理学療法さが
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原著
  • 鶏尾 隆一郎, 髙津 芳紘, 松本 かおり, 野方 徳浩
    2023 年 9 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス
    [目的]入院中の高齢肺炎患者において退院時のshort physical performance battery(SPPB)に影響する因子を検討すること。[対象]入院中の高齢肺炎患者20名とした。[方法]評価項目は退院時のSPPB,body mass index,握力,geriatric nutritional risk index,下腿最大周径,入院前のlife-space assessment(LSA)とした。Spearman の順位相関係数を用いて検討した後,退院時のSPPB を従属変数,各指標を独立変数とした重回帰分析を実施した。[結果]退院時のSPPB と入院前のLSA との間に有意な相関を認め,退院時のSPPB に関連する因子に入院前のLSA が選択された。[結語]高齢肺炎患者の入院前の生活空間の広さは,退院時のSPPB に影響を及ぼす因子であり,LSA を用いた評価の重要性が示された。
  • 末永 拓也, 松本 雄次, 宮副 孝茂, 財津 和希, 髙塚 梨沙, 久保川 成美, 峰松 宏弥, 大田尾 浩, 釜﨑 大志郎, 林 真一郎
    2023 年 9 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス
    [目的]COPD 患者のlife-space assessment(LSA)に関係する因子を検討した。[対象]外来COPD 患者58名とした。[方法]基本情報に加えてLSA,呼吸機能,呼吸筋力,身体機能を評価した。LSA の得点から生活範囲狭小化群と生活範囲良好群に分類した。従属変数を生活範囲狭小化群および生活範囲良好群とし,独立変数を最大呼気口腔内圧,最大吸気口腔内圧,膝伸展筋力体重比,漸増シャトルウォーキングテスト(incremental shuttle walking test:ISWT),timed up and go test とした2項ロジスティック回帰分析を行った。[結果]外来COPD 患者のLSA には,ISWT[OR:1.03(95% CI:1.00〜1.05)p=0.018]が関係した。[結論]COPD 患者のLSA には,運動耐容能が関係する可能性が示された。
  • 田中 勝人, 田中 健太, 巨瀬 拓也, 高橋 雅幸, 釜﨑 大志郎, 大田尾 浩
    2023 年 9 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス
    [目的]脳卒中発症後2 週時のトイレ動作に影響する因子を検討した。[対象]対象は,急性期脳卒中患者49名(平均年齢76±11歳)とした。[方法]身体機能は,発症後1 週間以内に測定し,発症後2週時にfunctional independence measure(FIM)を評価した。FIM のトイレ動作およびトイレ移乗の点数から,トイレ自立群と要介助群の2 群に分けて各測定項目を比較した。次に,トイレ自立群,要介助群を従属変数,握力体重比,下肢荷重力体重比,trunk control test(TCT),stroke impairment assessment set-motor合計を独立変数とした2項ロジスティック回帰分析を行った。[結果]トイレ動作に影響する因子は,TCT[オッズ比:0.95(95%信頼区間:0.91〜1.00)p=0.031]であった。[結語]急性期脳卒中患者のトイレ動作には体幹機能が影響することが明らかになった。
  • 吉田 禄彦, 落石 広平, 熊丸 弘展, 釜﨑 大志郎, 大田尾 浩
    2023 年 9 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス
    [目的]要支援高齢者と要介護高齢者の身体機能と栄養状態の違いを明らかにすることとした。[対象]介護認定を受けた高齢者44名(平均83.2±7.1歳)であった。[方法]身体機能は,握力,膝伸展筋力,歩行速度,5回椅子立ち座りテスト,閉脚立位,セミタンデム立位,フルタンデム立位,開眼片脚立ち時間で評価した。栄養状態は,mini nutritional assessment で評価した。統計処理は,対象者を要支援群と要介護群の2 群に分けた後,2項ロジスティック回帰分析を行った。[結果]要支援群と要介護群を分ける因子にフルタンデム立位[オッズ比:0.77(0.61〜0.97),p=0.030]が選択された。[結語]要支援高齢者と要介護高齢者を分ける因子は,フルタンデム立位であることが明らかになった。要介護への悪化を防ぐには立位バランス能力への介入が必要である可能性が示唆された。
  • 藤村 諭史, 釜﨑 大志郎, 末永 拓也, 吉田 禄彦, 森永 秀和, 大田尾 浩
    2023 年 9 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス
    [目的]本研究は,若年者のアーチ高率と歩行速度の関係を検討することを目的とした。[対象]対象者は,健常若年者67名(19± 1歳,男性64%)とした。[方法]基本情報として性別,年齢,身長,体重,body mass index を記録した。身体機能は,最大歩行速度,アーチ高率,握力,膝伸展筋力,足指把持力を測定した。まず,各測定項目の相関をPearsonの相関分析で検討した。次に,最大歩行速度を従属変数とした重回帰分析を行った。[結果]最大歩行速度はアーチ高率,握力,膝伸展筋力,足指把持力と有意な相関関係を示した。さらに,重回帰分析の結果,最大歩行速度にはアーチ高率が関係することが明らかになった(標準化係数:−0.36,p=0.016)。[結語]アーチ高率の低下は,若年者の最大歩行速度を上昇させる要因である可能性が示唆された。
短報
  • 久保 温子, 平尾 文, 満丸 望, 仙波 梨沙, 溝田 勝彦
    2023 年 9 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス
    [目的]高齢者におけるロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)認知や理解は進んでいる。一方,若年世代のロコモ認知度の低さや,運動不足や運動過多による子どもの運動器に起こる身体症状が社会問題となっている。ロコモは高齢者だけの問題ではなく,全世代に渡る問題であることを考えていくことが大切である。そこで,ロコモ認知度調査を行い,今後のロコモ予防対策の参考にする。[対象と方法]A・B 保育園年長児の保護者に対して2017年〜2022年に計4回実施した保育園での体力測定会の中でアンケート調査(総計304人)を実施した。[結果]2018年にはロコモを知っている保護者が50%を超え,その後も継続して50%以上のロコモ認知度を維持している。一方,子どもロコモについて知っている保護者は2022年の調査においても20%弱となった。[結論]ロコモ認知度80%を達成するには若者世代のロコモに無関心な層により働きかける必要ある。また,本調査で子どもロコモの認知度の低さが明らかとなった。今後は本調査をきっかけに,子どもを持つ保護者への発達段階における運動器疾患に関わる知識の普及,および発達段階における運動器疾患の早期発見について,より詳細な研究と実践を進める必要がある。
  • 保坂 公大, 大田尾 浩, 吉田 傑, 今村 純平, 田中 順子, 柴田 元
    2023 年 9 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス
    [目的]慢性期の脳卒中者の短下肢装具(ankle foot orthosis:AFO)を変更することが歩行能力の向上に繋がるかを検証した。[対象]膝のロッキングを認める発症から2年9 ヶ月経過した脳卒中者1名を対象とした。[方法]基礎水準期にはUD フレックスAFO を,操作導入期には大河原式AFO を使用した。評価項目は10m 歩行速度,歩行率,6分間歩行距離(6 minute walking distance:6MWD),歩容,改訂長谷川式簡易知能評価スケール,brunnstrom recovery stage,足関節関節可動域,握力,膝伸展筋力,表在感覚,深部感覚,膝関節のNRS(numerical rating scale),FBS(functional balance scale),TUG-T(timed up and go test)とした。基礎水準期と操作導入期の回帰直線から,水準と勾配を回帰式の値で判定した。また二項検定により10m 歩行速度,歩行率,6分間歩行距離を比較した。[結果]基礎水準期と比較して操作導入期の10m 歩行速度,歩行率,6MWDに有意差が認められた。膝のロッキング等の歩容が改善した。[結語]慢性期の脳卒中者の能力に適したAFO への変更は即時的な歩行能力の改善に有効である可能性が示唆された。
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