'さ
きみどり
'は1979年に宮崎県総合農業試験場茶業支場(農林水産省茶育種指定試験地)において,'茶本F1NN27'を種子親,'ME52'を花粉親に交配した中から選抜した品種である。1988年から1996年まで'宮崎15号'の系統名で15カ所で栄養系適応性検定試験及び2カ所で特性検定試験(もち病,裂傷型凍害)が実施された。
その結果'やぶきた'よりやや早生の煎茶用品種として普及に移し得ると判断し,1997年8月に茶農林47号'さ
きみどり
'として命名登録された。
'さ
きみどり
'の特性の概要は次のとおりである。
1) 樹姿は中間型で樹勢はやや強く,初期生育は旺盛である。成葉は楕円形で大きさはやや大,葉色は淡緑で光沢はやや多である。新葉の色は鮮やかな緑である。
2) 一番茶の萌芽期及び摘採期は'やぶきた'より2~3日早いやや早生種である。
3) 生葉収量は'やぶきだよりやや多収で,摘芽はやや芽重型である。
4) 厳寒期の寒害,裂傷型凍害ともにやや強である。炭疸病及びもち病抵抗性は中,輪斑病抵抗性はやや強である。
5) 煎茶品質は良好で色沢は鮮やかな緑,さわやかな香気で滋味は温和である。荒茶に含まれる成分は,対照品種の'やぶきた,ゆたかみどり,かなやみどりに比較して,全窒素,アミノ酸が多く,カテキン類が少ない特徴を持っている。
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