外科的処置・歯内療法・歯冠修復から予防の重要性が認識され,そして,定期検診時や診査後,齲蝕予防法として,刷掃指導やフッ化物を用いている.そこで今回,American Dental Association承認の,人工甘味材を添加した1.23%フッ化物含有のムース状APF(リン酸酸性フッ化物)を平成6年1月10日から平成8年8年31日まで大阪歯科大学付属病院小児歯科外来,大阪府歯科医師会肢体不自由児センター,及び某一般歯科医院にて,患児(者)及び保護者の了承を得て塗布した.使用したフッ素ムースの甘味材の種類は5種類で,小児,障害児,障害者,成人において,各グループで各々50名を対象として反応を観察し,診療後アンケート調査も併せて行った.
その結果,
1)人工甘味材5種類(シナモンアップル味,ラズベリー味,バブルガム味,グレープ味,キャンディミント味)での嗜好比較は,小児,障害児,障害者で類似していた.また,年齢ならびに性別に差が認められた.
2)トレー法,綿球塗布法とハブラシ利用法ついて使用方法を比較,検討した結果ハブラシを利用し塗布する方法が使用しやすかった.
3)歯及び口腔粘膜に着色や刺激がなかった.
4)齲蝕予防や知覚過敏症に有効であった.
5)ムース状になっているため,少量で効果が得られた.
6)容器内で液状化する欠点があった.
7)小児,障害児,障害者において大変興味を示し,治療への導入が容易になった.また,歯科治療に対して非常に協力的になった.
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