リスクマネジメント中で、リスク特定化の手段として、JIS31010 (2012年)において、ブレーンストーミング、デルファイ法などが提案されている。しかしこれは,あくまで専門家(十分な知識のある者)を想定した方法論である。一方、我が国で発達してきたKYT (危険予知トレーニング)は、現場の実際に携わっている人々が主体である点、イラストなど図形情報を用いた方法である点で,一般の人々でも危険予知、そしてリスク特定化に参両できる道を開いたが、重要な危険の抽出の過程が、「皆の総意」という曖昧な点が、リスクマネジメント教育の現場ではネックになっていた。この点を改善すべく、ここでは、イェール大学メディカルスクールの絵画分析の手法を用いて、実際のリスクマネジメントの授業で得られたデータを用いてモデル化した。結果は、「場所に対する観察」で、観察内容と根拠を示すというプロセスが、危険予知、そしてリスク特定化の作業に寄与する可能性が示唆された。
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