日本特別活動学会紀要
Online ISSN : 2436-9233
Print ISSN : 1343-7151
29 巻
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特集論文
研究論文
  • —集団社会化理論の視座からの回顧的検討—
    久保田(河本) 愛子
    2021 年 29 巻 p. 31-40
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、中学・高校の学校行事に参加すること、そしてそこでの集団体験が、いかに大学時点の自律性や課外活動集団への関わり方に対して発達上の効果を有するのかを集団社会化理論の視座から検討した。大学生645名を対象にした質問紙調査の分析の結果、中学・高校の学校行事に傾倒していた者、そして、学校行事の活動集団の中で同化・差異化していた者ほど、大学で所属する課外活動において組織市民行動を行いやすい傾向にあることが示唆された。ただし、どの程度、自己決定的な性格である個人かによって、学校行事の活動集団での差異化の効果が異なる場合もみられ、自己決定感が特性的に低い個人に対する援助の必要性が示唆された。

  • —日本型教育モデルの発信を視野に入れて—
    京免 徹雄
    2021 年 29 巻 p. 41-50
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    本論では、1980〜 90年代に公表されたアメリカの研究者による文献を手掛かりに、特別活動の特質を析出し、それが「深層」にある教育文化であることを明らかにした。「内発的動機付け」「リーダーシップと役割活動」「班活動」「振り返り」という4つのメカニズムは、「自律性」「所属感」「達成感」という子どもの心理的ニーズの充足に貢献してきたが、「集団づくり」そのものが自己目的化した場合には、子どもを効率的に管理する手段になるリスクもある。ゆえに、tokkatsuの国際化にあたっては、多様性を前提とする創造的な話合い活動(特に「比べ合い」による差異の承認)を軸に4つのメカニズムが展開される必要がある。

  • —社会調査の二次分析による特別活動の教育効果に関する定量的実証研究の可能性—
    小林 元気
    2021 年 29 巻 p. 51-60
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿は、児童会・生徒会選挙に着目し、全国の学校教育における実施状況と、成人後の若年層における主権者教育の知識定着という教育効果の有無を検証することを目的としている。

    分析の結果、⑴大半の中学校では投票選挙が行われる一方で、小学校と高校での実施状況はおよそ半々であり、個人の学校生活を通じた選挙経験の蓄積にはばらつきがあること、⑵学校生活での選挙経験は成人後の主権者教育の知識定着を強めていることが明らかになった。これらの知見は、全国で実践されてきた児童会・生徒会選挙の教育効果を示唆している。

    本稿は、特別活動の社会的意義に関するエビデンスの提示を目指した定量的実証研究として、萌芽的な意義をもつものである。

実践論文
  • 渡部 裕司
    2021 年 29 巻 p. 61-70
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    委員会活動の活性化に課題を抱えていた公立A中学校において、その活性化を目的として、校内全ての委員会で付せんを用いた活動改善に向けた話合い活動を実施した。この実践は、会の参加者全員に付せんを配付し、全員の意見を表明させたうえで、付せんに書かれた意見をもとに話合う形で進められた。成果として、生徒から出たアイディアが複数の委員会で実践に移された。また、任期の終わりのふり返りでは、具体的な改善策を次の委員に引き継ぐことができた。さらに、委員長会の話合い活動を通して、委員会同士が協働して活動する事例を生むことが出来た。このようなことから本実践により委員会活動の活性化につなげることができたと考えられる。

  • —5年生の授業実践「いじめの避難訓練」を通して—
    小沼 豊
    2021 年 29 巻 p. 71-80
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2022/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では、小学5年生への体験的(ロールプレイ)な内容を含む授業実践(「いじめの避難訓練」)に焦点を当て、援助要請に関係する働きかけが児童の被援助志向性、援助要請行動にどのような影響を与えたかについて、実験群と統制群の比較検討から明らかにしていくことを目的とした。調査は、①5年生の2クラス(実験群と統制群)を用意し、事前調査(Pretest)、事後調査(Posttest)そして、3週間程度の期間をあけた調査(Follow-up)から実施された。その結果、授業実践を行った実験群において、被援助志向性、援助要請行動の向上が確認でき、その効果は3週間後も持続させていることが明らかになった。

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