Reproductive Immunology and Biology
Online ISSN : 1881-7211
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29 巻
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総説
学会賞受賞論文
  • 寺山 隼人, 善本 隆之, 内藤 宗和, 平井 宗一, 曲 寧, 畑山 直之, 林 省吾, 金沢 輝久, 隅山 香織, 坂部 貢, 伊藤 正 ...
    原稿種別: 学会賞受賞論文
    2014 年 29 巻 p. 13-23
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
    Haploid germ cells (=精子細胞・精子)は,様々な自己抗原を含んでおり,セルトリ細胞間の結合で構成される血液-精巣関門(blood-testis barrier)によって免疫系から護られている。また,セルトリ細胞,ライディッヒ細胞および精巣マクロファージの一部が免疫を抑制する働きを担っていることが知られている。さらに,精巣内で分泌されるいくつかのサイトカインが免疫抑制作用を有することが明らかになってきた。最近,新たに同定されたサイトカインであるInterleukin (IL)-35が,免疫抑制効果を有し,Epstein-Barr virus-Induced gene-3 (EBI3)とIL-12p35(p35)のヘテロダイマーとして存在することが報告された。しかしながら,精巣においてIL-35がどのような役割を担っているのか未だ明らかになっていない。本研究では,正常マウス(12週齢雄C57BL/6マウス)を用いて精巣内のEBI3およびp35の発現を調べると共に,EBI3およびp35を欠損させたノックアウトマウス(KO)の精巣を解析した。その結果,正常マウスの精巣内のEBI3は,CD163陽性細胞の一部(精巣内在住マクロファージ)および精子細胞・精子の頭部に発現していた。p35は,EBI3陽性およびF4/80陽性細胞の一部,精細管の基底膜,血管内皮細胞および精子細胞・精子の頭部に発現していた。EBI3およびp35 を欠損させたKOマウスの精巣では,有意な精子形成障害が見られた。また,精巣間質中にはCD4,CD8,B220陽性細胞が浸潤するとともに,精巣内でIFN-γやIL-10の上昇がみられた。さらに,血清中に精子細胞・精子に対する自己抗体が認められた。本研究の結果はIL-35を構成しているEBI3およびp35はCD163陽性細胞の一部に発現し,精巣において免疫抑制の維持に関わっている可能性を示唆している。
  • 伊藤 史子, 菰原 義弘, 髙石 清美, 本田 律生, 田代 浩徳, 竹屋 元裕, 片渕 秀隆
    原稿種別: 学会賞受賞論文
    2014 年 29 巻 p. 24-31
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/11/20
    ジャーナル フリー
    腹水中には様々な種類の細胞が存在し,腹腔内環境を形成している。その中でもマクロファージは免疫機構の中心的役割を担い,微小環境の変化によってM1マクロファージとM2マクロファージに分化することが示されている。子宮内膜症患者では腹腔マクロファージが増加・活性化し,その発生や進展に関与すると考えられている。また,子宮内膜症が経卵管性に逆流する月経血に暴露される骨盤内に好発することから,月経血に含まれる子宮内膜組織がその発生に不可欠と考えられている。しかし,これまで腹腔マクロファージと子宮内膜間質細胞の細胞間相互作用については十分な解析が行われていない。本研究では,子宮内膜症患者の腹腔マクロファージの活性化状態について解析した。さらに,マクロファージと子宮内膜間質細胞の細胞間相互作用について,マクロファージの分化や子宮内膜間質細胞の活性化に関与するシグナル分子,さらに両細胞の産生する液性因子に注目して検討を行った。その結果,子宮内膜症患者の腹水中でM2マクロファージが有意に増加していることが明らかとなった。また,M2マクロファージと子宮内膜間質細胞の共培養実験では,両細胞のsignal transducer and activator of transcription 3,corosolic acid(Stat3)の活性化やGM-CSFなどの液性因子の産生増加,さらに子宮内膜間質細胞の増殖促進が認められた。以上のことから,腹腔内で共存する両細胞の相互作用が腹腔内環境の変化を誘導し,子宮内膜症の発生や進展が促進されることが示唆された。
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