要旨:本研究の目的は,脳血管障害患者20名を対象に 5 m 歩行テストおよび TimedUp& Go Test(TUG)の信頼性と妥当性を検討することとした。歩行能力は 5 m 歩行テスト,TUG で評価し,身体機能は握力,大腿四頭筋筋力,片足立ちテストで評価した。歩行能力評価の相対信頼性の検討には,級内相関係数(ICC)を用いた。絶対信頼性の検討には Bland-Altman 分析を用いた。系統誤差の確認後に,測定の標準誤差(SEM),誤差の許容範囲である最小可検変化量(MDC)を求め測定誤差を検討した。歩行能力評価の妥当性は,Speaman の順位相関係数から検討した。分析の結果,5 m 歩行テストの ICC(1,1)は0.97,SEM は0.7秒,MDCは1.9秒であった。TUG の ICC(1,1)は0.99,SEM は1.2秒,MDC は3.3秒であった。相関分析の結果,5 m 歩行テストは握力(ρ=-0.53),大腿四頭筋筋力(ρ=-0.74),片足立ちテスト(ρ=-0.55)と有意な相関が認められた。TUG は握力(ρ=-0.49),大腿四頭筋筋力(ρ=-0.66),片足立ちテスト(ρ=-0.51)と有意な相関が認められた。脳血管障害患者における5m 歩行テストと TUG の信頼性,誤差の範囲があきらかになった。また,5 m 歩行テストおよび TUG は脳血管障害患者の身体機能も捉える評価法である可能性が示された。
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