日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2758-7983
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ポスター 24
  • 山田 亮佳, 鍛治 宏宣
    原稿種別: ポスター 24
    セッションID: P - 53
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/30
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    【はじめに、目的】

    近年、回復期リハビリテーション病院では質の評価として実績指数が組み込まれている。2020年度の診療報酬改定では回復期リハビリテーション病棟入院料Ⅰを算定する条件の1つとして実績指数が40へと引き上げられたことからも、短い入院期間で質の高いリハビリテーションの提供が求められている。実績指数には除外基準が設けられているが実績指数の除外は入棟月に除外の判断が必要となるため、早期より実績指数の予測が求められる。本研究ではInbodyを含む入院時の評価と実績指数との関連を検討することで、早期から実績指数の予測を行うことを目的とした。

    【方法】

    対象者は2024年1月1日から12月31日に当院に入院し退院に至った、大腿骨近位部骨折患者のうち80歳以上、MMSE24点以上の患者68名(男性16名、女性52名、平均年齢87.70±4.92歳)とした。ペースメーカー等の植え込み型医療機器を使用している患者、入院時に患側下肢の免荷指示があった患者、状態悪化により転院した患者は除外した。実績指数が40以上の群を達成群、40未満の群を非達成群と定義し、入院時の位相角、SMI、 FBS、BMI、TP、Alb を調査し、2群間の比較を Mann-WhitneyU検定にて実施した。また有意差を認めた項目に関しては正確度の評価を実施し、ROC曲線からcut off値を算出した。有意水準は1%未満とする。

    【結果】

    達成群は55名(男性12名、女性43名、平均年齢87.58±4.96歳)、非達成群は13名(男性4名、女性9名、平均年齢88.23±4.74歳) であった。Mann-WhitneyU検定の結果から入院時の位相角、 FBSに有意な差を認めた(p<0.01)。その他の項目は有意差を認めなかった。 ROC曲線から位相角、FBSのcut off値を算出したところ位相角のcut off値は2.9(曲線下面積0.742、95%信頼区間0.572-0.912)、FBSのcut off値は10点(曲線下面積0.866、 95%信頼区間0.737-0.996)であった。

    【考察】

    2群間において位相角、FBSに有意な差を認めた。位相角、バランス能力が低い患者に関しては実績指数も低い傾向にあり、 cut off値を算出したことで指標を明確化することができた。よって除外対象者を検討する際の一助になる可能性が示された。また、入院期間の長期化やADLの改善に難渋する患者の予測にも有用であり、そのような患者に対して早期より適切なリハビリテーションの提供、退院支援が行いやすくなると考える。

    【倫理的配慮】

    小金井リハビリテーション病院倫理委員会の承認を得た(承認番号2024年31号)。本調査はヘルシンキ宣言に基づいた規定に尊守し、個人が特定できないように匿名化しデータの取り扱いには十分注意した。

  • 直田 誠矢, 高根 良輔, 内原 涼馬, 伊藤 秀幸
    原稿種別: ポスター 24
    セッションID: P - 54
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/30
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    【はじめに、目的】

    当院では変形性股関節症(HOA)患者に対し人工股関節全置換術 (THA)後に診療群分類包括評価を導入し在院日数の短縮が求められている。術前から治療支援アプリを用い運動介入を行うものの自宅退院に至らない症例も多い。先行研究において術前の運動機能がTHA術後の転帰に影響すると報告されている。そこで当院でのTHA患者の転帰に影響を与える術前身体機能因子を解明することとした。

    【方法】

    本研究のデザインは縦断研究とした。対象はHOAと診断され術前にTimed Up & Go (TUG) testが測定できたものとした。退院 ・転院を目的変数、心身機能である患側股関節可動域として屈曲・伸展・外転、両下肢筋力として股関節屈曲・外転・膝関節伸展、TUG、Japanese Orthopaedic Association Hip Disease Evaluation Questionnaire(JHEQ)下位項目の疼痛を説明変数として測定及びアンケートにより収集した。基本的属性として年齢、性別、同居者の有無、医学的属性としてBMI、障害側、転倒歴、Charlson併存疾患をカルテ・アンケートにより収集し交絡因子とした。統計解析として退院・転院を目的変数、心身機能を説明変数とした重回帰分析を実施し、さらに基本的・医学的属性を交絡因子として強制投入した上で階層的重回帰分析を実施した。統計解析にはR4.3.3verを使用し有意水準は5%とした。

    【結果】

    術前にTUGを測定し、当院を退院・転院された121名(男性17名、女性104名、平均年齢69.1±9.2歳、退院71名、転院50名)を対象とした。重回帰分析の結果、患側膝関節伸展筋力(β=-0.30)、TUG(β=0.34)が退院・転院に影響することが示唆された。また、階層的重回帰分析の結果、患側膝関節伸展筋力・ TUGに加え、年齢(β=0.23)が独立して退院・転院に影響することが示唆された。得られたモデルの自由度調整済R二乗値は 0.316、分散増幅因子は1.136~1.242であった。

    【考察】

    本研究より術前TUG、患側膝関節伸展筋力、年齢が退院を予測 する因子として示唆された。先行研究では術前後の股関節外転筋力、術後歩行速度がTHA後の転帰に影響を及ぼすと報告しており、本研究でも類似した結果となった。また加齢に伴う身体的変化は、その後の回復プロセスに影響を与える可能性があり、初診時から膝関節伸展筋力、起立・着座及び歩行能力の向上を図ることが術後の回復に重要と思われる。今回の結果をもとに、整形外科医師と協働し術前の運動方法などの情報を配信したいと考える。

    【倫理的配慮】

    本研究は当センター倫理委員会によって承認された研究である。対象者は研究の説明を口頭および書面にて受け、書面にて同意した。

  • -過去10年間の初回理学療法評価より-
    阿部 敏彦, 平石 志保, 武智 政公, 門田 三生, 亀尾 江里, 山本 晴城, 重川 直輝
    原稿種別: ポスター 24
    セッションID: P - 55
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/30
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    【はじめに、目的】

    今回は高齢発症RA患者(EORA)の身体特性とADL障害について調査するために、過去10年間の当院外来通院患者の初回時理学療法評価項目の中からEORA患者を抽出し 60歳未満にて発症したRA患者 (YORA)と比較検討したので報告する。

    【方法】

    2014年~2023年の10年間に初診で当院外来RA患者として通院した267名(男性77名、女性190名)、平均年齢64.0±14.1歳、平均罹病期間5.9±8.9年、平均発症年齢58.3±14.6歳 )を対象とした。発症年齢を1群(EORA):60歳以上発症(男性 46名、女性86名)、2群(YORA): (男性31名、女性104名)の2群に分け検討した。

    調査項目は、疼痛部位と値、朝のこわばり、身体組成(身長、体重、BMI)、 10m歩行速度、ADL評価(上下肢、合計)、合併症 (高血圧症、糖尿病、骨粗鬆症)、各種保険、並びに家族構成とした。

    統計学的解析には、評価時年齢、罹病期間、痛みの値、身体組成、歩行速度、%YAM値、ADL得点の11項目について平均値の差の検定を施行した。また調査期間を2群に分け、2014年~ 2018年を1群:前期、2019年~2023年を2群:コロナ流行期とした。

    【結果】

    各年毎のEORA患者の占める割合は、2014年51、2015年38、2016年41、2017年60、2018年43、2019年49、2020年29、2021年61、2022年54、2023年58であった(数字は%を示す)。

    EORAの合併症有無では高血圧症42%、糖尿病7%、骨粗鬆症 51%であった。EORAの前期及びコロナ流行期の比較では、評価時年齢(P<0.01)、罹病期間(P<0.01)の項目に、YORAでは罹病期間(P<0.01)に有意差が認められた。家族構成は独居22名 (17%)、夫婦67名(51%)であった。

    EORAの男女別項目比較では、身長、体重、%YAM値の項目(全てP<0.01)に、YORAでは身長、体重、BMIの項目(全てP<0.01)に有意差が認められた。

    【考察】

    RA患者の発症年齢の高齢化が進んでおり、一般的な代謝機能 や排泄機能の低下のみならず、RA患者特有の体組成異常は発症早期から現れる。治療目標としてのT2TでのTight controlはもとより、患者背景や抗リウマチ薬処方への影響を我々PTも理解すべきである。

    【倫理的配慮】

    本研究はヘルシンキ宣言に準じて、 診療記録より後方視的にデータ抽出を行い、個人情報が特定できないようにID化しデータ保存を行った。

  • 高根 良輔, 内原 涼馬, 都留 貴志, 篠永 篤志, 田口 昌宏, 田中 繁治
    原稿種別: ポスター 24
    セッションID: P - 56
    発行日: 2025/03/31
    公開日: 2025/04/30
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    【はじめに、目的】

    Hip OA (HOA)患者の手術待機時期に手段 的日常生活動作 (IADL)能力を保持することは重要であり、その評価として改訂版 Frenchay Activities Index (SR-FAI)がある。我々は第10回日本予防理学療法学術大会において、股関節伸展可動域、Timed up and go (TUG) test に着目した術前理学療法プログラムが、術前IADL能力の維持に重要であることを報告した。術前からのエビデンスに基づいたシームレスな理学療法の構築を目的とし、本研究では術前IADLが術後の歩行能力に影響するかを検討した。

    【方法】

    本研究は5施設の医療機関で実施された多施設共同研究であり、研究デザインは縦断研究である。対象は術前評価及び術後2週目の評価が行えたHOA患者とした。目的変数として術後2週目のTUGを測定し、説明変数として術前SR-FAIをアンケートより収集した。基本的属性として性別、年齢、BMI、居住状況、医学的属性としてCrowe分類、既往歴、転倒歴を調査し、交絡因子として扱った。統計解析として、術後2週目の TUGを目的変数、術前SR-FAIを説明変数とした単回帰分析を実施し、その後基本的・医学的属性を交絡因子として強制投入した階層的重回帰分析を実施した。統計解析にはR4.3.3verを使用し、有意水準は5%とした。

    【結果】

    HOA患者244名(男性29名、女性215名、平均年齢 68.9±8.9歳)を対象とした。単回帰分析の結果、SR-FAIの点数が高くなるほど、術後2週目時点でのTUGの値が小さくなる結果であった (β=-0.38)。またこの結果は、年齢 (β=0.27)、 BMI (β=0.14)、居住状況 (β=-0.13)、転倒歴 (β=0.12)を調整しても同様の関係性であった。得られたモデルの自由度調整済みR二乗値は0.27であり、分散増幅因子の最大値は1.12であった。

    【考察】

    本研究では、術前のIADL能力が高いほど、術後2週目の歩行能力が高いという結果であった。この結果は、交絡要因を調整した場合でも同様の結果であった。そのため、術後の歩行能力を高めるには、術前からIADL能力を高めるような介入が重要であることが示唆され、本研究はそれを支持するエビデンスとして捉えることができる。本研究の限界としては、心理的な要素を含めて検討ができていないことと術後2週時点での評価であることが挙げられる。今後は心理社会的要因がどのように関与するか調査し、長期間のフォローアップによる、歩行能力の変化やIADL能力の関係性についても明らかにする必要があると考えられる。

    【倫理的配慮】

    本研究は所属施設の倫理委員会によって承認された研究である。対象者は研究の説明を口頭および書面にて受け、書面にて同意した。

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