食生活研究
Online ISSN : 2759-5129
Print ISSN : 0288-0806
最新号
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  • 古橋 啓子, 宮澤 洋子, 石川 元康, 神戸 絹代
    2025 年45 巻4 号 p. 36-46
    発行日: 2025/07/31
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    日本における自然災害の頻発を背景に、大学生の防災意識向上を目的とし、管理栄養士養成課程学生を対 象に防災意識・行動・備蓄食品状況を学年別・世帯構成別で比較検討した。調査は2023 年1 月にT 大学健 康栄養学部の1 年生143 名、4 年生99 名(計242 名)を対象に実施し、有効回答212 名(87.6%)を解析 対象とした。カイ二乗検定および残差分析を用いて、学年別・世帯構成別の比較を行った。その結果、防災 意識について「避難経路及び避難場所」の認知では、1 人暮らしの認知度が低く、4 人以上世帯で認知度が 高いことが示されたことから、世帯構成別の意識の違いが示された。また、1 人暮らしの1 年生は「災害時 の連絡方法」を「知らない」回答が多いことから、1 人暮らし新入生に向けての防災教育の必要性が示唆さ れた。防災行動について「ローリングストックの実践」している割合は、1 年生では世帯構成に関わらず9 割以上が実施していなかったが、4 年生においては2 年次の専門科目で講義と実習で履修したことから、1 年生に比べて実践している割合が高く、教育を通して意識の高まりが示されたものと考えられる。備蓄食品 状況については、1 年生では2~3 人世帯で備蓄量把握率が高く、4 人以上世帯で低い傾向、4 年生では1 人 暮らしで備蓄不足が顕著であった。本研究により、大学生の防災意識・行動・備蓄食品状況に学年別・世帯 構成別の差異が明らかになった。今後は、大学生向け防災教育プログラムの開発や、ライフスタイルに応じ た備蓄推奨の必要性を示唆するものとなった。
  • 原口 翼, 首藤 千草, 白石 美恵
    2025 年45 巻4 号 p. 47-55
    発行日: 2025/07/31
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    先行研究では,炭水化物摂取前の食物繊維の形態差が血糖値に影響を及ぼすことが報告されている。本 研究では,食後血糖値に与える影響因子として,炭水化物摂取前の食物繊維の形態差とそれに伴う咀嚼の有 無による血糖値への影響について検討した。被験者は九州女子大学の女子学生とした。実験(ⅰ)では,炭水化 物摂取前に難消化性デキストリン含有茶(デキストリン茶)と普通茶,実験1(ⅱ)ではデキストリン茶と同程度の食 物繊維を含む野菜サラダを摂取させた。さらに実験2 では,咀嚼が食後血糖値に与える影響として,パラフィン ガムを用いて咀嚼が食後血糖値の変動に与える影響を検討した。その結果,実験1(ⅰ)は,デキストリン茶と普通 茶の血糖値に差は見られなかった。実験1(ⅱ)では,野菜サラダがデキストリン茶と比較して食後30 分の血糖値 において有意に低値を示し,120 分後においてはデキストリン茶が野菜サラダよりも低い傾向であった。実験2 では,空腹時血糖値がコントロール(水)群,パラフィンガム群およびサラダ群の比較において有意差がある傾 向がみられた。血糖値の変化量に有意差はなかったが,ガム群で他2 群よりも高い値であった。 以上の結果より,野菜サラダ摂取による食後血糖値上昇抑制作用が観察された。また,咀嚼が血糖値に及 ぼす影響については本研究では十分に明らかにすることはできなかった。しかしながら,ベジファーストを意識 することだけではなく,炭水化物摂取前の食物繊維含有食品をよく噛んで食べることが食後血糖上昇抑制効 果を高めることが期待される。
  • 有村 恵美, 牛山 紗稀子, 中熊 美和
    2025 年45 巻4 号 p. 56-65
    発行日: 2025/07/31
    公開日: 2025/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では, 栄養士養成課程2 年生24 名を対象とし, 今後の給食管理実習の充実を図ることを目的 として, 給食管理実習に対する実習評価・自己評価・進路希望などについて検討した。 給食管理実習評価では, A 評価の割合が給食・栄養管理項目で低値を示したが, 現場技術項目, 実習 記録項目, 実習態度項目, 総合評価項目においては, 約3 分の2 がA 評価と高値であった。自己評価項 目では, 「事前準備は良好だったか」「原価管理に関する理解が深まったか」「調理技術が向上したか」 「献立作成力が向上したか」が低値を示し, 「諸注意を守り節度・協調的態度であったか」「積極的に 実習に取り組んでいたか」「栄養・食事管理に関する理解が深まったか」「衛生管理に関する理解が深 まったか」「栄養士業務に関する理解が深まったか」においては高値であった。平均睡眠時間は, 実習 中と実習後では変化がなかったが, 実習前は実習中・実習後よりも低値であった。睡眠減少群は睡眠増 加群より有意に平均睡眠時間(実習中)・「食数管理に関する理解が深まったか」「原価管理に関する理 解が深まったか」が低値を示し, 有意に平均自主学習時間(実習前)・平均自主学習時間(実習後)が 高値であった。実習後の栄養士としての就職希望者は51.4%で, 管理栄養士養成施設への編入学希望者 は20.8%であった。実習前後での進路希望変更者は, 16.7%であり給食管理実習が進路に影響がある可 能性が示唆された。栄養士になりたい気持ちが一層強くなるような教育の場となるように, 今後さらに 実習先との連携を強化するとともに事前事後指導の充実を図っていきたい。
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