会計検査研究
Online ISSN : 2436-620X
Print ISSN : 0915-521X
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
会計検査研究
  • 原田 久
    2025 年71 巻 p. 5-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    ジャーナル フリー
  • 社会保障における「相談支援ワーカー」の統計的把握
    安藤 道人
    2025 年71 巻 p. 11-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    [早期公開] 公開日: 2025/07/14
    ジャーナル フリー

     日本の社会保障政策において,相談支援への注目が集まっている。本稿では,貧困と就労・介護・障害・保健医療・子ども・女性の6 つの領域における19 の公的な相談支援業務に従事する人々を「相談支援ワーカー」と呼び,その人的資源や財政の規模を統計資料や行政資料によって検証した。その結果,(1)本稿が対象とした相談支援ワーカーの総数は約42 万人であり,これは医師数や保育人材数などと比較しうる規模であること,(2)領域別にみると介護領域の相談支援ワーカーが特に多い一方,児童福祉司やスクールソーシャルワーカーなどの数は少ないこと,(3)ワーカーあたりの利用者数・利用件数は領域ごとに大きな違いがあり,さらなる定量的な把握・比較が必要なこと,(4)本稿が分析対象とした相談支援ワーカーの総人件費は約1.6 兆円と試算され,これは日本の社会支出の総額の約1.2%,GDP(国内総生産)の約0.3%に相当することなどが明らかとなった。

  • 平井 里奈, 伊藤 敦, 大塚 良治, 丹野 忠晋, 櫻井 秀彦, 古田 精一, 岸本 桂子, 奥村 貴史
    2025 年71 巻 p. 35-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    [早期公開] 公開日: 2025/05/15
    ジャーナル フリー

     2000 年代以降,国策として進められてきた医療情報化施策の一つである,地域医療情報連携ネットワークでは,医療機関間を情報ネットワークで接続することで,医療の質の向上に貢献するものと期待されてきた。しかし,多大な費用に見合う成果が得られず,運営が放棄される事態が繰り返されてきた。そこで,本研究では,「費用便益分析」の手法を援用し,「費用」と「便益」の定量化を通じた政策評価を試みる。

     まず,費用便益分析の標準手法に倣い,事業に関わる様々な費用と便益構造を整理した。事業にかかるあらゆる費用と得られる様々な便益を,金銭価値・非金銭価値の面から列挙したうえで,首都圏A 市のネットワーク事業者A と,A 市内の全医療機関に質問紙調査を実施し,仮想的市場評価法,支払い意思額等を組み合わせ,各費用と各便益を推計し,正味現在価値,費用便益比,患者一人当たりコストを算出した。

     事業2 年間の金銭的便益は1 億2178 万円,金銭的費用は1 億2061 万円であり,非金銭的便益は530.97万円,非金銭的費用は3695.95 万円であった。これらより,正味現在価値は-3047.97 万円,費用便益比は0.81,金銭的費用のみを対象として算出した患者一人当たりコストは7236 円/年となった。

     この結果は,事業が実施費用に見合うだけの便益を生み出せていないことを示し,今まで各地の地域医療情報連携ネットワークが構築されては運営が放棄される事態が続いてきた理由を定量的に説明する。

  • -関東地方自治体アンケート調査の結果分析を中心として-
    河藤 佳彦
    2025 年71 巻 p. 63-
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/30
    [早期公開] 公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー

     本稿は,大都市圏の自治体による,コミュニティビジネス振興施策について検討することを目的とする。少子高齢化の急速な進展が地域経済の縮小に拍車をかける厳しい現状において,地域経済を維持発展させるためには,利潤の拡大を最優先にした企業の振興や誘致などと併せ,コミュニティに活動基盤を置き,地域の経済と生活の活性化に取り組む事業の促進が求められる。そのため,収益目的と公益目的の両方の実現が期待できるコミュニティビジネスの役割が重要となる。

     コミュニティビジネスの活用による地域活性化は,地方圏に止まらず,社会課題解決の要請が高まる大都市圏においても重要な方策になると考えられる。そこで,代表的な大都市圏を擁する関東地方に着目し,基礎自治体(市区町村:「自治体」とする)へのアンケート調査により,コミュニティビジネスに関する振興施策や連携・協働などの実態を確認した。

     コミュニティビジネス振興施策の対象は幅広いことから,多様な部局を包摂する柔軟な連携体制を構築することが必要になる。施策については,コミュニティビジネスとしての自立性・継続性が必要であることを前提としつつ,側面的な支援施策が求められる。併せて,行政サービスを効率的で創造的なものにしていくため,コミュニティビジネスとの連携・協働が求められる。

     今後は,市町村合併により広域化した自治体エリアの中での,構成地域の個性や実情に即したきめ細かな課題解決におけるコミュニティビジネスの役割の解明や活動促進のための方策,さらには地域経済の拡大効果が期待されるソーシャルビジネスの振興も視野に入れた方策などが求められる。

feedback
Top