理学療法さが
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2 巻, 1 号
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短報
原著
  • 井原 雄彦, 大田尾 浩, 八谷 瑞紀
    原稿種別: 原著
    2016 年 2 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    要旨:[目的]FRT のみで転倒を予測するのは不十分との指摘から,閉眼での FRT(functional reach test with eyes closed : EC-FRT)が考案された。だが,EC-FRT は何を捉える指標なのかは明らかではない。そこで,本研究は EC-FRT に影響を及ぼす要因を検証した。[対象]通所リハビリテーション利用者102名とした。[方法]測定項目は,EC-FRT,握力,大腿四頭筋筋力,片足立ち,5 m 歩行時間,Timed up andgo test,老研式活動能力指標とした。また,EC-FRT 測定時の左右方向の両足圧中心移動距離,前後方向の両足圧中心移動距離,単位時間軌跡長を求めた。[結果]重回帰分析の結果,EC-FRT に影響を及ぼす要因は大腿四頭筋筋力および前後方向の両足圧中心移動距離であった。[結論]EC-FRT は,下肢筋力およびバランス能力を反映する指標である。

  • 古賀 文穂子, 古後 晴基
    原稿種別: 原著
    2016 年 2 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    要旨:[目的]バドミントン経験者とその他スポーツ経験者の女子大学生を対象として,フォワードランジ姿勢における姿勢制御と足趾把持力との関連,およびバドミントン経験者とその他スポーツ経験者の2群間におけるフォワードランジ姿勢における姿勢制御と足趾把持力の比較について検討した。[対象と方法]女子大学生でバドミントン経験者(14名)およびその他のスポーツ経験者(11名)を対象とした。質問紙による調査,フォワードランジ姿勢における姿勢制御として重心動揺の測定,足趾把持力を測定した。重心動揺の測定はフォワードランジ姿勢で利き手側下肢のみ重心動揺計に乗せた状態にて測定し,足趾把持力は端座位にて股関節,膝関節90°屈曲位,足関節中間位で利き手側下肢のみ測定した。フォワードランジ姿勢における重心動揺と足趾把持力との関連を分析した。また,バドミントン経験者とその他スポーツ経験者の2群間を各測定項目で比較した。[結果]フォワードランジ姿勢における重心動揺と足趾把持力との関連は,重心動揺のすべての項目において足趾把持力との相関は認められなかった。バドミントン群とその他群を比較した結果,足趾把持力,総軌跡長において有意差は認められなかったが,外周面積と単位面積軌跡長においては有意差が認められ,バドミントン群はその他群と比べ外周面積では値が小さく,単位面積軌跡長では値が大きかった。[結語]本研究の結果より,フォワードランジ姿勢における姿勢制御に足趾把持力の影響は少ないことが示された。また,バドミントン経験者とその他スポーツ経験者との間に足趾把持力に有意差は認められなかった。しかし,バドミントン経験者はその他スポーツ経験者と比較してフォワードランジ姿勢での身体は安定しており,その重心動揺の揺れ幅は小さく,立ち直りによる姿勢制御能力や重心を足圧中心に保持する能力が優れていることが示唆された。

  • 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 井原 雄彦, 溝上 昭宏, 満丸 望, 溝田 勝彦
    原稿種別: 原著
    2016 年 2 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究は,握力の測定値に含まれる測定誤差の程度を検討した。[対象]要介護高齢者83名(79±9 歳)とした。[方法]握力の測定値から標準誤差(standard error of the mean : SEM)を算出し,Bland-Altman 分析から誤差の種類と許容範囲(minimal detectable change : MDC)を算出した。[結果]加算誤差および比例誤差は認められず,一定の傾向をもった系統誤差は確認されなかった。SEM から握力には1.7kg の測定誤差が含まれており,MDC は4.8kg であった。[結論]要介護高齢者の握力は,測定誤差の許容範囲±4.8kg を超える変化が認められた場合に変化(改善/弱化)したと判断できる。

  • 前田 弘美, 関根 紀子
    原稿種別: 原著
    2016 年 2 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    要旨:小脳失調を主症状とする脊髄小脳変性症患者に対し,重症度ステージに影響する独立歩行および補助具や介助を必要とするカットオフ値を求めた。対象は,運動失調を主症状とする脊髄小脳変性症患者14名(平均年齢61.4±9.0歳)であった。運動失調スコアには Scale for the Assessment andRating Ataxia,バランススコアには Berg Balance Scale(BBS)を用いた。ステップワイズによる重回帰分析の結果,脊髄小脳変性症重症度ステージに最も影響する要因は BBS であった。ROC 曲線より,独立歩行のカットオフ値は BBS 41点となった。また,歩行のカットオフ値は21点となった。本研究の結果,BBS 41点以下で独立歩行が困難,21点以下であれば車椅子などの歩行代替手段へ展開すべきと考える。

  • ―通院回数を考慮した評価方法の検討―
    政所 和也, 大田尾 浩, 八谷 瑞紀, 溝上 昭宏, 溝田 勝彦
    原稿種別: 原著
    2016 年 2 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    [目的]高齢者の外出頻度の低下は,身体機能の低下を惹起する。この外出頻度は,一週間に何日外出するかを問う方法で調査するが,その回数には通院回数も含まれる。そこで,従来の調査方法による外出頻度(従来調査法)と通院回数を除いた外出頻度(通院除外法)とでは,測定値に影響を及ぼす要因が異なるのかを検討した。[対象]地域在住高齢者121名とした。[方法]測定項目は,外出頻度,転倒歴,握力,片足立ち,大腿四頭筋筋力,足趾把持力,30秒椅子立ち上がりテスト,歩行時間,Timed up andgo test とした。[結果]重回帰分析の結果,従来調査法に影響を及ぼす要因は握力が選択されたのに対し,通院除外法には足趾把持力および片足立ちが選択された。[結論]従来調査法と通院除外法とは異なる内容を捉えている可能性がある。外出頻度は,通院回数も併せて調査する必要性が示された。

  • 久保 温子, 満丸 望, 田中 真一, 古後 晴基
    原稿種別: 原著
    2016 年 2 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    しゃがみ込み動作が柔軟性低下のスクリーニングとして小学生で有用か否かを検討するとともに,しゃがみ込み動作が出来ない児童の特徴を明らかにすることを目的とした。対象は,A 町のサッカー教室に通う小学校 5,6 年生男児25名(平均年齢10.8±0.6歳)とした。しゃがみ込みテストならびに新体力テストから,長座体前屈,反復横とび,立ち幅跳び,50m走,ソフトボール投げ,握力を評価した。また大腿四頭筋筋力,下肢柔軟性として下肢伸展挙上角度と足関節背屈角度を評価した。結果,大腿四頭筋筋力,下肢伸展挙上角度,足関節背屈角度にしゃがみ込み動作が出来るか否かで有意差が認められた。今回,小学校高学年の児童において,下肢の柔軟性低下の簡便なスクリーニングとして,しゃがみ込み動作を使用出来る可能性が示された。

  • 姫野 美鈴, 古後 晴基
    原稿種別: 原著
    2016 年 2 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    要旨:新体操クラブに所属する女子ジュニア選手31名を対象とし,関節弛緩性と筋柔軟性,および外傷との関連を検討した。評価項目は質問紙調査,関節弛緩性評価,筋柔軟性評価とした。関節弛緩性が陽性の場合,片側0.5点の合計 5 点満点で評価した。筋柔軟性は,下肢伸展挙上角度,指床間距離,踵殿間距離,中指・中指間距離で評価した。角度や距離の測定に加え,先端が接した場合を陽性とした合計 4 点満点でも評価した。質問紙調査によって,関節・筋・骨の損傷歴の者と非損傷歴の者の 2 群に分類し,関節弛緩性評価と筋柔軟性評価を t 検定にて比較した。その結果,関節弛緩性において,関節損傷者群は非損傷者群より有意に高値を示した。また,指床間距離において,筋損傷者群は非損傷者群より有意に高値を示した。本研究より,関節弛緩性の高い選手は関節外傷発生の危険性が高く,筋柔軟性が低い選手は筋損傷発生の危険性が高い可能性が示唆された。

  • 八谷 瑞紀, 大田尾 浩, 塚元 善清, 山田 雅博, 溝上 昭宏, 溝田 勝彦, 浅見 豊子
    原稿種別: 原著
    2016 年 2 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2016/02/25
    公開日: 2020/06/04
    ジャーナル フリー

    要旨:本研究の目的は,脳血管障害患者20名を対象に 5 m 歩行テストおよび TimedUp& Go Test(TUG)の信頼性と妥当性を検討することとした。歩行能力は 5 m 歩行テスト,TUG で評価し,身体機能は握力,大腿四頭筋筋力,片足立ちテストで評価した。歩行能力評価の相対信頼性の検討には,級内相関係数(ICC)を用いた。絶対信頼性の検討には Bland-Altman 分析を用いた。系統誤差の確認後に,測定の標準誤差(SEM),誤差の許容範囲である最小可検変化量(MDC)を求め測定誤差を検討した。歩行能力評価の妥当性は,Speaman の順位相関係数から検討した。分析の結果,5 m 歩行テストの ICC(1,1)は0.97,SEM は0.7秒,MDCは1.9秒であった。TUG の ICC(1,1)は0.99,SEM は1.2秒,MDC は3.3秒であった。相関分析の結果,5 m 歩行テストは握力(ρ=-0.53),大腿四頭筋筋力(ρ=-0.74),片足立ちテスト(ρ=-0.55)と有意な相関が認められた。TUG は握力(ρ=-0.49),大腿四頭筋筋力(ρ=-0.66),片足立ちテスト(ρ=-0.51)と有意な相関が認められた。脳血管障害患者における5m 歩行テストと TUG の信頼性,誤差の範囲があきらかになった。また,5 m 歩行テストおよび TUG は脳血管障害患者の身体機能も捉える評価法である可能性が示された。

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