症例は 32 歳の妊婦(身長 167 cm,体重 68 kg)で,妊娠 9 週に最大 37 連発の心室頻拍を指摘された。β 遮断薬を内服したが,妊娠末期に心室頻拍の頻度が増加した。妊娠 37 週に陣痛発来し,帝王切開術を行った。
手術室に入室後,体外式除細動器を準備し,T12~L1 椎間に硬膜外カテーテルを留置した。ついで,L3~4 椎間に脊髄くも膜下麻酔(0.5%高比重ブピバカイン 1.8 ml+フェンタニル 10 μg)を行い,T3 レベルまでの冷覚消失を得た。血圧低下に対し,エフェドリンを静脈内投与した。手術中に心室頻拍はおこらず,母児共に合併症なく手術を終えた。
心室頻拍合併妊娠の帝王切開術を,脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔で安全に管理できた。
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