火山
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40 巻, 5 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 宇平 幸一, 池田 滋, 武尾 実
    原稿種別: 論説
    1995 年 40 巻 5 号 p. 295-310
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
    爆発地震の初動付近の詳細な震源過程を明らかにするために,1987年11月の3つの桜島の爆発地震について,短周期地震計で得られた記録を解析した.これまでの研究では,爆発地震の等価な力源として,鉛直下向きのシングルフォースや球状圧力源が用いられてきた.本研究では,爆発地震の震源過程をより一般的に記述するために,2種類のソースモデル,すなわち,地震モーメントテンソル(Mxx,Mxy,Mxz,Myy,Myz,Mzz),及び,鉛直方向のシングルフォースと地震モーメントテンソル5成分の組み合わせ(Fz,Mxx,Mxy,Mxz,Myy,Myz)を使った.それぞれの力(Fz)や複双力源(Mij)に対応する震源時間関数を波形インバージョンによって求めた.観測波形は地震モーメントテンソルを使った場合に良く説明することができる.推定された震源時間関数から,爆発地震の震源領域は急速に膨張した後,収縮に転じることが示唆される.シングルフォースを含んだ震源モデルでは,桜島の爆発地震の著しい特徴の一つである初動の押しを説明することはできなかった.これらのことから,爆発地震の最初の震源過程として地震モーメントテンソルによるモデルの方が適当であると考えられる.震源領域の膨張に関しては,地震モーメントテンソルの対角成分のうちMzzが卓越していることがわかったが,これは最近,井口(1994)によって得られた結果と一致する.したがって爆発地震は爆発地震の震源領域の最上部に形成されたガス溜まりが主に上下方向に膨張することで始まると考えられる.
  • 宇平 幸一, 山里 平, 橋本 徹夫, 福井 敬一, 武尾 実
    原稿種別: 論説
    1995 年 40 巻 5 号 p. 311-328
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
    1991年以来の雲仙岳の噴火活動中に,周期2秒より長い長周期成分を含む火山性微動,A型地震,火砕流に伴う震動,そして爆発地震が観測された.本研究では,主に5月10日の火山性微動と6月11日の爆発的噴火について波形インバージョンにより震源過程を調べた.これらの震動の等価な力源として,シングルフォースあるいは地震モーメントテンソルを用いた.これらの震動を説明する震源モデルを決定するため,震源時間関数を仮定した場合のインバージョンと震源時間関数の関数形を求めるインバージョンの両方を行った.5月10日の微動は,主としてレーリー波で構成されているが,鉛直方向のシングルフォースに比べて震源領域の収縮を表すモーメントテンソルが観測波形をより良く説明した.爆発的噴火に伴う地震もモーメントテンソルの方が観測波形と理論波形の一致が良い.推定された震源時間関数は,初めに震源領域が収縮し3-4秒後に膨張したことを示している.これは爆発が始まってから4秒後に噴火活動が激しくなったことに対応している.爆発地震の震源領域における体積変動量は傾斜変動から推定される体積変動量の約1%と推定される.
  • 佐野 貴司
    原稿種別: 論説
    1995 年 40 巻 5 号 p. 329-347
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
    The Iki island comprises many monogenetic volcanoes of alkalic basalt, and some volcanoes of various kinds of acidic alkalic and subalkalic rocks. They are composed mainly of scoria cones and lava flows. Excluding some unclassified lava flows that comprise the lower part of the island, 52 lava flows can be recognized. Based on the detailed field observations and the K-Ar age determination of 41 samples, stratigraphic relationship of volcanic rocks and the volcanic history of the monogenetic volcano were established. The volcano on the Iki island has grown over a period of 15 Ma to 0.6 Ma. At least after 3.5 Ma, volcanic activity was intermittent, separated by three quiescent periods. Each active period is 0.3-0.7 million years long and the quiescent period is 0.3-0.4 million years. Eruption volume during the each active period is almost the same (0.012-0.059 km3). Eruption rate of each active period is also almost the same (47-84 m3/year).
  • 宮城 磯治, 圦本 尚義
    原稿種別: 論説
    1995 年 40 巻 5 号 p. 349-355
    発行日: 1995/10/31
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
    日本を含む島弧の火山では,しばしば爆発的な噴火が見られる.マグマ中の揮発性成分(主に水)の飽和・発泡・膨張にともなうマグマの急激な放出が,それらの要因である.火山噴火の理解の為には,マグマ含水量,マグマヘの水の溶解度,そして噴火時の脱水過程を理解する必要がある.しかし,噴出時の脱水のため,噴出前の含水量を火山岩から読みとることはきわめて困難である.これまでのところ,斑晶中のガラス包有物の含水量を分析することが,マグマ含水量を見積もるための最も有効な手段であると考えられる.ただし,斑晶中のガラス包有物の大きさは通常直径100μm以下であるため,微小領域の正確な含水量測定法が必要である.そこで本研究では,二次イオン質量分析計を用いた含水量分析の手法を開発した.これまでの研究により,ガラスの組成が異なると水素の二次イオン生成率も変化することが知られており,この手法の問題点であった.しかし本研究では,ガラスのシリカ濃度を用いてその生成率が補正できることを示し,この問題点を克服した.これにより玄武岩質〜流紋岩質ガラスの微小部分(半径約5μm)の含水量を正確(約±0.5wt.%)に分析する手法が確立された.この手法の応用として姶良カルデラの約2万2千年前の噴出物から取り出した斑晶メルト包有物の分析を行ったところ,5~7wt.%の含水量が示された.これはAramaki(1971)の水熱合成実験により得られている水分圧と水の溶解度から推定される含水量と良く一致する.
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