5Sは工場の基礎である。1つの打ち手で多くの有形・無形の効果が得られる。また,5Sといった工場の基本的な問題が解決できないようであれば,より難易度の高い改善は見込めない。多くの工場を見学して,5Sレベルの低さの悩みを良く聞く。そこで,装置産業の工場幹部向けに5Sの教育の進め方とそのマネジメントを考案し適用したので紹介する。
工場の取組みを観察して,5Sの取組みレベルを3段階評価し考察した。その結果,工場幹部の参画とリーダーシップの発揮の必要性に行きつく。装置産業の5Sは製造装置を複数の作業員で担当し,工具を共用するという構造上,個人活動の限界がある。工場(部門)全体で一斉に取り組まないと進まない。極論すると5Sが進まない工場は工場幹部のマネジメントが悪いのである。
また,観察を通して私は5Sパトロールだけで5Sを進めるのは限界があると感じた。現場が主体的に活動するのが5S本来の姿であるはずだ。5Sを指導した経験から言うと「現場は5Sの進め方や本質を理解していない」ことが多かった。現場をきちんと教育することが必要だ。
さらに5Sの知識と技能が連動するように訓練しなければならない。効果的な訓練は集合教育後の実習が良い。座学→実習→宿題を正しいステップで訓練することで,工場の5Sレベルは段々と向上していく。
5S活動を定着させるには,チェック機能の強化が必須である。5Sパトロールだけでは限界あるが,教育・訓練と組み合わせれば,パトロールは有効である。そういった5S活動上の運用基準を文書化し年間計画を立て,工場の正式なルールとして運用すれば,5Sは定着していく。
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