今回は,環境条件がフラットなトラックを使用した組み合わせトレーニングを,インターバル形式で実施した場合に現れる生体反応について,明らかにする目的で実験したところ,適当な範囲の運動強度とトレーニング編成上の手がかりになる資料が確認できたので報告する。1)ショートインターバルトレーニングとロングジョッグの組み合わせトレーニングは,スタート時のトレーニング強度を80%から85%HRmaxで計画しても,後半のロングジョッグトレーニングへの影響は少ないといえる。2)ロングジョッグの中間にミドルインターバルトレーニングを配置した場合の組み合わせトレーニングは,前半のロングジョッグトレーニングの運動強度を60%HRmax程度に抑え,中間のミドルインターバルトレーニングでは80%HRmaxを越えないようにしなければ,後半のロングジョッグトレーニングのスピードを確保することがむずかしいといえる。3)ビルドアップトレーニングは,スタートを60%HRmax程度から入り,第2ステージが70%HRmax,第3ステージが80%HRmax,最後のステージが100HRmaxと漸進的に負荷強度を増加させなければトレーニング効果は期待できない。とくにスタート時のトレーニングスピードは,被験者の最高速度の60%程度で考えることが理想的なスピードの切り替えが可能となる。4)以上のことから,スピードの切り替えに対応するための組み合わせトレーニングの運動強度と方法は,組み合わせの内容によっても異なるが,ショート及びミドルのインターバルトレーニングを組み合わせた場合の運動強度は80%以上90%HRmaxの範囲で考え,ロングジョッグについては運動強度よりもトレーニングスピードを被験者の60%程度の速度で考えると,トレーニングスピードを最後まで確保することが可能といえる。ただし,ビルドアップトレーニングについては,スタートの運動強度を60%HRmax程度から入り,途中のステージの切り替えを10%HRmax程度の段階的なアップ率で考えることが理想的である。
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