東日本大震災後、福島県いわき市長福寺本尊地蔵菩薩坐像の像内から700年前の鎌倉時代
後期、鎌倉より福島に送った『ゑかい書状』が、他の文書とともに発見された。その中に
「ひしをつくるしたい」の文書があり、『ゑかい書状』を基に「醬(ひしを)」の復元を試
みた。「醬」の材料は麦、大豆、ヌルデ葉、水、塩であった。炒り大豆と麦を蒸し「ヌル
デ葉」で覆い種麴を造り、冷ました塩水を加え甕に入れ熟成した。出来上がった「醬」は
赤茶色で粘性のある半流動状であった。速成の造り方で復元した醤のナトリウム含量は100
g当たり4,455mg、食塩相当量は11.3gであった。復元した「醬」を用い、文献から「醤酢」
「摺醬」「ひほいり」の調理方法を試みた。
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