土木学会論文集B2(海岸工学)
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77 巻, 1 号
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和文論文
  • 間瀬 肇, 由比 政年, 金 洙列, 楳田 真也, 松下 紘資, 安田 誠宏, 平山 克也
    2021 年 77 巻 1 号 p. 18-27
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル フリー

     打上げ・越波統合算定モデルIFORMは,由比ら(2019)により,打上げ高と越波流量の関係が改良され,国内外の越波実験結果をより精度良く算定できるようになった.しかし,1/50勾配の極浅海域海浜に設置された護岸の越波流量実験結果をまだ過小評価する傾向にある.本研究では,従来の越波流量算定式およびIFORMにおけるスケーリングについて物理的観点から再考察を行い,適切なスケーリングや関数形の選定,天端からの打上げ高による表現等,モデル構築の重要なポイントを提示する.また,越波流量への仮想勾配と波形勾配の影響を調べるとともに,波形勾配にかかわる極浅海域での波周期の影響を見直し,新たに波周期の増加を考慮すれば,改良IFORMによる越波流量算定の精度が向上することを明らかにする.

  • 松田 烈至, 園田 武
    2021 年 77 巻 1 号 p. 28-39
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル 認証あり

     シブノツナイ湖は,沿岸漂砂による河口閉塞を防止する処理施設が施工されているシブノツナイ川水系末端に位置し,ヤマトシジミやワカサギの漁場となっている汽水湖である.本研究は,湖の水質・底質と底生生物群集について調査し湖沼環境の現状を検討した.調査期間中の湖水塩分は5psu以下で1年以上1psu以下で推移し,アオコの発生が確認された.湖底は湖東側湖岸部を除く大部分で泥分含量50%以上,強熱減量10%以上の底質が広がり,流入河川付近では泥分含量90%以上となっていた.底生生物の優占種はユスリカ幼虫とイトゴカイ科の一種で,ヤマトシジミの好漁場に共通する構成種の密度は少なかった.以上の結果から,河口閉塞処理施設の開口状態が湖の水質や底質と生息生物に強く影響していることが示唆された.

  • 田中 聡, 仲座 栄三, 福森 匡泰, 宮里 信寿, Carolyn SCHAAB
    2021 年 77 巻 1 号 p. 40-54
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル 認証あり

     水平床上に設置した直立護岸の越波流量特性が,規則波を対象として,CADMAS-SURFを用いた数値計算及び大型水理実験により明らかにされている.一様斜面上の護岸特性を明らかにする上でもそのベースとして水平床上の護岸越波特性の把握が重要となる.吉川らは水平床上の護岸越波流量の算定に定常流を対象とした堰の公式を導入し,1波当たりの越波流量算定式を与えた.これを基準として合田は,不規則波を対象として護岸上の越波流量算定図表を提示している.被災時の状況把握には,被災をもたらした1波当たりの最大越波流量の推定が求められる場合も多々あることから,規則波を用いた現象理解は重要となる.本論は,無次元越波流量が相対天端高によって系統的に整理できることを示した上で,反射率と越波流量とを同時生起現象として説明している.

  • 徳永 貴久, 松山 幸彦, 長副 聡
    2021 年 77 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル 認証あり

     渦鞭毛藻Akashiwo sanguineaの呼吸による酸素消費速度を推定するため,本種の赤潮発生海域においてクロロフィル蛍光を指標とした細胞密度の観測及び同一海水を用いた酸素消費速度に関する室内実験を実施した.既往研究との比較から,渦鞭毛藻の日周鉛直移動と夜間の底層での呼吸は,懸濁物及び堆積物に起因する酸素消費とともに貧酸素化へ寄与する可能性が高いことが示唆された.また,連続観測結果に基づき,酸素飽和度が20%を下回る貧酸素水塊が発達した期間はA. sanguineaの日周鉛直移動が著しく低下していたことから,渦鞭毛藻の日周鉛直移動が貧酸素化によって影響を受ける可能性も示唆された.

  • 大谷 壮介, 三好 順也, 吉村 直孝, 日下部 敬之, 上月 康則
    2021 年 77 巻 1 号 p. 65-73
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/20
    ジャーナル 認証あり

     本研究は大阪湾沿岸の付着生物の調査を実施し,栄養塩低下と付着生物の分布の関連性を明らかにするために検討を行った.具体的には13年前に実施した調査地点を中心に調査を行った結果,生物相に大きな変化はなかったが,春季の海藻の種数は湾奥において増加しており,ワカメやクロフジツボ等の付着生物は環境勾配の変化に従って,湾奥に分布域を拡大していた.長期間のモニタリングデータを用いて大阪湾沿岸の水質変化を検討した結果,2000年からの栄養塩は減少していた.また,水質を用いて特徴的な生息分布を示した生物種に関し,Maxentを用いて分布に寄与する要因を解析した結果,栄養塩を主として透明度や塩分,護岸構造物の種類が寄与していると考えられた.大阪湾沿岸における栄養塩の低下は付着生物の分布に影響を及ぼしていることが示唆された.

和文報告
  • 桑江 朝比呂, 三戸 勇吾, 有川 太郎, 石川 洋一, 木所 英昭, 澁谷 容子, 志村 智也, 清野 聡子, 羽角 華奈子, 茂木 博匡 ...
    2021 年 77 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/20
    ジャーナル フリー

     今後の我が国の沿岸分野における気候変動対応で取り組むべき課題について,どのような内容に研究者が関心を抱いているのか検討された例はない.そこで,気候変動に関連する様々な学会に対してアンケートを実施した.その結果,「気温・海水温」,「生物多様性の減少」,「海面上昇」,「極端気象・気候」,「温室効果ガス」,「生態系サービスの劣化」,「台風・低気圧」,「水産物の減少」,「国土減少・海岸侵食」,そして,「漁業管理」が優先すべき課題の上位10キーワードとして選択された.すなわち,自然現象や人間活動への影響に関する課題解決の優先度が高く,緩和・適応策の優先度は低かった.これらのキーワードの選択理由について考察するとともに,我が国における現状と今後の課題や展望について,キーワードごとにとりまとめた.

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