破壊が認められたが、FTY720投与群では殆ど認められなかった。(考察)FTY720投与により循環CD4+T細胞が減少し、関節局所における炎症が抑制されることが示唆された。
  • 瀬川 誠司, 後藤 大輔, 吉賀 洋平, 松本 功, 伊藤 聡, 堤 明人, 住田 孝之
    セッションID: 31
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    [目的] CD1d分子は糖脂質抗原を認識し、NKT細胞を活性化する。現在までに、一部の自己免疫疾患患者での末梢血NKT細胞数の減少が報告され、我々はCD1d分子の変異体である可溶性CD1d ( sCD1d )のmRNAが、関節リウマチ( RA )患者で有意に低下していることを報告している。本研究では可溶性CD1dに着目し、RA患者血清中のそれらの存在の有無の検討、およびその機能解析を目的とした。 [方法] (1)抗sCD1d特異的抗体、組み換えsCD1dタンパクを作成し、ELISA法によるsCD1d測定システムを確立した。RA患者と健常人血漿におけるsCD1dタンパク発現量の測定を行い、臨床症状との関連性を検討する。 (2)sCD1dタンパクとC57BL/6マウス脾臓細胞を用いて、sCD1dによるNKT細胞の増殖反応とサイトカイン産生について検討する。 [結果] (1)RA患者では健常人に比べて血漿中のsCD1dタンパク量は、低い傾向にあった。 (2)sCD1dタンパク濃度依存的にNKT細胞の細胞増殖反応を抑制し、IL-4産生が減少する傾向がみられた。 [考察] sCD1dにはNKT細胞を抑制する働きがある可能性が考えられた。今後は、RA患者におけるsCD1d蛋白の関節炎に対する機能解析を進めていく。
  • 川尻 真也, 川上 純, 藤川 敬太, 岩本 直樹, 荒牧 俊幸, 一瀬 邦弘, 玉井 慎美, 蒲池 誠, 中村 英樹, 井田 弘明, 折口 ...
    セッションID: 32
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】59歳、男性【主訴】全身倦怠感、体重減少【病歴】49歳からRaynaud現象あり。2005年頃から多発関節痛が出現。2006年8月19日、突然の大量喀血にて救急搬入、緊急入院。胸部CTにて肺胞出血を認めた。気管支動脈造影では出血源は認めず、喀血は自然に消失した。原因精査では抗核抗体80倍、低補体以外は明らかな異常所見を認めなかった。9月19日、症状軽快のため退院。2007年になり汎血球減少が徐々に進行。同年3月頃より全身倦怠感、体重減少が著明となったため、4月16日精査目的にて再入院。【臨床経過】関節炎、汎血球減少、抗カルジオリピン抗体陽性、抗核抗体陽性より全身性エリテマトーデスと診断した。また、著明な高血糖及び高インスリン血症を認めた。インスリン治療でも血糖の改善を認めず、著明なインスリン抵抗性を呈した。抗インスリンレセプター抗体陽性よりインスリン受容体異常症B型と診断した。ステロイド内服を開始したが、血糖上昇のため直ぐに中止。IGF-_I_投与、血漿交換、シクロホスファミドパルス療法を施行し加療中。【結語】全身性エリテマトーデスに合併したインスリン受容体異常症B型の稀な症例を経験したので、文献的考察を加え報告する。
  • 越智 小枝, 佐藤 英彦, 谷口 顕
    セッションID: 33
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    症例は37歳、女性。38℃台の発熱と全身性の小丘疹が出現した後四肢の浮腫・頭痛・心窩部痛を自覚した。近医にて咽頭溶連菌迅速試験3+でありセフェム系抗生剤を内服したが発熱が持続し、非ステロイド性抗炎症薬に不応であった。また胸痛も自覚するようになったため当院受診。心電図・上部消化管内視鏡にて異常所見を認めず、蛋白尿を認めたため精査入院となった。入院時起座呼吸の状態であり低酸素血症、リンパ節腫脹、軽度の関節炎をみとめた。また胸部レントゲン、心臓超音波にて中等度の胸水および心嚢水貯留、また尿検査、血液検査にて蛋白尿・血尿・低補体血症も認めたためSLEを強く疑った。また同時に軽度肝障害も認めていた。漿膜炎に対しPrednisolone 30 mg/day内服を開始。胸水・心嚢水は速やかに消失した。その後抗DNA抗体陰性、パルボウイルスIgM陽性、抗ストリプトキナーゼ(ASK) 2560倍であることからパルボウイルス感染・溶連菌感染の混合感染による漿膜炎・腎炎と診断。Prednisolonを減量し、3週間後には中止としたがその後再燃を認めなかった。パルボウイルス感染や溶連菌感染に伴う腎炎は比較的よく知られているが、心膜炎を合併する報告は稀であり、文献的考察を含め報告する。
  • 杉本 健, 辻 剛, 中澤 隆, 豆原 彰, 並木 充夫, 森信 暁雄, 河野 誠司, 熊谷 俊一
    セッションID: 34
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    (症例)71歳女性 (既往歴)65歳:顎下腺腫瘍、70歳:右膝全人工関節置換術後深部静脈血栓症 (家族歴)特記すべきことなし (現病歴)2007年2月下旬よりの下腿浮腫を主訴に当院消化器内科入院。入院後ネフローゼ症候群と診断され、精査中に画像上び漫性膵腫大、膵頭部腫瘤および一部狭窄と不整を伴う主膵管の拡張を指摘された。また、膵周囲、頚部、縦隔など全身リンパ節腫脹も認めた。頚部リンパ節生検から悪性リンパ腫や癌転移は否定され、膵頭部腫瘤については超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診にて悪性所見は認めなかった。以上の所見とIgG4高値より自己免疫性膵炎と診断された。また口腔潰瘍、ネフローゼ、汎血球減少、dsDNA抗体陽性,抗核抗体陽性よりSLEと診断された。3月下旬に加療目的にて免疫内科転科となり、PSL(1mg/kg/day)による治療が開始された。膵頭部腫瘤、全身リンパの縮小と蛋白尿の消失、血球減少の改善を得た。 【考察】IgG4関連疾患として注目を浴びている自己免疫性膵炎を合併したSLEの症例を経験した。両者の合併は極めて稀であるため報告する。
  • 辻村 静代, 齋藤 和義, 岩田 滋, 田中 良哉
    セッションID: 35
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    薬物排泄機構にてステロイト゛(ス剤)不応性を齎すP糖蛋白質(P-gp)はSLE疾患活動性に伴い, 病態に関与する活性化リンハ゜球に発現し, P-gp>1000molecules/cell又はP-gp高発現分画high expressing subgroup(P-HES)を伴う症例はス剤不応性である上に現行の免疫抑制療法が効果不十分であり, 治療強化・変更を要する. RituximabはB cell上CD20を標的とし, 治療抵抗性SLEに高い認容性と治療効果が得られる. そこでIVCYにても尿蛋白1.5g/日, BILAG A1/B2項目と多臓器病変が進行し, B cell上P-gp>1000かつCD4 T cellはP-HESを伴う症例にrituximabを投与した. 尿蛋白は速やかに消失して活動性低下, 末梢血B cellの消失に伴い, T cellのP-HESも消失, ス剤減量でき, 投与6ヵ月後に検出できた末梢血B cellにもP-gp発現を認めなかった. この後2年間再燃なく, 現在PSL4mg/日まで減量できている. Rituximab奏効症例はB細胞の消失にてT cell活性化も抑制され, かつ治療抵抗性がリセットされる可能性が示唆された. Rituximabは難治性病態の改善のみならず, 治療反応性の回復を齎し, 長期寛解維持を可能としうる.
  • 渡邊 あかね, 平野 亨, 嶋 良仁, 田中 敏郎, 吉崎 和幸, 川瀬 一郎
    セッションID: 36
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
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    全身性エリテマトーデスにて経過中、39度台の発熱および強い全身倦怠感を主訴に入院した。入院後、白血球減少、貧血、血小板減少が進行し、止血時間の延長、FDP-Dダイマーの著増、フィブリノゲンの著減からDICと診断した。またフェリチンの著増と肝機能障害、骨髄像での血球貪食像から血球貪食症候群に伴うDICと考えられた。ステロイドの増量やパルス療法が検討されたが、過去のステロイド投与時にステロイド精神病と思われる抑うつ症状が見られていたため、ステロイドの増量は十分に行えず、シクロホスファミドパルス療法を開始、継続した。本療法が奏功し、DIC、HPSからの離脱が可能となった。本症例は、ステロイドの増量が十分に行えなかったが、シクロホスファミドパルス療法がHPS合併SLEに奏功した一例である。
  • 坪内 康則, 川人 豊, 河野 正孝, 石野 秀岳, 濱口 真英, 山本 相浩, 角谷 昌俊, 新美 美貴子, 妹尾 高広, 吉川 敏一
    セッションID: 37
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ループス腎炎の第一選択薬はステロイドであるが,難治例,ステロイド減量困難例に,免疫抑制剤が併用される。ミゾリビンはプリン合成を阻害することによりリンパ球の分裂,増殖を抑制する。今回我々はループス腎炎24例に対しミゾリビンを使用し,1年後の治療成績,副作用について若干の考察を加えて報告する。【方法】平成15年10月から平成17年9月にかけて当科でステロイド治療中のループス腎炎24例に対しミゾリビンの併用を開始した。治療効果に関しては有用度,血清アルブミン,尿蛋白,抗dsDNA抗体,血清補体価,血球等で評価した。【結果】1年後継続症例は18例,有害事象による中止は3例で重篤なものはなかった。継続症例の85_%_が有用であった。尿蛋白の減少,抗dsDNA抗体の低下,血清補体価の上昇,白血球・血小板数の増加を認めた。ステロイドは約4割減量可能であった。【結論】ステロイド抵抗性のループス腎炎において血球減少のため免疫抑制剤が併用困難な場合がある。骨髄抑制が少ないミゾリビンはこのような症例に対して有用となり得る。
  • 小荒田 秀一, 三田村 未央, 末松 梨絵, 井上 久子, 多田 芳史, 大田 明英, 長澤 浩平
    セッションID: 39
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    目的:活動性SLE患者において細胞分裂とCD4+T細胞のTh1/Th2バランスの関係を解析した。方法:活動期にあるSLE16例、健常者22例を対象とした。CFSEにて末梢血CD4+T細胞を予染しConAにて3日間刺激培養し細胞分裂を誘導した。PMA+Ionにて再刺激を行い、細胞内サイトカイン産生についてFACS解析を行った。CFSEの染色強度により細胞分裂回数を同定し、その分裂回数ごとのサイトカイン産生(IFN-gamma、IL-4、TNF-alpha)を解析した。 結果:分裂前のCD4+T細胞では、IFN-gの産生はコントロールと差がなかったが、IL-4の産生が亢進し、Th2に傾いていた。分裂を起こしたCD4+T細胞は 分裂初期(1-3分裂)は、IL-4の産生はコントロールと差がなかったが、IFN-gの産生が有意に低下し、やはりTh2が優位であった。分裂後期(4分裂以降)は、IFN-g、IL-4ともに正常と有意差を認めなかった。また、臓器障害による検討を行った。腎症+の症例で、分裂初期のTNF-a増加、分裂後期でのTh2優位が顕著であった。CNSループスでは、細胞増殖が亢進し、分裂初期でのIFN-gの増強がみられた。 結論:SLEでは、細胞増殖・分裂などのcell kineticsがTh1/Th2バランスに影響を与え、Th2反応が増強されると考えられた。臓器障害による差もみられ、腎症では分裂初期の炎症サイトカイン増加、後期のTh2優位が、CNSでは分裂初期のTh1優位が病態と関与している可能性が示唆された。
  • 森本 真司, 仲野 総一郎, 満尾 晶子, 名切 裕, 鈴木 淳, 野澤 和久, 天野 浩文, 金子 礼志, 戸叶 嘉明, 高崎 芳成
    セッションID: 40
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】近年、ループス腎炎WHO IV型においてTh1細胞の関与が示唆されている。今回我々はループス腎炎WHO IV型のTh1細胞の局所動態につき検討した。【方法】Th1/Th2比はIFNγ/IL-13の細胞内染色、抗CD4、CD62L,IL-12R抗体で細胞表面を染色しFACSにて解析した。血中のCXCL10.MCP-1濃度はELISA法で測定した。【結果】細胞内Th1/Th2比はTh1優位であり、血中IFNγ高値は少数であった。CD62L発現はIL-12R陽性T細胞で低発現であった。血中のMCP-1はWHO IV型で優位に高値を示し、CXCL10は腎病変のないものと比べ低値であった。【結語】WHO IV型においてTh1細胞は血中ではIFNγ非分泌型であるがMCP-1などにより腎組織に移行し、局所においてIFNγを産生し病態を形成している可能性が示唆された。
  • 高橋 令子, 石井 智徳, 岡 友美子, 高澤 徳彦, 平林 泰彦
    セッションID: 42
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    近年Epstein-Barr (EB) 95-8 ウイルスがコードするmicroRNAが報告された。EB ウイルス感染症と全身性エリテマトーデス(SLE) の発症・病態の関係については従来から様々な報告がされている。我々はSLE 患者と健常人でこれらmicroRNAを定量し比較した。  方法は、1)SLE 患者由来末梢血リンパ球でReal-time PCR 法により、EB ウイルスがコードする5個のmicroRNAを定量した。2)SLE 患者と対照健常人由来末梢血リンパ球にEB 95-8 ウイルスを感染させリンパ芽球様細胞株を作成した。それらの細胞株においてこれらmicroRNA を定量し、健常人の細胞株由来のものと比較した。3)SLE腎障害を起こす抗DNA抗体を産生するリンパ芽球様細胞株,O-81でこれらmicroRNA を定量し、SLE 患者由来リンパ芽球様細胞株由来のものと比較した。  結果は、1)SLE 患者由来末梢血リンパ球では、これらmicroRNAは検出されなかった。2)SLE 患者と対照健常人由来のリンパ芽球様細胞株では、これら5個のmicroRNAは共に検出できたがその量に有意差は認めなかった。3)抗DNA抗体産生リンパ芽球様細胞株, O-81においてこれらmicroRNAの発現レベルは、SLE 患者由来リンパ芽球様細胞株由来のものと比較して高かった。  従って、EBウイルスがコードするmicroRNAが、SLEの病態、特に抗DNA抗体産生能に関連している可能性が示唆された。
  • 岩田 恭宜, 坂井 宣彦, 古市 賢吾, 和田 隆志, 金子 周一
    セッションID: 44
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】MRL-Fas lprマウスにおけるCD11c陽性細胞の動態と細胞内シグナル伝達機構であるp38 mitogen-activated protein kinase (MAPK)の関与を検討した。 【対象と方法】p38MAPK阻害剤であるFR167653(FR)を生後3ヶ月令よりMRL-Fas lprマウスに経口投与し、6ヶ月令の腎臓、脾臓、末梢血単核球を検討した。【結果】腎臓においてCD11c陽性細胞は傍糸球体領域と間質血管周囲に認められた。CD11c陽性細胞、成熟CD11c陽性細胞は疾患活動性に一致して増加した。またp38 MAPK抑制により糸球体・間質病変が改善し、CD11c陽性細胞が減少した。またCD11c陽性細胞の成熟に関与するHigh Mobility Group Box-1(HMGB-1)は糸球体、間質血管周囲に認められた。P38 MAPK抑制により蛋白およびmRNA発現のいずれも減少した。脾臓においても同様の結果であった。末梢血単核球においてもP38 MAPK抑制によりCD11c陽性細胞数が減少した。【結論】自己免疫性臓器障害においてp38MAPK活性化はCD11c陽性細胞の動態およびHMGB-1産生に関与し、その制御は治療標的として重要な因子であると考えられた。
  • 天野 浩文, 天野 恵理, 安藤 誠一郎, 森本 真司, 戸叶 嘉明, 林 青順, 広瀬 幸子, 高崎 芳成
    セッションID: 45
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    目的: BXSBマウスは、全身性エリテマトーデス(SLE)類似の自己免疫疾患の発症に伴い末梢血において単球増加と単球サブセットの変化が生じる。Linらは、刺激性(FcγRIとFcγRIII)と抑制性のIgG Fcレセプター(FcγRIIB)が自己免疫疾患の発症とその抑制に重要であることを報告している(J. Immunol.2006)。今回我々は、刺激性IgG Fcレセプターを欠くBXSBγ鎖欠損マウス(BXSB.γ-/-)と抑制性IgG FcレセプターがB6由来であるBXSBマウス(BXSB.IIBB6/B6)における末梢血での単球増加と単球サブセットの変化について解析した。 方法: 末梢血中の単球と単球サブセットについてF4/80、CD11b、CD11c、Gr-1(Ly6C/G)の各モノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリーで解析した。 結果: 8ヶ月齢における末梢血中の単球は、BXSBマウスは42.3±7.8%と著明な単球増加を示したのに対して、BXSB.γ-/-マウスで18.4の±6.3%、BXSB.IIBB6/B6マウスは18.3±3.5%と明らかな単球増加抑制を認めた。定常性“resident”単球と呼ばれるCD11b+ Gr-1-と炎症性“inflammatory”単球と呼ばれるCD11b+ Gr-1+単球について解析したところ、加齢BXSBマウスにおいて認められる、CD11b+ Gr-1-の増加は、BXSB.γ-/-マウスおよび、BXSB.IIBB6/B6マウスでは著明に抑制されていた。 結論: SLEのモデルマウスの一つであるBXSBマウスにおいて、その病態を抑制する2系統の変異マウスであるBXSB.γ-/-マウスおよびBXSB.IIBB6/B6マウスでは、末梢血の単球増加、特にCD11b+ Gr-1-のサブセットの増加が有意に抑制されており、BXSBマウスの病態におけるIgG Fcレセプターの関与の重要性が示唆された。
  • 杉田 亮, 竹内 孝男, 小林 正弥, 砂田 真澄, 長野 宏昭, 伊藤 能永, 柏井 聡, 大野 覚, 久保 裕司
    セッションID: 46
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    (症例)40歳、男(主訴)眼瞼、下顎の腫脹(家族歴)父;Parkinson病(既往歴)25歳;右停留精巣手術(現病歴)2006年6月頃、周囲に両眼瞼の腫脹を指摘されるようになった。8月、近医(眼科)で結膜炎として診断されたされたが症状は改善せず、この頃より徐々に両下顎の腫脹も来すようになった。9月当院眼科初診。ドライアイはなく、ドライマウスを認めた。抗SS-A抗体(-)、抗SS-B抗体(-)、ACE8.8IU/L、胸部レントゲン異常なし、全身Gaシンチでは両側涙腺、両側顎下腺、顔面正中のみに集積を認めた。唾液腺シンチではやや描出が弱いものの唾液腺に集積を認め、顎下腺生検では炎症細胞浸潤が認められた。2007年2月精査、加療のためリウマチ・膠原病内科に入院。当初からシェーグレン症候群は否定的であり、血清IgG4が異常高値で、腎生検で後腹膜線維症の存在が明らかとなり、腹部超音波、CTで自己免疫性膵炎を疑う所見を得た。この時点でミクリッツ病と診断した。ステロイド剤の開始により、諸症状、所見は著明に軽快した。本例の病態は、涙腺・唾液腺・後腹膜にIgG4陽性形質細胞浸潤を来たした、いわゆるIgG4関連全身性疾患であると考えられ、そうした疾患に関しての文献的考察を試みたい。
  • 砂田 真澄, 竹内 孝男, 林 真帆, 長野 宏昭, 伊藤 能永, 金岡 裕夫
    セッションID: 47
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    (症例)16歳、男(主訴)多発性関節痛(家族歴)兄;イソ吉草酸血症(既往歴)イソ吉草酸血症(現病歴)2007年3月中旬より右胸痛を来すようになった。その後右胸鎖関節、右肘、右膝に腫脹、疼痛が波及した。当院整形外科にて右膝から関節液を抜いたりして痛みを取っていたが、関節症状は徐々に増強していった。4月原因精査目的でリウマチ・膠原病内科に初診。リウマトイド因子は全て陰性で、抗CCP抗体も測定値以下。骨シンチでは両側胸鎖関節特に右に集積を認めた。リウマトイド因子陰性脊椎関節炎と考え、HLAを検索したところB27が検出された。皮膚症状はなく、レントゲン写真では仙腸関節、腰椎、股関節に異常を認めず、大腸ファイバーでも異常所見は認めていない。現段階では強直性脊椎炎とは診断出来ないが、NSAIDsが著効したことより、リウマトイド因子陰性脊椎関節炎の前段階であることは確かである。ロイシンの異化代謝経路のイソバレリルCoA脱水素酵素の異常により起こる稀な先天性有機酸代謝異常症であるイソ吉草酸血症とリウマトイド因子陰性脊椎関節炎に関して、偶々合併したのか、病因的に両者に何らかの関連があるのか、文献的考察を試みたい。
  • 金子 政彦
    セッションID: 48
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    症例は17歳の女性、2006年8月頃から両上眼瞼腫脹と腫瘤を触知するということで10月に眼科を受診した。眼窩CTおよびMRIにて両側涙腺腫脹を認め、また顎下腺の軽度腫脹も指摘されミクリッツ病や悪性リンパ腫が疑われた。12月には両膝関節痛、発熱、および蕁麻疹も出現した。さらに顔面腫脹と両眼瞼浮腫が出現したため再度眼科を受診したところ、シャーマーテストで涙液分泌低下を指摘された。全身精査目的に1月5日に当科を初診したところ、RF 107 IU/ml、IgG 2024mg/dl、IgE 1082 IU/mlと高値を示し補体低下も認めた。またMASTでは多種多様の抗原にアレルギー反応を示した。当初は無治療で経過を診ていたが、紫斑を伴う蕁麻疹様の皮疹が四肢や顔面に間欠的に出現し、さらに顔面の周期的腫脹と発熱を繰り返すため精査加療目的のため2007年4月24日に入院した。涙液分泌低下は認めるものの唾液分泌能は正常、抗SS-A抗体陰性、および抗SS-B抗体陰性でシェーグレン症候群の診断基準は満たさなかった。血清学的には高ガンマグロブリン血症を認め、RF陽性、補体低値、IgE高値、IgA低下も認めた。胸部CT上、間質性肺炎と胸水も認めた。血清IgG4の高値を認めIgG4+AMOLPSと診断した。皮膚症状は紫斑と膨疹が混在しており、凝固13因子低下を伴っていたことからアレルギー性紫斑病も合併していると考えられた。さらに腹痛も認めたがステロイド治療開始後に消失した。アレルギー性紫斑病の病態が前面に出現したIgG4+AMOLPSと考えられ、また若年であるということから興味深い症例と考えられ報告する。
  • 宮部 斉重, 野々村 美紀, 本根 杏子, 駒野 有希子, 小池 竜司, 針谷 正祥, 宮坂 信之
    セッションID: 49
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
     症例1:22歳男性。発熱、関節痛、白血球増多、血清フェリチン高値等より成人ステイル病(AOSD)と診断。心膜炎も認め、ステロイドパルス療法、プレドニゾロン(PSL) 70mg/日, メトトレキサート (MTX)にて治療したが効果不十分のため、第47病日にインフリキシマブ(IFX)導入、症状の改善を認め16ヶ月後PSL漸減中止した。症例2: 29歳女性。発熱、関節痛、白血球増多、血清フェリチン高値等よりAOSDと診断。PSL 30mg/日にて軽快したが、減量中に再燃。PSL増量、MTX併用にて一時軽快したが PSL 20mg/日にて関節炎が再燃しIFX導入、寛解に導入しえた。症例3:31歳女性。発熱、関節痛、白血球増多、リンパ節腫脹、血清フェリチン高値などからAOSDと診断。PSL 30mg/日にて軽快したが減量と共に再燃し、MTX併用するも発熱、関節炎が持続した。IFX導入し3回投与したが無効にてエタネルセプト(ETA)を導入、完全寛解となった。症例4: 60歳女性。発熱、関節痛にて発症。白血球増加、肝障害、血清フェリチン高値等よりAOSDと診断。ステロイドパルス、PSL、シクロスポリン、MTX等に抵抗性であったため、ETA導入、症状軽快しPSL減量が可能となった。以上より、治療抵抗性のAOSDにTNF阻害療法が有効と考えられ、文献的考察を加えて発表したい。
  • 桐生 麻衣子, 高木 香恵, 立石 睦人, 津田 篤太郎, 原田 修次, 田辺 学, 小笠原 孝, 山田 隆, 稲田 進一
    セッションID: 50
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    [症例] 64歳、女性。[現病歴・経過] 2005年、下肢の皮疹出現。同年2月、呼吸困難を自覚したため近医を受診。間質性肺炎を指摘され4月当院紹介受診。下肢の皮斑、末梢神経障害あり、胸部CTでは気管支肺炎合併の多発嚢胞性間質性肺炎の像を呈し、MPO-ANCA陽性(73 U/ml)よりANCA関連血管炎と診断。炎症反応低値であり、クラリスロマイシン少量投与を開始、CRPは陰性化した。その後、MPO-ANCAは60~100 U/mlを推移し、KL-6は700から1300 U/mlと上昇、肺野の嚢胞性変化は増大傾向にあった。2006年5月にはニューモシスチス肺炎を併発、ST合剤に加えステロイドパルス療法施行、後療法はプレドニゾロン(PSL)40mg/dayとして改善。2週間でPSL10mg/dayまで漸減した。以後、MPO-ANCAは陰性化したがKL-6は3000U/mlまで漸増。肺の線維化、嚢胞性変化は進行し、同年11月、呼吸困難増悪のため入院するも改善せず、11月30日永眠された。剖検所見では、新旧の硝子膜形成・気腔内器質化ならびに多発性肺嚢胞を伴う肺線維症、即ちびまん性肺胞傷害+通常型間質性肺炎を認めた。[考察] MPO-ANCA関連血管炎における両病変合併の報告は稀である。本例はCRP・MPO-ANCA陰性化後も肺病変の進行を認めており、本症の間質性肺炎の病態・治療を考える上で貴重と思われ報告する。
  • 山中 隆夫, 原田 芳徳, 石井 泰子, 東  直人, 田中 枝里子, 成川 太希夫, 松下 正人, 田宮 基裕, 松野 治, 山根 宏之, ...
    セッションID: 51
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【症例】74 歳男性  【経過】 平成18年9月、40度のSpike Feverがあり、近医受診した。WBC11200,CRP12.8,フェリチン1431,LDH333で、精査加療目的で入院した。抗生剤に反応せず、胸部X線、尿、各種培養,腹部CT,心エコーで明らかな感染源を認めなかった。入院後8日、咽頭痛、AST 72,ALT77の肝機能障害が出現し、成人発症Still病と診断された。PSL10mgを開始されるも発熱が続き、当院紹介受診した。10月6日転院時、CRP3.79,フェリチン4548,LDH 233,WBC 4770,IL-18 5000以上,KL-6 300,胸部CTで両側下葉,肺底部に間質影を認めた。PSL40mgに増量すると熱発、咽頭痛消失し胸部CT上、間質影も殆ど消失した。その後12.5mgまで漸減したが、再燃を認めていない。 【結語】成人発症Still病に間質性肺炎を生ずることは非常に稀であり、貴重な症例と考えられたので報告する。
  • 岩本 直樹, 川上 純, 川尻 真也, 藤川 敬太, 荒牧 俊幸, 一瀬 邦弘, 玉井 慎美, 蒲池 誠, 中村 英樹, 井田 弘明, 折口 ...
    セッションID: 52
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】シェーグレン症候群(SS)では腺外症状として関節症状を認めることが多いうえにIgM-RFも陽性率が高く、関節リウマチ(RA)との鑑別がしばしば問題となる。両者の鑑別における抗CCP抗体測定の意義。また、抗CCP抗体陽性のシェーグレン症候群の臨床的特徴について検討した。 【方法】当科通院中の74名のSS患者について抗CCP抗体、IgM-RFを測定した。また、診療録をもとにRAの合併および関節症状の有無についても検討した。初診時にX線上骨破壊認めた群や、RAの経過中にSSを発症した群は除外した。 【結果】74例中12例(16.2%)がACRの関節リウマチ改訂分類基準を満たした。抗CCP抗体陽性は9例(75%)に認めた。一方、RAの診断基準を満たさなかった62例のSSのうち抗CCP抗体陽性は3例(5%)のみであった(P<0.00001)。また、関節症状は53例(72%)に認め、IgM-RFは29例(55%)に陽性であり、関節症状認めない群でもIgM-RFは13例(66%)に陽性であった。一方、抗CCP抗体は関節症状を認めた群では12例(23%)に陽性であったのに比べ、関節症状認めない群では全例陰性であった。 【考察】抗CCP抗体はIgM-RFに比べRAとSSの鑑別に有用であると思われた。
  • 河合 麻理, 萩原 圭祐, 桑原 裕祐, 中西 香織, 有光 潤介, 平野 亨, 嶋 良仁, 緒方 篤, 田中 敏郎, 吉崎 和幸, 川瀬 ...
    セッションID: 54
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/12
    会議録・要旨集 フリー
    症例は59歳女性、80年発症の皮膚筋炎、間質性肺炎の患者。UCGにて、推定PA圧が40mmHgであったことより肺高血圧症(PH)疑い精査目的に06年8月4日入院した。BNP59.0pg/mlと軽度上昇がみられるも、S-Gカテーテル検査ではPA 29/14(22) RV 29/-3(-2) RA 0/-1(-3) PCWP 7/3(0)とPHを認めなかった。その結果よりボセンタン投与は見送られるも、その後9月頃より慢性の下痢が悪化し著明な体重減少が見られ、脱水状態であったためIVHを開始したところ右心不全が出現し、BNP 430.1pg/ml、推定PA圧44.4mmHgと上昇した。輸液負荷によるPHの顕在化およびPHによる右心不全と考え、少量のドパミンおよびボセンタンを開始したところBNP 113.2pg/ml、推定PA圧35mmHgと改善を認め、体重も28kgから38kgまで増加、IVH抜去となった。その後ボセンタン内服にて状態は安定し退院、現在BNPは33.5 pg/mlまで改善している。膠原病患者におけるPHの評価は全身状態を考慮し判断する必要があり、BNPは鋭敏にPHを反映する可能性を示す症例と考え報告する。
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