日本国際看護学会誌
Online ISSN : 2434-1452
Print ISSN : 2434-1444
4 巻, 2 号
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  • Akiko Kondo, Ann L. Eckhardt, Renaguli Abuliezi, Tomomi Oki, Amane Ota ...
    2021 年 4 巻 2 号 p. 35-46
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー
    This cross-sectional pilot study tested the feasibility of a comparative study of patients with acute coronary syndrome in Japan and the United States, estimated the effect size of perceived control, and compared the strength of association between perceived control and health-related quality of life.
    Patients were recruited from a university hospital in Japan and a level 1 trauma center in the United States. The two authors in Japan and a research team member in the US recruited each participant during hospitalization. Data were collected using self-report questionnaires of demographics, acute coronary syndrome symptoms, depression, anxiety, perceived control, and health-related quality of life.
    Japanese participants (n=31) were older and their educational level was higher than US participants (n=10) on average. Japanese participants’ perceived control was significantly lower (effect size was 0.787), although they reported higher levels of health-related quality of life in the physical functioning and social functioning domains. Necessary total sample size for liner multiple regression with five predictors was calculated to be 14. The total score of perceived control was significantly lower in Japanese patients compared with US patients after adjusting for age, gender, education and employment. In the US, lower pain (r=0.850) and better emotional role (r=0.818) subscales were significantly correlated with higher perceived control (p < 0.005). In Japanese patients, correlation coefficients between each item of health-related quality of life and perceived control were generally lower (r < 0.5), and were not significantly related each other (p > 0.005).
    Perceived control was significantly lower in Japanese participants than US participants with large effect size. The association between perceived control and health-related quality of life with Japanese patients was not clear in this pilot study due to small sample size. Further investigation in a larger representative sample is necessary to determine whether perceived control is related to health outcomes in patients in Japan.
  • 奥川 ゆかり
    2021 年 4 巻 2 号 p. 1-11
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー
    目的:すべての学生が国際看護学を受けられる実現可能な教育方法を見出すために、我が国の看護学部生への国際看護学の教育内容とその成果についてレビューを行った。
    方法:2020年 10月、医中誌 Web、 CiNii、 J-STAGEのデータベースを使用し、国際看護学または国際看護論と教育をキーワードとし文献を収集した。検索基準は、看護学部生への国際看護学の教育内容とその成果が示されており、 2001年 1月から 2020年 9月までに日本語および英語で公表された論文とした。手順は、 1 国際看護学をすべての学生が履修しやすいように配慮された点、 2 海外での取り組み、またはそれに匹敵する国内での教育内容、3 先の二点の教育成果を抽出し、海外と国内における取り組みとに区分し検討した。
    結果:我が国の看護学部生へ国内で実施される国際看護学の先進的な教 育内容の主な取り組みとして、 1 外国人講師・学生の招聘、 2 遠隔授業の導入、 3 1年次開講・必修科目の位置づけ、であった。成果としては、海外での実習・演習の実施を問わず、 1 異文化や外国人当事者の理解、 2 学習意欲の向上、 3 看護師としてのキャリアアップを考える機会、であった。成果を把握する方法としては、授業・実習前後の質問紙による量的調査や、学習ポートフォリオによる質的調査のデータが用いられていた。
    考察:国際看護学を履修した学生は、国際看護学について国内外で当事者から体験的に学び、異文化や外国人当事者の理解を高めるだけでなく、自ら学ぼうとする姿勢や将来を見据えて看護師を目指そうとする態度の育成に資することが示唆された。海外での授業は、経済的な事情や語学に自信がないなどの理由から科目を選択することができない学生も少なからずいる ため、外国人講師・学生の招聘や、他大学と合同での遠隔授業の導入などの工夫が求められる。
  • 柴 邦代, 植木 美貴子, 汲田 明美, 服部 淳子, 岡崎 章
    2021 年 4 巻 2 号 p. 47-57
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー
    目的:ポルトガル語版危険回避教育ツールを用いて、入院中の在留ブラジル人患児とその親に事故防止対策を行った看護師の語りから、ポルトガル語版「危険回避教育ツール」(以下、翻訳版)を用いた事故防止対策を評価するとともに、ツールの改良点を検討することを目的とした。
    方法:質的記述的方法で、入院中のブラジル人の親子に翻訳版を使用して事故防止対策を行った5人の看護師への半構造化インタビューを実施した。危険回避教育ツールには転倒・転落・点滴の3種類がある。
    結果:インタビューの結果、翻訳版を配布した6人のブラジル人入院児(6ヶ月〜9才)とその親に関する看護師の語りから抽出された56コードは、ツールへの親子の反応2カテゴリー、ブラジル人親の事故防止行動3カテゴリー、看護師によるツール配布の評価3カテゴリーに集約された。ブラジル人親からは、翻訳版に対する肯定的な反応が確認され、ツール内容に沿った事故防止行動も確認された。一方で、子どもの反応で、ツールへの関心・理解・事故防止行動の変化は確認できなかった。ブラジル人親の事故防止行動からは、転倒と点滴抜去についてはツールを使用したことの効果と思われる結果が示された。一方で、転落については【子どもの側にいる時にはベッド柵全面降下】が認められ、ツールの効果がみられなかった。
    考察:ブラジル人親については、翻訳版に対する肯定的な反応やツール内容に沿った事故防止行動が確認されたことから、事故防止対策に翻訳版を利用することの有意性が示唆された。一方で、子どもについては、ツールへの関心・理解・事故防止行動の変化などは確認できておらず、ツールの有効性を確認することはできなかった。子どもがツールに対して関心をもってくれる工夫をした上で、改めて子どもに関する評価を行う必要がある。また、ブラジル人親の事故防止行動では、転倒と点滴抜去についてはツールを使用したことの効果と思われる結果が示された。転落については【子どもの側にいる時にはベッド柵全面降下】があり、ツールの使用が親の行動変容につながらなかったことから「ベッド柵をあげる」部分を強調し、印象づける改良の必要性がある。本研究の限界は、対象者である看護師が5名と少なく、特定の施設におけるデータである為、施設や観察対象となった親子の特性が結果に影響している可能性がある。今後、対象者を拡大して調査を継続する必要性がある。
  • 加藤 林太郎, 浅川 翔子, 山元 一晃
    2021 年 4 巻 2 号 p. 23-34
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー
    目的:外国人看護師の受け入れや教育についての議論は、2008年に経済連携協定に基づいて始まった外国人看護師の受け入れを主軸として展開され、多くの知見が蓄積されている。だがその一方で、看護教育課程を持つ大学に在籍し、日本で看護師国家試験合格を目指す留学生(以下、看護留学生)については、その学びの過程に寄り添った教育や教材についての研究が未だ少ない。そのため、看護留学生が実際にどのような困難を抱えながら講義や実習などに臨んでいるのかは、分からない部分が多い。また、看護留学生への教育研究や教材開発には、そこに携わる教員の視点も欠かすことができない。そこで本研究では、特に困難が予測されるライティング教材の開発を見据え、授業、演習、実習などで看護留学生が困難と感じていると思われる事象を、看護教員へのインタビューの分析を通じて明らかにすることを目的とする。
    方法:実際に大学の看護学部において留学生の教育に当たっている看護教員4名を対象にしたインタビューを、日本語教員がインタビュアーとなり行った。そして、そこで看護教員が看護留学生に対する教育において困難だと感じる点について語った発話を抜き出し、Steps for Coding and Theorization (SCAT)の手法で分析した。
    結果:まず、インタビュー内の発話から延べ78の構成概念を抽出し、それを基にストーリーラインを作成した。その結果、「留学生に見られる問題点」「看護教育の特徴に起因する問題点」「教育制度・環境面の問題点」「看護教員自身の問題点」の四つの視点からストーリーラインが作成された。そして、それぞれを細分化することにより、看護教員が捉える看護留学生への教育上の困難点に関わる24の仮説を導くことができた。その仮説は、看護留学生向けライティング教材作成の有用性を示すものであった。また、教材の内容についても、ライティングの周辺的能力を取り入れる有用性が示唆された。そして、看護教員と日本語教員が協働で看護留学生の学びを支える重要さも示されていた。
  • 椎葉 奈子, 杉本 敬子
    2021 年 4 巻 2 号 p. 58-68
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー
    目的:2019年9月、日本のコミュニティにおける外国人母子への子育て支援活動への示唆を得るために、家庭訪問型子育て支援を行う国際的非営利団体「ホームスタートUK」の2つのオフィスを訪問した。
    方法:この活動報告では、(1) 施設概要、(2) 支援体制、(3) ボランティア活動の3点を中心に、2施設での研修で学んだことを報告する。
    結果:ホームスタートUKでは、様々な背景をもつ移民や難民を含む母子への支援が行われ、支援者はホームスタートの研修を受けたボランティアの市民であり、公的な保健サービスや専門職との連携を取りながら、市民の視点でチャイルド・プロテクションを基本とした家庭訪問が行われていた。
    考察:今回の海外研修から、日本においても、コミュニティにおける外国人家庭への支援体制を整備するためには、ボランティアが専門職や公的保健サービスと連携を取りやすい体制を確保しながら、ボランティア団体による母子支援活動を推進していくことの有効性が示唆された。
  • 岩田 真弓, 堀込 由紀
    2021 年 4 巻 2 号 p. 12-22
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2022/10/01
    ジャーナル フリー
    目的:外国人患者へのコミュニケーション及びケアの質の向上への示唆を得るため、国内外の先行文献から異文化間コミュニケーションの課題と、効果的なコミュニケーションを築くために必要な方策を検討した。
    方法:2008年から2018年までの間に発行された国内外の文献をレビューの対象とした。それぞれ日本語・英語でのキーワードの組み合わせにより6つのデータベースを利用した。PRISMAプロトコールを活用して選択基準を満たした国内文献15件、海外文献15件の合計30件の文献を分析対象とし、類似性に沿ってグループ化し、テーマを決定した。
    結果:異文化間コミュニケーションの諸課題として「異文化理解の乏しさ」、「ケアプロセス、アウトカムへの影響」、「多言語対応サービスの不足やアクセスのしにくさ」、効果的なコミュニケーションを築くために必要な方策としては、「看護師への学習機会の提供」、「多言語対応サービスの効果的な活用」、「信頼関係の形成と援助関係の構築」のそれぞれ3つのテーマが抽出された。
    考察:外国人患者へケアを提供する看護師の異文化理解とコミュニケーション能力を高めるための学習とは、学習者のニーズに合わせた多様な教育方法の提供による学習者中心のアプローチが必要であると考える。また、多言語サービスの効果的な活用では、認証された通訳者との協働や図、絵、カード、トランスレーションブックなどのビジュアルエイドの活用で正しい情報の提供と理解の促進により、患者や看護師の安心とケアの質の向上に繋がる。言語が異なる場合はノンバーバルコミュニケーションも活用し、相手を理解しようとする姿勢、違いを受け入れ肯定的に歩み寄ろうとする関わりが信頼関係の形成や援助関係の構築に関して有効であることが示唆された。
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