北海道南西部の有珠山東方に分布する有珠上長和テフラ(Us-Ka)は,下部の軽石層と,上部の細粒火山灰層からなる.軽石層は安山岩質の軽石と石質岩片からなり,軽石のSiO
2量は61-62wt.%である.火山灰層は火山豆石を含み,マグマ水蒸気噴火により形成されたことを示す.Us-Kaテフラは,洞爺湖中島起源のNj-Osテフラを覆い,有珠外輪山溶岩に覆われる.テフラ直下の土壌層は18-19cal ka BPの放射性炭素年代値を示す.テフラの層厚と最大粒径は有珠山に向かって増大し,有珠山から噴出したことを示すUs-Kaテフラは,約18-19kaの爆発的噴火により形成され,この噴火は有珠火山の先駆的な活動であると考えられる.有珠山は,安山岩質の爆発的噴火により活動を開始し,玄武岩質溶岩(有珠外輪山溶岩)を噴出して成層火山を形成した.この成層火山の山体崩壊後,珪長質マグマの噴出により溶岩ドーム群を形成した.
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